日本食品科学工学会誌
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50 巻, 12 号
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  • 境田 博至, 中原 徳昭, 渡司 奈穂子, 甲斐 孝憲, 中島 美幸, 榊原 陽一, 西山 和夫, 福田 亘博, 水光 正仁
    2003 年 50 巻 12 号 p. 555-562
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    蕎麦焼酎の特徴香及び米焼酎,麦焼酎との揮発成分の比較を行うためにporapak Q樹脂で濃縮後,Gas Chromatography-Olfactometry (GC-O), Aroma Extract Dilution Analysis (AEDA)法,Gas Chromatography/Mass Spectrometry (GC/MS)で揮発性成分を調べ以下の結果を得た.
    (1) 蕎麦焼酎は68種類,米焼酎は60種類,麦焼酎は65種類を同定,定量した.新規の揮発性成分は蕎麦焼酎で21種類,米焼酎で14種類,麦焼酎で18種類であった.また香気寄与成分は未同定の揮発性成分を含めて蕎麦焼酎で22種類,米焼酎で20種類,麦焼酎で23種類であった.
    (2) 特にethyl cinnamate (No. 63)はこれまで芋焼酎で報告されたのみであるが,今回,蕎麦焼酎と米焼酎で存在を確認した.更に,蕎麦焼酎に関しては香気寄与成分として重要であることも明らかとなった.
    (3) pHによる分別濃縮法で蕎麦焼酎特徴香である成分Xは塩基性画分に存在することが分かった.この成分Xは非常に含有量は少なく同定出来なかった.しかし,非常に閾値が低い揮発性成分であることが示唆された.
  • 原 安夫, 小林 健治, 和泉 好計
    2003 年 50 巻 12 号 p. 563-569
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    NaCl水溶液(100mg/l)を電気分解して得られた電解生成水を用いて,食品加工などの産業分野において広く使用されている3種類の加水分解酵素(タンパク質分解酵素のズブチリシン,デンプン分解酵素のα-アミラーゼおよび油脂分解酵素のリパーゼ)の酵素活性を検討し,以下の結果が得られた.
    (1) ズブチリシンCarlsbergをECW pH10に溶解して60°Cで反応させると,酵素活性が原水に対して約80%,NaOH pH10aq.に対しても約65%高まった.このNaOH pH10aq.に14mMのNaClを加えると,酵素活性が約80%高くなり,ECW pH10と同じ酵素活性となった.このことよりECW pH10における酵素活性の要因は,ズブチリシンが電気分解により濃縮されたNa+イオンとpHの影響を受け,最高活性と至適温度が上昇したためであることが確認された.
    (2) 2種類のアルカリ性ズブチリシンSavinaseとNagarseに対するアルカリ性電解水の効果に差があることがわかった.
    (3) α-アミラーゼをECW pH10およびpH11に溶解した後,37°Cで反応させると,酵素活性が原水に対してECW pH10では13%,pH11では20%高まった.この要因は,アルカリ性電解水の影響を受けてα-アミラーゼ自体のターンオーバー数が約5%,溶解性が約10%向上したことから,これらの相乗効果であることが示唆された.さらにα-アミラーゼの活性化は,電気分解により濃縮されたNa+イオンとpHの相乗効果であることが確認された.
    (4) リパーゼを酸性電解水に溶解した後,30°Cで反応させると酵素活性が原水に対してpH4では16%,pH3では22%高まった.この要因は,電気分解で濃縮されたCl-イオンとpHの影響を受けていたが,これ以外の因子もあることがわかった.
  • 大垣 佳寛, 佐川 巌
    2003 年 50 巻 12 号 p. 570-573
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本で栽培されている代表的なラッカセイ3品種の種子及び種皮,また,市販のラッカセイ加工品についてHPLC分析によりトランス-RTの含有量を調べ,以下の結果を得た.
    (1) ラッカセイ3品種,千葉半立(標準,晩播),ナカテユタカ(標準,晩播)及び郷の香(晩播)の種子中のトランス-RTの含有量は0.089∼0.147μg/gであった.
    (2) 焙煎(160°C,25分)により剥皮した千葉半立,ナカテユタカ,郷の香の種皮中には5.55∼6.91μg/gのトランス-RTが含まれていた.
    (3) ラッカセイ加工品,さや付き煎りラッカセイ,バターピーナッツ,甘納豆,落花糖に含有されるトランス-RT量は,それぞれ0.033∼0.085μg/g(平均0.059μg/g),0.038∼0.072μg/g(平均0.055μg/g),0.043μg/g,0.035μg/gであった.
  • 林 成任, 倉田 忠男
    2003 年 50 巻 12 号 p. 574-577
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    豚レバーの生臭い不快臭の形成に寄与する化合物を明らかにする目的で新鮮レバーおよび鉄イオン添加したレバーの揮発性成分を減圧水蒸気蒸留を用いて捕集後,エーテル抽出し,得られた抽出物をGCおよびGC-MSにより分析,検討した.その結果,鉄イオン添加により,アルデヒド類,アルコール類,酸類などレバーの揮発性生成物の種類および生成量が増加した.なお,生臭い不快臭の形成に重要であることが示唆された(E,Z)-2,4-Heptadienalおよび(E,E)-2,4-Heptadienalはレバーに含まれる高度不飽和脂肪酸の酸化により生成すると考えられた.
  • 石原 昌信, 盛根 信也, 片山 寿雄, 儀間 朝頼, 平良 東紀, 多和田 真吉, 小波本 直忠
    2003 年 50 巻 12 号 p. 578-581
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Aspergillus oryzae W-1起源のアルカリプロテアーゼインヒビター失活化酵素(AIE)は各種カラムクロマトグラフィーにより均一に精製された.本酵素の分子量は,SDS-PAGE法により約42KDaと算出され,等電点は4.7であった.本酵素の至適pHは6付近であり,至適温度は55°C付近であった.酵素は40°Cまでの温度やpH6∼10の範囲で比較的安定であった.本酵素は,トリプシンインヒビター,ロイペプチン,PMSFなどのインヒビターでは阻害されないが,HgCl2p-CMBでは阻害された.本酵素はEDTAやオルトフェナントロリン等のキレート剤でも顕著に阻害された.しかし,HgCl2処理酵素は2-ME添加で活性が回復した.一方,EDTA処理酵素は2-ME存在下でCaCl2を添加すると活性の回復が認められた.プロテアーゼ-インヒビター複合体にAIEをpH5,37°Cで作用させると,アルカリプロテアーゼ(AP)の活性化が認められた.これらの結果から,AIEは細胞内でAPの活性化に寄与するものと推測された.
  • 古賀 貴子, 古賀 菱子, 名方 俊介, 太田 英明
    2003 年 50 巻 12 号 p. 582-589
    発行日: 2003/12/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    食物テクスチャーからみた咀嚼指導の一つの指標を得るため,日常よく摂食されていると考えられる112種の食物について,テクスチャーからの食物の分類を行った.
    (1) 112種の食物中,咀嚼筋活動量と関係する咀嚼性が高い(1.00以上)食物は30%以下であって,噛みごたえのある食物は少なかった.
    (2) 主成分分析によって,112種の食物中111種の食物を,かたさおよび弾力性がともに低い「基本食物グループ」,かたさが高い「グループI-1型,グループI-2型」,かたさおよび弾力性がともに高い「グループII-1型,グループII-2型,グループII-3型」,弾力性が高い「グループIII-1型,グループIII-2型,グループIII-3型」の9つに分類できた.これらグループの中で,咀嚼性が高い食物はグループI-2型およびグループII-1型,グループII-2型,グループII-3型のものが多かった.
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