日本食品科学工学会誌
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70 巻, 11 号
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総説
シリーズ─地域食品研究のエクセレンス (第33回)
  • 渡辺 嘉
    原稿種別: 地域食品研究のエクセレンス
    2023 年 70 巻 11 号 p. 523-530
    発行日: 2023/11/15
    公開日: 2023/11/15
    [早期公開] 公開日: 2023/06/16
    ジャーナル 認証あり

    Lipases play an important role in the initial hydrolysis and absorption of lipids in organisms. It is generally known that lipases specifically hydrolyze fatty acids bound to the primary hydroxyl groups of the glycerol backbone. The reaction, however, is not entirely specific due to the fatty acyl transfer from the secondary position to the primary one. Our study revealed that the substrate specificity of a lipase can be controlled by simple factors such as water, alcohol concentration, and temperature in the reaction system, and that the selective synthesis of target products can be achieved using lipases. Enzymatic methods were developed to efficiently obtain biodiesel (fatty acid methyl esters) and to selectively synthesize 1-MAG or 2-MAG. This led us to also develop a novel method for determining the fatty acid composition at the sn-2 position of triacylglycerols. This analytical method has the advantage of including fats and oils containing short-chain fatty acids and polyunsaturated fatty acids in the scope, which are not covered by the scope of conventional methods.

報文
  • 津山 真拡, 劉 笛, 藤田 恵美子, 亀田 豊, 清水 宗茂
    原稿種別: 報文
    2023 年 70 巻 11 号 p. 531-537
    発行日: 2023/11/15
    公開日: 2023/11/15
    [早期公開] 公開日: 2023/06/09
    ジャーナル 認証あり

    本研究では, 国内の異なる海域で採取し, 製造された3種類 (沖縄県産, 伊豆大島産, 徳島県産) の国産食塩に含まれる大きさが20 µm以上のMPの存在について, 顕微FT-IRを用いた分析を行った. その結果, すべての食塩にPPおよびPEが存在していた. ほかにも, 4種類のMPが確認され, FT-IRでの検出が困難であった微小なMPが食塩中に存在することを明らかにした. また, ほとんどのMPは粒子状であり, 大きさは29–459µmと幅広く存在していた.

  • 田川 圭介, 佐藤 大起, 瀬川 修一
    原稿種別: 報文
    2023 年 70 巻 11 号 p. 539-546
    発行日: 2023/11/15
    公開日: 2023/11/15
    [早期公開] 公開日: 2023/06/29
    ジャーナル 認証あり

    活性酸素はさまざまな疾患の原因であることが知られている. 日常生活や食事によって生体内における活性酸素の産生を抑制することは健康維持にとって重要である. 食品中には活性酸素を除去する抗酸化作用を示す物質がいくつか報告されている. 乳酸菌飲料についても抗酸化活性を有することが報告されているが, その活性物質についての知見は乏しい. 2,2- diphenyl-1-picrylhydrazyl (DPPH) ラジカル消去法により自社乳酸菌発酵液の抗酸化活性を評価した結果, 抗酸化物質として2,3-dihydro-3,5-dihydroxy-6-methyl-4H-pyran-4-one (DDMP) を初めて同定した. DDMPは糖とアミノ酸とのメイラード反応によって生成することが知られており, いくつかの食品に含まれていることは既に報告されているが, 乳酸菌飲料での報告は初めてである. 自社乳酸菌飲料の製造工程において高濃度のDDMPを産生させる方法について検討を行ったところ, グルコース・ガラクトースなどの還元糖およびリジンやアルギニンなどの塩基性アミノ酸の添加によりDDMP濃度が顕著に増加した.

技術論文
  • 北市 清幸, 橋本 桂樹, 原 亘輝, 宇佐美 歩樹, 薄田 菜々子, 曽田 翠, 種田 靖久, 村瀬 仁章
    原稿種別: 技術論文
    2023 年 70 巻 11 号 p. 547-553
    発行日: 2023/11/15
    公開日: 2023/11/15
    [早期公開] 公開日: 2023/06/15
    ジャーナル 認証あり

    GAエキス末に含まれるXTおよびDCの含有量を評価することを目的とし, GAエキス末からのXTおよびDC抽出法, LC-MS/MSを用いたXTおよびDCの定量法の検討を行い, バリデーションを行うことによって一連の測定系の妥当性を検証した. その結果, 一般的な12時間の振盪により, GAエキス末のXTおよびDCが抽出可能であること, XTおよびDCの測定系に関しては, 本研究で実施したバリデーション項目である直線性, 特異性, 真度, 室内再現精度においてAOACガイドライン15) の基準値を満たしていることが明らかになった. 本法は高感度なLC-MS/MSを用い, GAエキス末のXTおよびDCをngオーダーでも測定できる精度よく簡便に定量することが可能な堅牢性の高い測定系であり, 健康食品素材として期待されているGAエキス末の有効成分であるXTおよびDCの品質管理法として有用な手法であることが示唆された.

報告
  • 進藤 久美子, 石川(高野) 祐子
    原稿種別: 報告
    2023 年 70 巻 11 号 p. 555-563
    発行日: 2023/11/15
    公開日: 2023/11/15
    [早期公開] 公開日: 2023/06/14
    ジャーナル 認証あり

    生産量の増加が期待される施設栽培のパプリカを対象とし, 同一園芸施設で栽培された2014年産, 2015年産の適熟果を5品種ずつ用いて, Na, K, Ca, Mg, P, Fe, Zn, CuおよびMnを分析し, 品種と収穫時期の違いによる含有量の変動を検討した. 二元配置分散分析の結果, 2014年産はすべての無機元素の品種間, 収穫日間およびCa以外の無機元素の交互作用で有意な差が認められ, 2015年産はすべての無機元素の品種間, 収穫日間および交互作用で有意な差が認められた. ただし, 品種別に整理すると, 品種間や色による明らかな違いが見られなかったこと, および品種によらず, 収穫時期の違いによる無機元素含有量の変動状況が似ていることなどから, パプリカに含まれる無機元素は, 品種や色の違いより, 収穫時期の影響が大きいと判断された. 本報告は, 施設栽培パプリカにおける品種と収穫時期の違いによる成分変動の一例であるが, 本報告の2015年産パプリカ試料では, CaやMnは夏季から初秋にかけて低い傾向があり, また夏季から初秋にかけてKおよびZnが高い傾向があった.

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