日本食品科学工学会誌
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60 巻, 2 号
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報文
  • 早瀬 文孝, 高萩 康, 渡辺 寛人
    2013 年 60 巻 2 号 p. 59-71
    発行日: 2013/02/15
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    市販つゆとコク強度が異なる二種類の自作つゆの加熱香気成分の分析を行った.AEDA 法ではロースト様,スモーキー様,サワー様のいずれかの香気特性を有する香気化合物が多く検出された.ロースト様の香気には主としてピラジン類が寄与していた.サワー様の香気特性では 3-Methylbutanol,Acetic acid,2-Furanmethanol が高い寄与を示した.したがって,これらの揮発性化合物の総和がつゆの加熱香気の形成に重要な役割を果たしていることが示唆された.
    同定されたつゆの加熱香気成分の中から,つゆのコクに寄与する化合物の探索を行った.コク強度が異なる二種類の自作つゆ間で定量値に有意差が認められた化合物,または FD factor に差が見られた化合物の中から 10種の化合物を選択し,0.5 % NaClと0.3 % Glu-Na を含む水溶液中に添加し,二点試験法によりコク寄与成分の選別を行った.これより,2-Acetylfuran,2-Ethylhexanol,1-Octen-3-ol に対しコクへの寄与が認められた.また,香気が感じられない状態では,これらの化合物を添加したつゆでコクの知覚強度に有意な差が見られず,“香り”がコクの形成や増強に寄与していることが示された.
  • 平畑 理映, 小林 麻貴, 江草 信太郎, 榊原 里恵, 福田 滿
    2013 年 60 巻 2 号 p. 72-79
    発行日: 2013/02/15
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    メタボリックシンドロームは国内外において最も深刻な問題であり,脂肪肝によって肝機能を低下させる.大豆食品が肝機能改善に効果的であることが知られているので,本研究では高脂肪高コレステロール食投与時の乳酸発酵豆乳摂取による肝臓の脂質代謝改善効果を明らかにするために,2通りの試験食,すなわち 30 % TG,0.5 %コレステロールを含む脂質高含量食群,および 15 % TG,0.125 %コレステロールを含む脂質中含量食群をそれぞれ 7週齢 SD系雄性ラットに投与し,同時に乳酸発酵豆乳を摂取させて5週間飼育し肝臓成分,血中成分を調べた.
    乳酸発酵豆乳の摂取によって脂質中含量食群で血漿TC,TG濃度の有意な低下が認められたが,脂質高含量食群では有意差はなかった.肝臓脂質量については,コレステロール量が脂質高含量食群・中含量食群とも有意に減少し,TG 量が脂質中含量食では有意に減少したが,脂質高含量食では有意な減少はなかった.肝臓の脂質代謝関連遺伝子については,乳酸発酵豆乳摂取によって脂質中含量食群での FAS 抑制と SREBP-2 促進が認められた.
    以上の結果から,脂質高含量食投与では,脂質過剰蓄積による肝機能低下のため,乳酸発酵豆乳による血中脂質低下効果は認められなかったが,脂質中含量食投与では,乳酸発酵豆乳による肝臓遺伝子発現調節作用をともなった肝臓脂質蓄積抑制効果と血中脂質濃度上昇抑制効果が認められ,肝臓の脂質代謝を改善することが示唆された.
  • 村山 加奈子, 澤 智子, 古賀 裕章, 山口 智, 熊添 基文, 大塚 崇文, 宮崎 義之, 立花 宏文, 山田 耕路
    2013 年 60 巻 2 号 p. 80-86
    発行日: 2013/02/15
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究では,不知火姫菊の花弁および葉水抽出物がヒト由来のがん細胞の増殖に及ぼす影響について検討した.
    花弁および葉水抽出物はヒト乳がん細胞株 MCF-7 において,終濃度25 μg/mL以上で濃度依存的に増殖を抑制した.さらに,いずれの抽出物も MCF-7 細胞に対して正常線維芽細胞より約4倍以上強い効果を示した.また,花弁抽出物の活性成分は分子量 10 000 以下の低分子成分であることが示唆された.一方,葉抽出物には低分子と高分子物質が存在することが示唆された.さらに,抽出物の花弁抽出物の活性には熱安定性が低い成分,葉抽出物は熱安定性の高い成分が関与していることが示唆された.加えて,いずれの抽出物においても,ポリフェノール性と非ポリフェノール性の増殖抑制因子が存在することが示唆された.
