日本食品科学工学会誌
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45 巻, 4 号
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  • 遠山 良, 種谷 真一
    1998 年 45 巻 4 号 p. 223-231
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    単軸エクストルーダにより製造した冷麺(水分含量40%前後)に対する加熱殺菌処理(85℃40分程度)の効果について,でんぷんと小麦粉を4:6の割合で混合した原料粉により冷麺を試作して検討し,以下の結果を得た.
    1) 加熱殺菌処理は,バレイショでんぷん,サツマイモでんぷん,キャッサバでんぷんのいわゆる根茎由来のでんぷんを使用した麺の茹溶出量を低下させたが,トウモロコシでんぷんでは殆ど変化は見られなかった.
    2)多重バイト法により加熱殺菌処理が茹麺のテクスチャーに及ぼす影響を調べた結果,バレイショでんぷんを使用した麺では,加熱殺菌処理によりテンダネス,プラィアビリティ,タフネスは少し増加し,ブリットルネスは僅かに低下した.これに対して,他の3種(サツマイモ,キャッサバ,トウモロコシ)のでんぷんを使用した麺では,キャッサバでんぷんのタフネスが低下したことを除き大きな変化は見られなかった.
    3) 加熱殺菌処理前のX線回折像は結晶性を持たないV図形を示すのに対し,加熱殺菌処理直後のX線回折図形には,既に僅かながら結晶性の存在を示すピークが現れていた.また,5日間以上冷蔵した試料には3b,4a,5a,6a環が出現し,加熱殺菌処理前と加熱殺菌処理後では殆ど差は認められなかった.
    4) 製造直後の加熱殺菌処理前試料のうち,バレイショでんぷんを使用した麺とキャッサバでんぷんを使用した麺では最初から粘度が高く糊化状態であり,再糊化のピークは観察されなかったが,加熱殺菌処理により,再糊化のピークが出現した.冷蔵10日目試料では,いずれのでんぷんを使用した場合にも再糊化のピークが観察された.加熱殺菌処理により,粘度上昇開始温度や最高粘度時の温度が上昇したが,その効果はそれぞれバレイショでんぷん,サッマイモでんぷんで大きく,キャッサバでんぷん,トウモロコシでんぷんを使用した麺で小さかった.
    5) 以上のように,麺の加熱殺菌処理によりでんぷんを湿熱処理した場合に見られるアニーリングと類似した現象が観察された.この効果は特にバレイショでんぷんを使用した場合顕著であり,麺の茹溶出量を減少させるなどの物性改良効果があるものと考えられた.
  • 守田 和夫, 小川 幸春, 藤井 敏造, 服部 元昭
    1998 年 45 巻 4 号 p. 232-237
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    透過X線画像と画像処理を組み合わせることによって,飲料容器内に混入する異物検出の可能性について検討し,以下の知見を得た.
    (1) 肉厚で吸収性の高いガラス製のビンであっても軟X線領域のX線はある程度透過し,画像処理のために必要な輝度差をあらわすことができた.
    (2) 透過X線原画像中の容器と異物との輝度差を利用して閾値処理するだけでは異物の検出はできなかったが,円筒状の容器であれば1次微分フィルタによって画像を処理して輝度差の強調を行うことで閾値処理による検出が可能であった.
    (3) 容器が円筒状である場合に異物が付着する位置によって検出困難となる計測上の問題点があったが,容器を回転させながら計測すれば解決可能であった.
  • 田之上 隼雄, 鮫島 陽人, 下園 英俊, 市来 征勝
    1998 年 45 巻 4 号 p. 238-245
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ヤマノイモの凍結乾燥粉末の粘度に及ぼす要因として,ヤマノイモの種類,凍結乾燥前のヤマノイモのpHおよび凍結乾燥粉末の貯蔵条件について検討した.
    (1) 種の異なるジネンジョ(Dioscorea japonicaThunb),ツクネイモ(D.opposita Thunb),ソロヤム(D.alata L.)の凍結乾燥粉末の粘度低下はジネンジョが最も大きく,ソロヤムが安定していた.ジネンジョの粘度低下の一因として可溶性糖含量の少ないことが考えられ,ジネンジョに4%加糖して凍結乾燥した粉末の粘度は安定化した.
    (2) 凍結乾燥粉末の粘度低下は,乾燥工程中より,その後の貯蔵過程において起こる度合いが高かった.貯蔵中の粘度低下は貯蔵温度が低いほど抑制された.また凍結乾燥粉末は水蒸気透過性の少ないフィルムで包装し,吸湿させないことが粘度保持上重要になることが判った.
    (3) 凍結乾燥前にヤマノイモのpHを酸性側に変動させると凍結乾燥粉末の粘度低下は促進された.
    (4) 凍結乾燥粉末の粘度低下は粘質多糖の不溶化に起因すると推測された.
  • 藤宮 芳章, 小堀 英和, 大志万 浩一, 曾田 良, 海老名 卓三郎
    1998 年 45 巻 4 号 p. 246-252
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    アガリクス子実体のエタノール抽出残渣(フラクション1)を熱抽出した後(フラクション2),その残渣を蓚酸アンモニウム溶液で抽出し,蓚酸アンモニウム可溶性(フラクション3)画分,不溶性の画分(フラクション4)を分離し,これらの画分を,マウスの右および左下腹部にMeth-A腫瘍を接種するdouble-grafted tumor systemで抗腫瘍活性を測定した.
    (1) フラクション3に最も強い抗腫瘍活性が認められ,直接投与した右側腫瘍が劇的に縮小したばかりか投与しなかった左側腫瘍も縮小した.左側腫瘍は免疫機能増強により縮小したものかあるいは血流に乗り左腫瘍に達したと推定された)
    (2) これらの分画を固形飼料に混合し,腫瘍接種前4-18日から自由に摂取させ,single-tumor systemで吟味した結果,どの分画でも全く抗腫瘍効果が認められなかった.
