日本食品科学工学会誌
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49 巻, 2 号
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  • 笠井 八重子, 大野 婦美子
    2002 年 49 巻 2 号 p. 65-71
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    荒粉こんにゃく製造工程中の「のり」調製時における放置熟成温度が荒粉こんにゃくの力学的性質に及ぼす影響を検討し,次のような結果を得た.
    (1) 干しイモ荒粉によるこんにゃくの破断応力,破断エネルギー,初期弾性率は「のり」放置温度90℃で低下した.精粉こんにゃくでは「のり」放置温度の影響は極めて微小であった.
    (2) 「のり」放置温度90℃の影響は荒粉の粒径により異なった.42-100 mesh試料で製造したこんにゃくでは,試料粒子が小さいほど放置温度の影響を受け,力学物性値は低下した.とくに83-100 meshの小粒子で顕著な低下が認められた.200-330 meshの微粒子粉ではこんにゃく製造は不可能であった.
    (3) 42-60 meshの大粒子に微粒子を3割配合して製造したこんにゃくでは,「のり」90℃放置により,応力-歪曲線,クリープコンプラインス曲線は35℃の場合と比べて顕著に相違することが示された.
    (4) 42-60 mesh「のり」が高粘性であったのに対し,200-330 meshの微粒子「のり」は低粘性を示した.また,昇温に伴う粘性変化にも明らかな相違が認められた.200-330 mesh「のり」の粘度上昇は80℃で認められ,90℃, 1時間保持によっても粘性の増減はなかった.
    (5) 干しイモ荒粉こんにゃくの「のり」放置(90℃)による物性変化は,荒粉に含まれる200-330 meshの微粒子成分の影響によって生じ,この微粒子は飛粉に相当することが示唆された.
  • 石原 三妃, 森高 初恵, 内藤 成弘, 福場 博保
    2002 年 49 巻 2 号 p. 72-81
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) 塩無添加ジェランガムゲルの貯蔵弾性率,破断応力はポリデキストロースの混合量の増加に従い増加した。
    (2) 高濃度の塩化カルシウムおよび塩化ナトリウムを添加したジェランガムゲルの貯蔵弾性率はポリデキストロースの混合により減少した.
    (3) 官能評価の結果より,ポリデキストロース混合量が高くても嗜好性が低下しないことが確認された.付着性が小さく,破断応力,破断エネルギーが小さいゲルが飲み込み易いと評価された.
  • 古賀 貴子, 古賀 ゆう子, 太田 千穂, 斎藤 昌義, 太田 英明
    2002 年 49 巻 2 号 p. 82-90
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    屠畜血液の有効利用に関し,血漿蛋白質の構成成分,溶解性および乳化安定性を調べた.また,血漿蛋白質を乳化剤とした乳化液状ドレッシングを調製し,その品質を検討した.
    (1) 血漿蛋白質の主成分は可溶性蛋白質の血清アルブミンであり,溶解性はpH 3で90.5%と最高を示した.乳化安定性は酸性側で,また低温で高かった.これら条件をふまえた乳化性の調理・加工への利用例として,マイルドな乳化液状ドレッシングを調製した.
    (2) サラダ油:醸造酢(w/w)=60:40, 1%PP, 2%PPおよび3%PP,添加物(調味料および香辛料7.6%)の乳化液状ドレッシングはいずれもO/W型であり,構造破壊を有するチキソトロピー流動を呈したが,血漿蛋白質の濃度により,次のような物理特性が示された.
    i) 1%PPに対し,2および3%PPでは,見かけ粘度は67および122%高く,油滴の分散状態はより均一で,粒径は19および34%細かくなめらかで乳化安定性の高いものが調製された.
    ii) 白色度は血漿蛋白質の濃度の増加に対し,減少傾向にあったが,乳化液状ドレッシングとしていずれも問題なかった.
    iii) 官能評価について,スプーンを傾けた場合の流れ具合で最も高い評点を示したものは3%PPであり,なめらかさで最も高い評点を示したものは1または3%PPであったが,いずれも評点は0.8~1.9の範囲にあり,良好な成績を得た.また,風味および総合評価の評点はppが3%<2%<1%であったが,いずれも評点は0.5~1.8と問題ないものであった.
  • 張 農, 山下 康充, 野崎 征宣
    2002 年 49 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    オキアミおよび2種類のエビの酵素分解物を調製した.その酵素分解物をエソMfに2.5~12.5%で添加し,脱水に伴う酵素分解物はMfに影響を調べて次の所見を得た.
    (1) 3種類の酵素分解物の主要成分はタンパク質であり,分子量は12000以下の多種類ペプチドの混合物であった.いずれの酵素分解物のアミノ酸組成もGlx ,Asx, Arg, Lys, Gly, AlaおよびLeuなどが多く含まれていた.
    (2) 酵素分解物添加Mfは脱水に伴い変性されるが,同じ水分含量でコントロールと比べて,変性程度が小さいことが分かった.
    (3) 酵素分解物添加Mf中の不凍水量は,コントロールより増加することが分かった.変性抑制効果とともに,5.0~7.5%の間に最も高い効果を示した.
