農水省より供試された17品種の米を使用して溶出固形物を用いた米飯新食味評価法の検索を行った.
(1) 食味評価として官能検査の総合評価を使用すると,70℃の溶出固形物は米粒あたりの全糖,アミロースの溶出量が多く,100℃では米粒あたりの全糖の溶出量が多く,いずれも溶出固形物中のタンパク質,灰分の割合が少ないほど良食味米である.
(2) 飯粒の物理特性値によってクラスター分析を行うと,17品種の供試米は5群に分類され,I群,II群の良食味米は硬さ,破断応力,もろさ歪が小さく,付着性,破断変形が大きい.
(3) 官能検査の総合評価は味や粘り,また,味度値,溶出固形物量と高い正の相関がみられた.官能検査の総合評価を目的変数とし,物理化学測定値を説明変数として重回帰分析を行ったところ,70℃では,破断応力,破断変形,溶出固形物量を説明変数とした重回帰式がえられ,100℃では,溶出固形物中の灰分,もろさ歪,溶出固形物量を説明変数とした重回帰式がえられた.いずれの重相関係数も高く,0.78, 0.82となった.
抄録全体を表示