日本食品科学工学会誌
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45 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 最新の研究動向
    村田 容常, 本間 清一
    1998 年 45 巻 3 号 p. 177-185
    発行日: 1998/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 西村 隆久, 米谷 俊, 岡田 茂孝, 小林 善則, 福本 俊一
    1998 年 45 巻 3 号 p. 186-191
    発行日: 1998/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ヘスペリジン配糖体をみかん缶詰に添加し,室温で保存し,1,3,6か月後にその白濁防止効果について検討した.その結果,ヘスペリジン配糖体は0.004%という非常に低濃度で,効果的にみかん缶詰シラップの白濁を抑制した.さらに溶存ヘスペリジン量は,シラップの透明度が増加するに従い増加していた.つまり,ヘスペリジンの白濁防止効果はヘスペリジン配糖体によるヘスペリジンの可溶化効果に起因していることが明らかとなった.またこの効果は,高い殺菌温度および酸度の影響を受けることなく安定していた.
    ヘスペリジン配糖体のヘスペリジン可溶化効果を果汁含有率50%のオレンジ果汁飲料に応用した.ヘスペリジン配糖体をオレンジ果汁飲料に0.05%添加して6か月間静置後,沈殿画分および上清画分に存在するヘスペリジン量を定量した結果,ヘスペリジン配糖体の添加により,全ヘスペリジン量の約90%が,溶存ヘスペリジンとして存在し,沈殿画分中の不溶性ヘスペリジンが大きく減少した.またこの効果は殺菌時間,殺菌後の冷却温度に影響されなかった.
    ヘスペリジン配糖体はみかん缶詰およびオレンジ果汁飲料中のヘスペリジンを可溶化することで,沈殿形成を効果的に抑制すること,温度や酸にも安定なことから産業的にも非常に使いやすい沈殿形成防止剤であると考えられる.
  • 亀岡 孝治, 奥田 知晴, 橋本 篤, 野呂 明美, 椎木 靖彦, 伊藤 健介
    1998 年 45 巻 3 号 p. 192-198
    発行日: 1998/03/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食品のモデルとして糖水溶液を考え,糖水溶液の赤外分光スペクトルについて検討を行い,以下の糖水溶液の赤外分光分析に関わる基礎的知見を把握した.1. FT-IR/ATR法により,従来の透過法では測定が困難とされていた中赤外領域における単糖・二糖類の赤外分光スペクトルを取得し,FT-IRIATR法の有効性を示した.2. 指紋領域におけるスペクトルパターンは各糖に対して固有であることが分かり,糖の種類別定量分析に応用可能であることを示した.3. 理想溶液の性質を示す糖水溶液の検量線は,直線性を示すことが分かった.また非理想溶液の性質を示す糖水溶液の検量線は,アルコールC-OH伸縮の吸収帯の検量線のみ非直線性を示した.これは糖と水の相互作用が,OH基の吸収帯に大きな影響を及ぼしているためと考えられる.4. 非直線性を有する検量線を活量係数を用いて関数化し,非直線性を有する検量線も定量分析に応用可能であることを示した.5. 指紋領域のスペクトルによる検量線作成に最も有効である波数を決定するために,指紋領域のスペクトルの波形分離を行った.この結果,吸収帯の中に強度が最大で,他の吸収の影響を受けにくい吸収帯が存在することが示された.また,定量分析にはこの吸収波数での検量線の利用が最も有効であることが分かった.
  • 亀岡 孝治, 奥田 知晴, 橋本 篤宰, 野呂 明美, 椎木 靖彦, 伊藤 健介
    1998 年 45 巻 3 号 p. 199-204
    発行日: 1998/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    FT-IR/ATR法による食品の糖成分分析方法を検討した結果,以下の結果を得た.
    1. FT-IR/ATR法により,グルコース,スクロース,フルクトースおよびラクトース溶液の赤外吸光度スペクトルを取得し,指紋領域のスペクトルパターンは各糖固有であることが分かった。また同一波数の吸光度値による各糖の検量線が,低濃度領域では直線性を示すことが分かった.
    2. グルコース,スクロース,フルクトースにより果汁を想定した混合糖水溶液を調製し,これらのスペクトルと計算により合成したスペクトルは,指紋領域においてよく一致し,スペクトルの加成性が示された.
    3. 混合糖水溶液のスペクトルから計算した推定値と糖濃度がよく一致し,糖成分ごとの糖濃度の測定が可能であることが分かった.また“ぶどう”の計算例から,含まれる糖成分が分かっていれば,さらに精度の良い分析結果を得ることが可能であることが示された.