    (4) 以上のように,酵素分解物はMf周囲の不凍水量を増加させるという水和水の安定化により,Mfの脱水による変性抑制をしていることが考えられる.
  • かつお節香の形成および劣化に寄与度の高い成分変化のメカニズムの研究(第3報)
    川口 宏和, 石黒 恭佑, 若林 秀彦, 上田 要一
    2002 年 49 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    かつお節粉末のヘッドスペース中に存在する含硫成分のうち,保存中に最も減少の大きかった硫化水素の減少メカニズムについて検討したところ,以下のことが明らかになった.
    (1) 硫化水素は酸化されて単体硫黄となるため,その含量は減少し,やがて消失する.
    (2) かつお節の水溶性低分子成分中に硫化水素の酸化を促進する成分が存在した.その成分はヒスチジンと鉄イオンであり,両成分が共存することによって促進作用を示した.鉄-ヒスチジン錯体が,硫化水素の酸化反応の触媒として作用すると推定された.
  • 舩津 保浩, 川崎 賢一, 袁 春紅, 内田 基晴, 里見 正隆, 福田 裕
    2002 年 49 巻 2 号 p. 106-118
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    未利用淡水魚ハクレンの有効利用方法の一つとして,醤油麹や乳酸菌をスターターとして魚醤油を調製し,それらの化学成分や揮発性成分を調べたところ,下記のことが明かとなった.
    (1) 醤油麹と乳酸菌(No. 1)または醤油麹のみ(No. 2)をスターターをして調製した魚醤油の全窒素分や無塩可溶性固形分量は,乳酸菌のみ(No. 3)やスターターを使用せずに調製した魚醤油(No. 4)のそれらや,上海で市販されているナンプラのそれらよりも多かった.
    (2) SPME法およびGC/MS分析で各種魚醤油の揮発性成分を同定したところ,No. 1とNo. 2には市販のナンプラや福建省産魚醤油に検出されるような酪酸や吉草酸は検出されず,官能的に閾値の比較的低いアルコール類が検出された.
    (3) No. 3およびNo. 4は揮発性の有機酸は少なく,アルコール類,炭化水素類,ケトン類が多く,中でも脂質の酸敗臭として知られている1-ペンテン-3-オールが検出された.
    (4) 日本人と中国人(上海在住)によるパネルで,魚醤油の官能評価を行ったところ,No. 1とNo. 2はナンプラよりも香りの品質が良く(上品で),福建省産魚醤油はナンプラよりも品質が悪い(平凡な)評価であった.しかし,No. 3とNo. 4は,ナンプラとほぼ同じ評価であり,有意差は認められなかった.
    (5) 現在,中国(上海)でよく流通しているナンプラよりも香りの好ましい魚醤油を調製する一つの方法として,醤油麹と乳酸菌を併用することで,品質の安定した魚醤油が得られるものと期待した.しかし,醤油麹と乳酸菌の併用の効果は必ずしも認められなかった.
  • 渡辺 満, 伊藤 美雪
    2002 年 49 巻 2 号 p. 119-125
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ソバ植物体の生育時期を通してのポリフェノール含量及び抗酸化能(DPPHラジカル消去活性)の変動を調査し,その結果を基に,発芽後4日目の幼植物に含まれる主要成分を検索し,同定物質の含量変化を調査した.
    (1) ソバ2品種(階上早生,信濃1号)の地上部植物体を発芽後43日まで収穫し,メタノール抽出物のポリフェノール含量及びDPPHラジカル消去活性を測定した.その結果どちらについても,発芽直後が高かった.
    (2) 発芽直後のHPLCクロマトグラムでは,ルチン以外に4つの主要ピークが認められた.これら4つのピークの面積は発芽後減少を続け,19日目にはルチンのみが認められるようになった.
    (3) 発芽後4日目の植物体(岩手在来)を使用し,HPLCクロマトグラムの主要ピークを同定した.その結果,ソバ殻から単離しているビテキシン,イソビテキシンに加えてラジカル消去物質として,オリエンチン,イソオリエンチンを同定した.
    (4) 発芽直後には,ルチン以外にもフラボノイド化合物が高含量含まれていることが明らかとなり,ポリフェノールの供給源,即ち機能性食品素材としてソバ幼植物が有用であることを明らかにした.
  • 苔庵 泰志, 西井 孝文, 古市 幸生
    2002 年 49 巻 2 号 p. 126-129
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    高血圧自然発症ラット(SHR)に,ハタケシメジを飼料中重量比で10%, 20%になるように投与し,血圧上昇に及ぼす影響について検討した.その結果,血圧上昇抑制作用が認められた.また,ハタケシメジ熱水抽出物を経口あるいは腹腔内投与した場合には,短時間で血圧降下作用が認められた.
  • 山崎 正夫, 山田 耕路
    2002 年 49 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 仲真 晶子
    2002 年 49 巻 2 号 p. 135-136
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 梅垣 敬三
    2002 年 49 巻 2 号 p. 137-138
    発行日: 2002/02/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 49 巻 2 号 p. N55
    発行日: 2002年
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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