日本食品科学工学会誌
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49 巻, 8 号
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  • 林 美央, 岩下 恵子, 勝部 直美, 八巻 幸二, 小堀 真珠子
    2002 年 49 巻 8 号 p. 519-526
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    金時草(スイゼンジナ)より調製した赤紫色素を含む熱水抽出物は,HL60ヒト白血病細胞の増殖抑制効果を示した.金時草熱水抽出画分をSepPakC18カラムで分画して得られた吸着画分は,アントシアニンを含み,熱水抽出画分より高いHL60細胞増殖抑制効果及びDPPHラジカル消去能を示した.既知のアントシアニジンであるperalgonidin, delphinidin及びmalvidin及びmalvidin 3-glucoside (oenin)がHL60細胞増殖抑制効果を示したため,金時草SepPakC18カラム吸着画分及びこれらのアントシアニジンのアポトーシス誘導効果を検討した結果,SepPakC18カラム吸着画分及びアントシアニジンは,HL60細胞において,アポトーシス小体の形成及びDNAの断片化を誘導し,アポトーシスを誘導することが明らかになった.金時草SepPakC18カラム吸着画分をSephadex LH20カラムで分画して得られた画分は,アントシアニン含量の高い画分においても,ポリフェノール含量が高くかつアントシアニン含量の低い画分においても,HL60細胞アポトーシス誘導効果が認められた.SepPakC18カラム吸着画分は金時草の持つ機能性を高く維持したまま,天然着色料として利用できる有用な画分であるといえる.
  • 荻原 博和, 古川 壮一, 山崎 眞狩
    2002 年 49 巻 8 号 p. 527-533
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    シンプレート法による生菌数と大腸菌群数の測定能について,供試菌株と食品を対象に従来法との比較検討を行った.
    (1) シンプレート法による供試菌を用いた生菌数の検出では,従来法との差はみられなかった.加熱損傷菌と加圧損傷菌を対象にした結果では,従来法よりもシンプレート法の方がやや高い数値を示したが,両方法間に顕著な差は認められなかった.食品150検体を用いてシンプレート法と従来法について比較したところ相関係数r=0.93と高い相関が得られた.
    (2) シンプレート法による供試菌を用いた大腸菌群数の検出では,従来法との差はみられなかった.加熱損傷菌と加圧損傷菌を対象にした検出結果では,従来法よりもシンプレート法の方が高い数値を示すものが見受けられた.食品150検体についてシンプレート法と従来法について検討したところ相関係数r=0.91と高い数値が得られた.
    以上の結果から,シンプレート法は生菌数および大腸菌群の迅速・簡便法として,自主検査に有効に使用できるものと考えられる.
  • 宮本 佳郎, 阪本 光宏, 前田 智子, 森田 尚文
    2002 年 49 巻 8 号 p. 534-539
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    各種のPGMFEを用い,グリセリンの重合度や脂肪酸残基の違いがおよぼす生地中のグルテンや澱粉への影響を検討し,以下の結果を得た.
    (1) PGMFEはグルテンに作用し,生地中の遊離脂質を増加させた.この現象はPGMFEのグリセリンの重合度に関係なく,脂肪酸残基の炭素数の減少に伴い遊離脂質量が増加する傾向が見られた.
    (2) SEM観察では,PGMFEを添加した生地においてグルテン膜が太い繊維状の構造を示し,グルテン形成が改善される傾向が見られた.
    (3) PGMFEの添加は澱粉との複合体形成能を促進した.また,PGMFEのグリセリンの重合度に関係なく,脂肪酸残基がミリスチン酸の場合で最も高い形成能を示し,炭素数の増減に伴い,その形成能は減少する傾向を示した.
    (4) 更に,DSCの測定でも,PGMFEを添加した生地において澱粉-乳化剤複合体に由来するピークが増加する傾向が認められた.
  • 猪谷 富雄, 建本 秀樹, 岡本 実剛, 藤井 一範, 武藤 徳男
    2002 年 49 巻 8 号 p. 540-543
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    有色米および白米6品種の抗酸化活性を,スーパーオキシドアニオン消去およびDPPHラジカル消去の評価系を用いて測定し,それらに含まれるポリフェノール色素の局在性や化学的性状を解析した.