    (3) 最も抗腫瘍活性の強いフラクション3を塩酸で加水分解するとその分画は可溶性となったので,singletumor systemを用い,ゾンデで生理食塩水に溶解し,マウス胃内に強制投与した.その結果,腫瘍接種4日前に投与した動物群にのみ明確な抗腫瘍活性が認められ,腫瘍接種と同時か接種後に同フラクションを経口投与した動物群には有意の抗腫瘍活性が認められなかった.
    (4) これらの実験的事実は,担子菌子実体を摂取することにより癌予防を期待するものであれば,子実体を塩酸などの酸を用いた加水分解による処理が必要になる事を示している.(5) ATFの静注単回投与によって全く副作用は認められなかったことから,その抽出物の安全性をも保証している.
  • 外山 一吉, 浅野 祐三, 井原 啓一, 高橋 清孝, 土井 一慶
    1998 年 45 巻 4 号 p. 253-260
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 高水分(40%(w/w))W/Oエマルションであっても膜細孔径を変化させることにより,分散粒子径をほぼ制御することが可能であり,乳化剤(ポリグリセリン縮合リシノレート)濃度が油相部当たり5%(w/w)で平均分散粒子径(Dp)が平均膜細孔径(Dm)のほぼ15倍となり,油相部当たり3%(w/w)ではほぼ18倍となった.
    (2) 初期平均分散粒子径がほぼ同等である撹拌乳化液と比較すると,膜乳化液は乳化剤濃度が油相部当たり5%(w/w)である場合,分散粒子径・粘度のテスト結果より安定であることが判明し,乳化剤濃度が油相部当たり3%(w/w)である場合,撹拌乳化液と膜乳化液との間で安定性に差が見られなくなった.
    (3) 平均分散粒子径(Dp)が異なる膜乳化液間で分散粒子径,粘度および静置分離の経時変化量について比較すると,分散粒子径の大きさによる経時変化量の傾向は観察されず,安定であった.
    (4) 分散相の膜透過流束(Je)を実用レベル(60kg/260(m2・h))で一定とした場合,平均乳化圧力(Pe)は平均膜細孔径(Dm)の2乗に反比例するという関係が成立し,この条件では分散相の圧入に対する油水界面張力の影響は比較的少なく,膜細孔内での流動理論にほぼ支配されることが分かった.
    (5) 本結果より膜乳化法で,従来法(撹拌乳化法)より安定な高水分W/Oエマルションを高い乳化速度で得ることができた.
  • 宮原 晃義, 木幡 聡美, 森地 敏樹
    1998 年 45 巻 4 号 p. 261-264
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    有限要素法(ANSYS)の熱解析ソフトを用いてロースハムの製造工程における熱処理過程の温度変化についてコンピューターによる熱解析のシミュレーションを行い,実測値と比較を行った.
    ロースハムの1/8分割モデルを作成し,3次元10節点伝熱ソリッド,4面体,要素数1781で,材料特性の熱伝導率0.495(W/m・K),密度1.075×103(kg/m3),比熱3.537×103+3(J/kg・K)を用いて熱解析を行った.熱解析結果は実測値より乾燥工程では約2℃高く,燻煙工程では約6℃高く,ボイル工程では約2℃低い結果が得られた.乾燥と燻煙工程では加熱によってロースハムの水分が蒸発するさい潜熱をうばい,温度上昇に影響をあたえて実測値が2~6℃低くなることが認められた.
    ANSYSによる食肉製品の熱解析は内部温度の変化を知る意味で有効な手段であるが,さらに物性値の精度と潜熱を考慮したソフトウェアーの開発が望まれる.
  • 田川 彰男, 村松 良樹, 笠井 孝正, 椎名 武夫
    1998 年 45 巻 4 号 p. 265-269
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    3種類の豆類(大豆,小豆,インゲン豆)の粒子密度及びかさ密度を,初期含水率から飽和含水率までの6段階の含水率に関して測定した.その結果,以下のことが分かった.
    (1) 乾量基準の比容積と含水率の定義,熱膨張係数の定義式から,乾量基準比容積は含水率%(d.b.),温度双方の関数である以下の実験式で表される.
    Vt=(α2Md+b2)・exp(c2T)
    (2) かさ密度及びかさ比容積と含水率%(w.b.)との関係は,含水率の二次関数として十分精度良く表される.
  • 竹尾 忠一, 海野 知紀, 衣笠 仁, 良辺 文久, 元山 貢
    1998 年 45 巻 4 号 p. 270-272
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    緑茶液中には分子量10万以上(A)と平均分子量1万(B)の2種に,ゲルろ過カラムクロマトグラフィーで分画される多糖類が溶存していた.これら成分の溶存量は上級緑茶に多く,下級茶には少なかった.
    緑茶液中の多糖類を限外ろ過により除去すると,緑茶液の白濁生成が抑制されるところから,緑茶液の白濁形成には多糖類が関与し,緑茶液中に出来るカフェインとカテキンの化合物に多糖類が縮合して形成されるものと考えられた.
    茶多糖類には経口投与による正常ラットの血糖値降下作用が認められた.
    茶多糖類の血糖値調節機能が正常ラットへの経口投与試験で認められたが,多糖類は膵臓機能の改善に直接作用するのではなく,末梢解糖系に対して作用し血糖値を調節するものと考えられた.
  • その構造と自動化技術
    吉冨 均
    1998 年 45 巻 4 号 p. 273-278
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 田中 美栄子
    1998 年 45 巻 4 号 p. 279
    発行日: 1998/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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