    以上の結果は,現在製品原料として使用されている花弁に加えて,葉も生理活性物質の供給として利用可能であることを示唆しており,抗がん作用を有する複数の生理活性成分の存在が示唆された.
  • 山崎 勝子, 村上 哲生, 岡田 直己, 寺井 久慈, 宮瀬 敏男, 佐野 満昭
    2013 年 60 巻 2 号 p. 87-95
    発行日: 2013/02/15
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究は,プーアル茶に特有な成分の探索を目的とし検討したもので,三次元蛍光スペクトルの解析をもとに,プーアル茶中に特異的な蛍光をもつ成分が存在することを見出した.この成分は,腐植物質と類似しており,微生物発酵による長期の熟成期間で産生するものと考えられ,カテキンなどのポリフェノールや微生物由来のたんぱく質が含まれる可能性が示唆され,高極性の高分子複合物であることを認めた.茶の熱湯抽出液を用い,この特異的な蛍光領域を測定することで,プーアル茶の品質評価や他の発酵茶との分別に利用できるものと考えられた.
技術論文
  • 永田 雅靖
    2013 年 60 巻 2 号 p. 96-99
    発行日: 2013/02/15
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    HPLCによるアスコルビン酸およびデヒドロアスコルビン酸の同時定量法を検討した.Yasuiら(1991)の方法をもとに,原報の樹脂カラムとは異なる分離モードのODSカラムの中から最適な分離を示すカラムを選択した.カラムに Imtakt Unison UK-C18(3 μm,4.6 mm × 150 mm)を用い,Yasui らと同じ溶離液:2 mM HClO4 1.0 mL/min,ポストカラム反応液:100 mM NaOH,100 mM NaBH4 0.5 ml/min,検出:UV 300 nm の条件で,従来の方法よりもピークの分離が大きく改善し,分析時間も短くなった.
  • 干野 隆芳, 川井 清司, 羽倉 義雄
    2013 年 60 巻 2 号 p. 100-109
    発行日: 2013/02/15
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    並進型の粘度測定法は,回転駆動部がなく装置が簡易であることが特徴である.バックエクストルージョン法は同軸の二重円筒を使用する方法で,カップとプランジャーの間の環状部の流動から得られる応力時間曲線から粘度を解析する方法である.しかし,試料が高粘度になると,カップやプランジャーに付着した試料によって正確度が低下し,連続測定ができない欠点があった.そこで,粘度を連続的に測定できる方法として,あらかじめプランジャーを試料の中に沈めておき,その状態から,さらにわずかな距離だけ押し込んで起こる環状部の上部への流動から得られる応力の時間変化曲線から粘度を求める方法(ショートバックエクストルージョン法:SBE)を検討した.
     測定試料に既知の粘度標準物質および標準粘度液を使用して低粘度,中粘度,高粘度試料を用いて,ずり速度を変化させながら,粘度測定を行い,BE法とSBE法の正確度を比較した.SBE法は連続測定であるにもかかわらず,BE法と比較して,正確度は良好であった.SBE法では,試料が流動する環状路が予め設定されているために,プランジャーの移動距離が短いにも拘らず定常流動が容易に得られ,適切な時間間隔を取れば測定中の高粘度試料の付着も少なく連続測定が可能であった.
  • 宮田 裕次, 田中 隆, 玉屋 圭, 松井 利郎, 田丸 靜香, 田中 一成
    2013 年 60 巻 2 号 p. 110-116
    発行日: 2013/02/15
    公開日: 2013/03/31
    ジャーナル フリー
    火入れ時の熱風温度や火入れ時間の違いが混合発酵茶の官能検査,芳香および加熱香気成分に及ぼす影響を検討した.混合発酵茶に含まれる主要な芳香香気成分の含量は,火入れを行っても変化しなかった.一方,下級茶葉に多く含まれ好ましくない香り成分の一つである(E,E)-2,4-heptadienal の含量は,火入れにより減少した.加熱香気成分の含量は,熱風温度が高く,火入れ時間が長くなるにつれて増加した.混合発酵茶は火入れ香がつきにくい三番茶葉を使用しているが,緑茶一番茶と同程度の熱風温度,火入れ時間でも十分に加熱香気成分が生成されることが明らかとなった.
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