    (1) 赤米(「ベニロマン」,「総社赤米」),紫黒米(「朝紫」,「中国黒米」)および白米(「コシヒカリ」,「中生新千本」)の計6品種のうち,玄米の有する抗酸化活性はいずれの方法においても赤米,紫黒米が白米に比べて著しく高かった.
    (2) 全品種とも果・種皮,つまり糠層からの抽出物が最も高い抗酸化活性を示し,精白米部からの抽出物には殆ど活性は検出されなかった.このことより活性成分は果・種皮に局在することが示唆された.
    (3) 両評価法で求めた抗酸化活性の間には高い相関性(r=0.908)が確認された.この活性は総ポリフェノール含量をよく反映しており,活性本体はポリフェノールであると考えられた.分光学的解析から,赤米はタンニン系色素を,また紫黒米はアントシアニン系色素を主要なポリフェノールとして含有することが明らかになった.
  • 保井 明子, 藤本 健四郎
    2002 年 49 巻 8 号 p. 544-546
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ポリエチレン袋あるいは脱水シートで包装したマイワシを家庭用冷凍庫で4週間保存し,その後煮付け,塩焼き,ソテーおよびから揚げの調理をして官能検査を行った.その結果,4種のすべての調理法で脱水シートを使用したものが対照区より有意に高い評価を得た.
  • 大久 長範, 千葉 紘子, 長谷川 勇治, 高畠 聡, 秋山 美展
    2002 年 49 巻 8 号 p. 547-550
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    1) 稲庭うどんのグループ(7種類)の断面には,長く延びた気泡が観察された.
    2) 供試乾麺の食塩の初期溶出速度と体積表面積比(S/V)との関係を求めた.稲庭うどんグループのS/V比は,2.5~3.4の範囲にあり,一分間の茹でにより30~60%の食塩が溶出した.
    3) 茹で麺のαアミラーゼ消化は,稲庭うどんがナンバーワンうどんより早かった.
  • 戸枝 一喜, 川端 康之
    2002 年 49 巻 8 号 p. 551-554
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食品加工副産物であるコーンハルおよびビートパルプからの高温蒸煮によるアラビノースの効率的な生産法を検討した.その結果,コーンハルを処理圧力2~15Hkg/cm2で蒸煮すると,コーンハルから最大7.9%のアラビノースが遊離した.これはコーンハル中のアラビノースの63%に相当した.コーンハルの高圧蒸煮の際に燐酸(終濃度0.1M)を添加するとにより,アラビノースの生成量が増加し,その生成量はコーンハル中のアラビノースの82%に相当した.
    一方,ビートパルプを2~15kg/cm2で蒸煮すると,ビートパルプから最大6.6%のアラビノースが遊離した.これはビートパルプ中のアラビノースの30%に相当した.ビートパルプの高圧蒸煮においても燐酸(終濃度0.1M)を添加することにより,アラビノースの生成量が増加し,ビートパルプから最大16%のアラビノースが生成した.その生成量はビートパルプ中のアラビノースの72%に相当した.
  • 老田 茂, 神山 紀子
    2002 年 49 巻 8 号 p. 555-558
    発行日: 2002/08/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ブドウポリフェノールのうち,リスベラトロール(50μg/ml),フェルラ酸(150μg/ml), p-クマル酸(200μg/ml), p-ヒドロキシ安息香酸(400μg/ml),および「巨峰」種子プロァントシァニジン(900μg/ml)はA. acidoterrestrisの増殖を阻害した.また,(-)-カテキンガレートとプロアントシァニジンの組合せにより,相加的抗菌効果が認められた.この組合せにさらにリスベラトロールまたはp-ヒドロキシ安息香酸を加えると,抗菌効果が増強された.
  • 2002 年 49 巻 8 号 p. N123
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    Fig.2 縦軸 Flesh firmnessの単位 (誤)% (正)g
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