日本食品科学工学会誌
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67 巻 , 12 号
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総説
  • 山本 和貴, 釘宮 渉, 前田 裕一, 矢野 裕之, 楠本 憲一, 鍋谷 浩志
    2020 年 67 巻 12 号 p. 459-473
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/24
    ジャーナル 認証あり

    The increasing world population requires a sufficient production of crops and animals for food use, and the production needs to be environmentally and socially sustainable. Meat analogues made from plant, fungal, and insect proteins are expected to serve as a substitute for animal meats. Plant-derived proteins (plant proteins), which are attracting great attention, are focused on in this review as meat and dairy substitutes, since plant proteins may help mankind as a substitute for animal proteins to achieve a secure supply of proteins worldwide while also responding to the demand for plant-derived products by vegetarians and vegans. Aspects discussed in this review also include the role of soybeans as one of the key plant protein sources; its recent production in the world has been increasing due to the extended harvest area of genetically modified soybean varieties. Plant proteins can be processed by extrusion to give meat-like textures. In addition, plant proteins from soybean, wheat, and other plants have traditionally been utilized via fermentation in Japan and other Asian countries. It is expected that the fermentation methods used for those traditional plant protein foods as well as other processing technologies could be applied to produce novel foods based on plant proteins.

報文
  • 石川 千秋, 澤井 祐典, 棚原 尚哉, 西場 洋一
    2020 年 67 巻 12 号 p. 474-482
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/24
    ジャーナル 認証あり

    カラシナの湿式加熱調理(茹で,蒸し)において機能性成分であるシニグリン含量,AITC生成量,GABA含量の変動を調べた.

    カラシナ中のシニグリン含量は茹で加熱で加熱時間依存的に大きく減少したが,損失分のほとんどが茹で汁中への溶出であった.カラシナ中と茹で汁中のシニグリン含量を合計すると,生鮮と同程度もしくは高くなっており,熱で分解されることなく残存していることが確認された.茹で加熱に比べ,蒸し加熱ではカラシナ中のシニグリン含量が維持され,加熱時間による影響も見られなかった.

    AITC生成量は,加熱による酵素ミロシナーゼの失活により減少した.酵素反応によるシニグリンの減少量についても,生鮮と比べて蒸し,茹で加熱両方で非常に小さかった.おおむね蒸し加熱では90秒以上,茹で加熱では60秒以上の加熱時間(加熱温度約100℃)という家庭での一般的な調理条件下でカラシナ中ミロシナーゼがほぼ失活することが示唆された.酵素反応を抑えカラシナ中のシニグリンを損なうことなく食するうえで,蒸し加熱は有効であると考えられる.

    GABA含量は,茹で加熱において減少した.さらに,茹で汁中濃度と加熱後カラシナ中含量から算出した回収率もほかのアミノ酸に比べ低い値を示した.蒸し加熱においても生鮮に比べて減少していたが,60秒間の加熱では茹で加熱に比べて減少の程度は小さかった.

    以上の結果より,カラシナを機能性成分であるシニグリンおよびGABAの含量を維持しつつ湿式加熱を行って食する際,シニグリンについてはミロシナーゼが完全に失活するだけの時間の蒸し加熱を行うことが望ましく,またGABAでは短時間の加熱であれば茹で加熱よりも蒸し加熱の方が好ましいことが示唆された.

  • 進藤 久美子, 八戸 真弓
    2020 年 67 巻 12 号 p. 483-492
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/24
    ジャーナル 認証あり

    人工的に生成する放射性核種 90Srも,天然に存在する安定同位体のSrも,化学的性質はほぼ変わらないことから,天然に存在するSrを定量して緑茶類から浸出液への 90Srの挙動を推定した.Srの挙動を特徴づけるため,Srと化学的性質が似ているCaおよび同時に測定可能な無機元素も検討の対象とした.7種類の緑茶を使用し,緑茶の種類ごとに一般的な浸出法を用いて三煎まで浸出液を調製し,茶葉と浸出液および茶殻を試料とした.茶葉から浸出液への移行割合Frは,おおむねK,Ni>Zn>Mg>P>Mn>Al>Ba,Sr,Cu,Ca>Feであった.浸出液へのSrの移行割合は,一煎目で0.01未満から0.07と今回調べた無機元素の中では低く,90Srが存在した場合でも浸出液への移行割合は同様に低いと推定された.茶葉から浸出液への移行割合は,多くの緑茶類でSrとCaが類似しており,ほうじ茶が例外であることに留意すれば,Caが 90Srの目安として利用できる主要元素と判断された.

技術論文
報告
  • 原 佑介, 菅原 彩華, 山田 クリス孝介, 遠藤 慶子, 芦谷 早苗, 五十嵐 香織, 曽我 朋義, 神成 淳司, 黒田 裕樹
    2020 年 67 巻 12 号 p. 499-513
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/24
    ジャーナル 認証あり

    ウンシュウミカンの成分分析では,高水溶性のイオン性低分子を網羅的に探索した研究はほとんど無い.本研究では,静岡県三ヶ日産ウンシュウミカンの ‘青島温州’ や ‘興津・宮川早生’ を対象に,高水溶性成分をキャピラリー電気泳動-質量分析法によるメタボローム解析を用いて調査し,品種,グレード,処理方法ごとの総測定データも蓄積させた.この分析では,対象とした151の成分のうち,早生ではメチオニン,グリシン,アスパラギン酸が,青島ではオルニチン,プトレシン,シネフリン,グルタミンが,青島の果汁ではピログルタミン酸,GABA(γ-アミノ酪酸),マロン酸が,有意に多く検出された.さらに,生果と加工品,および加工前後での比較結果を統合し,含有成分量の変化に寄与すると推測される要因も整理した.これらの解析は,三ヶ日産ウンシュウミカンに含まれる高水溶性成分の基礎データとして,今後,代謝や加工による成分変化のさらなる検証につながることが期待される.また,本研究において,クエン酸やGABAなどの機能性表示登録がすでにある成分に加えて,機能性が示唆される成分も検出された.農産物の新規機能性成分表示の検討等においてもメタボローム解析は有用であることを強く示していると言える.

  • 大久 長範, 菅原 優希, 毛利 哲
    2020 年 67 巻 12 号 p. 514-518
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2020/12/24
    ジャーナル 認証あり

    10 %食塩含有培地に強力小麦粉を添加し30 °Cで4日間培養すると,耐塩性酵母が優先種となった(9×108 cfu/ml).この10 %食塩含有培養から酵母147株を分離し24株をHyphopichia burtoniiと同定した(分離株の16 %に該当).10 % 食塩含有培養をパン生地に加えると,生地は柔らかくり,生地の膨張が促進した.10 % 食塩含有培養と乾燥酵母の混合物を使用して,直種法でパンを製造した.この方法で製パンしたパンの比容積(4.43 cm3/g)は,対照の比容積(3.47 cm3/g)よりも27 % 大きくなり,パンクラムの硬さは低下した.耐塩性酵母の集積培養は新規な液種として利用できると可能性がある.

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