道産バレイショの新規加工法として,バレイショに含まれるデンプンとタンパク質に着目し,味醂様のバレイショ甘味調味料を調製した.121℃・30分加熱処理後剥皮,破砕したバレイショ200g,米麹40gと焼酎(35%(v/v)アルコール分)100gを仕込原料に用い,30℃・60日間熟成させた.仕込時の酵素剤(アミラーゼAD「アマノ」1とデナチームAPを併用.全仕込原料の0, 0.03,0.07と0.15% (w/w)の濃度で使用)添加の効果を検討した.バレイショ甘味調味料の収率及び全糖質(グルコースとして)とエタノール含量は,酵素剤添加の有無(0-0.15%)で著しい差はなかったが,全窒素含量は,酵素剤未添加と比べ,0.15%の酵素剤添加で,著しく増加した.従って,0.15%の酵素剤濃度が最適添加条件と考えられた.0.15%酵素剤添加バレイショ甘味調味料の収率及び全糖質,エタノールと全窒素含量は,それぞれ,72% (w/w), 22.4% (w/v), 8.5% (w/v)と0.27% (w/v)であった.また,主要糖質成分はグルコースとイソマルトースで,それぞれ,18.3% (w/v)と2.3% (w/v)含まれた.一方,遊離アミノ酸含量の総量は,0.15%酵素剤添加バレイショ甘味調味料で,0.92 (w/v),市販味醂で,0.23% (w/v)であった.0.15%酵素剤添加バレイショ甘味調味料におけるグルコースと全窒素量の回収率は,それぞれ,約70% (w/w)と約65% (w/w)であった.バレイショ甘味調味料調製の物資収支については,生バレイショの重量を100gとした場合,剥皮破砕バレイショ,全仕込原料と0.15%酵素剤添加バレイショ甘味調味料の重量は,それぞれ,87.4g, 149.0gと107.3gであった.
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