    4. 混合糖水溶液と同様の方法で,果汁飲料および乳酸菌飲料の糖成分ごとの糖濃度の推定を行い,本研究方法による計算結果と市販品の公表値が比較的よく一致した.このことにより,FT-IR/ATR法を用いた糖の成分分析手法は,その迅速かっ簡便な性格から用途を限定すれば十分使用可能であることが示された.
  • 間 和彦, 新本 洋士, 小堀 真珠子, 津志田 藤二郎
    1998 年 45 巻 3 号 p. 205-209
    発行日: 1998/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    味噌に含まれるメラニン生成抑制物質として,リノール酸およびリノール酸エチルが同定された.リノール酸は,メラノーマのチロシナーゼに対して直接酵素活性阻害作用を持っのではなく,細胞内でチロシナーゼが誘導されるのを調節していると考えられた.
  • 阿賀 創, 渋谷 孝, 茶円 博人, 福田 恵温, 栗本 雅司
    1998 年 45 巻 3 号 p. 210-215
    発行日: 1998/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    種々の野菜のSOD様活性にあたえるトレハロースの影響を検討し,次の結果を得た.
    1. 人参の固形分と等量のトレハロースを含む人参粉末を調製し,40℃で7日間保存した.この粉末のSOD様活性残存率は,トレハロースを加えない人参粉末の活性残存率より高いことがNBT法とESR法で確認された.残存SOD様活性は,トレハロース混合割合に依存し,トレハロースの割合が高いほど残存活性が高い傾向にあった.トレハロースを含む人参粉末は,グルコース,ソルビトール,マンニトール,マルトース,あるいは,スクロースなどの種々の糖質を含む粉末と比較して,最もSOD様活性の安定化効果が高かった.人参の他,なす,きゅうり,きゃべつ,ほうれん草,かぼちゃ,大根,あるいは,玉ねぎの粉末においてもトレハロースによりSOD様活性の安定化効果が認められ,野菜中に含まれる多様なSOD様活性物質成分に対して,トレハロースに安定化効果があると考えられた.
    2. 野菜中のどの様なSOD様活性物質に対して安定化効果があるのかを推定する目的で,SOD,および,各種抗酸化物質をトレハロース水溶液中で保存し,SOD様活性の安定化効果を調べた.西洋わさび由来のSODは,トレハロース濃度が高いほど活性残存率が高く,トレハロース溶液中で保存したときの活性残存率が最も高く,次いでスクロース,グルコースおよびマルトース,ソルビトールおよびマルチトールの順であった.αグルコシルヘスペリジン,αグルコシルルチン,没食子酸,あるいは,カテキンを,水中,あるいは,濃度40%w/vのトレハロース溶液中で保存した場合,いずれも,トレハロース溶液中の方が抗酸化物質のSOD様活性の残存率が高かった,トレハロースは,野菜中のSODと抗酸化物質の両方を安定化すると思われた.
  • 勝部 拓矢, 細谷 達夫, 山崎 幸一, 杉中 克昭, 岩本 正俊
    1998 年 45 巻 3 号 p. 216-220
    発行日: 1998/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    本研究では魚の調味漬工程において,近赤外分光分析計により調味液成分をリアルタイムで測定し,ファジィ制御技術で調味液濃度を一定に保つ工程管理システムの開発を行った.
    開発にあたって,まずビーカー規模で調味漬実験を行い,工程中における成分濃度の変化等について検討した.調味液を繰り返し使用する場合,減少した成分を補うことで,魚肉への吸収を一定に保ち,漬け時間の短縮が可能となった.また生菌数の増加を抑え,繰り返し使用が可能であった.よって濃度調整システムを使うことで,より品質の安定した製品を製造することができると考えられた.
    近赤外分光法による調味液各成分の分析では,キャリブレーションにおいてスペクトルを二次微分処理し,各二波長を採用することで,精度の高い検量線を得ることができた.この検量線は,その精度から考えて工程管理に十分応用可能であった.
    濃度調整システムの制御用ソフトは,パソコン画面や濃度の設定等,実際の使いやすさを工夫しており,誰でも簡単に使える様になっている.また濃度調整の手法として,ファジィ制御技術を用い,正確な濃度調整を可能にした.
    実際に濃度調整システムを用いて,100l規模で調味漬実験を行ったところ,調味液中の各成分濃度はほぼ一定に保たれ,本システムが有効に機能していることが示された.従来の静置方式では,魚肉から溶出する水分量の違い等により,製品にばらつきがでやすかった.本システムの使用は,品質の安定した製品の製造につながり,また調味液の効率的な使用により,コストの削減と環境保全にも役立つと考えられた.
  • 坂東 昌子
    1998 年 45 巻 3 号 p. 221
    発行日: 1998/03/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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