日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
48 巻, 5 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 関根 正裕, 堀内 久弥
    2001 年 48 巻 5 号 p. 321-327
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    デンプンをキサンタンガム溶液に懸濁させて糊化過程の動的粘弾性挙動を測定するゲル分散動的粘弾性測定(GDVM)及び迅速粘度分析法(RVA)によるデンプンの糊化温度特性を測定し,示差走査熱量分析(DSC)による糊化温度特性と比較した.
    1.RVA及びGDVMにおける根茎デンプン,モチ系種子デンプン及び緑豆デンプンの粘弾性の上昇開始温度(Ro及びGo)は,DSC糊化ピーク温度(Tp)付近で検出され,DSC温度特性値と高い相関を示したが,膨潤度の低いウルチ系種子デンプンのRoは,著しく高い温度で検出され,Tpとの関係でも他のデンプンと異なる傾向を示した.高デンプン濃度ほど,Goは低下するが,非常に高濃度では,糊化前の吸水による変化が検出され,Goは,DSC糊化開始温度よりも低下した.
    2.粘弾性の最大上昇率温度では,RmTpよりも約10℃,Gmが約5℃高いが,それぞれTpと高い相関を示した.また,Gmには,デンプン濃度による変化も少なく,デンプンの種類による影響もなかった.3.各粘弾性ピーク時温度(Rp及びGp)は,DSC糊化終了温度(Tc)よりかなり高温側にあり,各DSC温度特性値と有意な相関を示すが,ばらつきは大きかった.
  • 関根 正裕, 堀内 久弥
    2001 年 48 巻 5 号 p. 328-334
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    植物起源の異なる各種デンプンの粘弾性をキサンタンガム溶液に分散させて糊化過程における動的粘弾性挙動を測定するゲル分散動的粘弾性測定(GDVM)により求め,ラピッドビスコアナライザー(RVA)を用いた測定による結果と比較した.
    1.3種類のデンプン濃度で測定したGDVMから得た特定温度における粘弾性値(G',G”,tanδ)を用いて,各種デンプンの粘弾性を特徴づけ,採取した植物部位(根茎及び種子)及びデンプン成分(ウルチ及びモチ)により類別できた.
    2.高濃度のGDVMにより得られた粘弾性値がデンプン粒の粘弾性を反映し,キサンタンガムの影響はほとんど受けないことを修正kerner式を用いて説明した.
    3.根茎デンプンやモチ系種子デンプンでは,低濃度においても,GDVMによる粘弾性値は膨潤したデンプン粒の性質を反映するが,膨潤度の低いウルチ系種子デンプンでは,デンプン濃度20%以下になるとデンプン粒の粘弾性を反映しなかった.
    4.RVA粘度特性値も各種デンプンをGDVM粘度特性値と同様に類別できた.デンプン濃度の低いG'は,各RVA粘度特性値(最高粘度,最低粘度,ブレークダウン,最終粘度)と有意な相関を示し,最終粘度との間で最も高い相関を示した.
  • 梶本 修身, 勝呂 栞, 高橋 丈生
    2001 年 48 巻 5 号 p. 335-343
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    日頃,乾燥肌で肌荒れ傾向のある女性32名を対象に,グルコサミン塩酸塩(1500mg/day)のplaceboを対照とした6週間の二重盲検長期摂取試験を実施した.その結果,以下のことが明らかとなった.
    (1)医師による診察所見において,グルコサミン塩酸塩が,肌の乾燥や化粧のり,落屑を有意に改善させる働きのあることが示された.
    (2)肌の水分量測定において,グルコサミン塩酸塩が,水分量を増加させる働きのあることが示された.
    (3)肌の顕微鏡的3次元的皮膚表面解析によって,グルコサミン塩酸塩が,肌の滑らかさや鱗屑を改善させる働きのあることが示された.以上より,グルコサミン塩酸塩の長期摂取が,肌の保水や滑らかさを向上させる上で有効であることが示された.
  • 鐘ヶ江 亮太, 小幡 明雄, 松永 亮一, 高橋 将一, 小松 邦彦
    2001 年 48 巻 5 号 p. 344-348
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    現在日本で栽培されている大豆品種のうち,作付面積が多い上位6品種について,主要大豆アレルゲンの1つであるGly m Bd 28Kの有無を抗Gly m Bd 28Kモノクローナル抗体を用いたイムノブロットで分析した.その結果,6品種中5品種はGly m Bd 28Kを欠失していることを明らかにした.このことは現在栽培されている国産大豆のおよそ半分がGly m Bd 28Kを欠失していることを意味する.またこの5品種の起源は日本各地に分かれていることから,Gly m Bd 28Kの欠失に関わる遺伝子が日本の在来品種中に広く分布していることが示唆される.さらにHAJIKAetal.が開発したβ-コングリシニンのα,α',β-サブユニットを欠失するフクユタカQT2系統は戻し親種のフクユタカと同じくGly m Bd 28Kを欠失していることを明らかにした.このように主要大豆アレルゲンの内で大豆アレルギー患者の血清反応率が2番目に高い2つのアレルゲンとさらにもう1つの主要大豆アレルゲンを欠失していることから,フクユタカQT2系統が低アレルゲン大豆開発の育種素材となるものと期待される.
  • 上田 茂登子, 佐々木 勝昭, 宇都宮 直樹, 稲葉 和功, 嶋林 幸英
    2001 年 48 巻 5 号 p. 349-355
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    ハウス栽培のアーウィン種マンゴー果実(満開期は5月下旬)を1997年8月中旬に採取し,15℃と25℃で貯蔵後さらに7℃で1-3週間貯蔵し,各貯蔵果の諸性質と品質について検討した.
    1. 貯蔵により,果皮色のL値はほとんど変化しなかった.a値とb値は著しく増加し,緑紫色の新鮮果は明るく赤色味を帯びるとともに黄色味を呈した.しかし,15℃の貯蔵果を引き続き7℃で21日間貯蔵するとしわや黒変が生じた.
    2. 果肉色のL値は貯蔵により減少したが,a, b値は急増し黄白色が橙黄色に変化した.
    3. 果肉硬度は貯蔵により顕著に低下した.また,新鮮果で認められた果皮側と種子側の差は貯蔵果ではほとんどなくなった.
    4. 呼吸量は貯蔵により一旦増加したが,貯蔵期間が長くなるに伴い減少した.
    5. 可溶性固形物含量は貯蔵後比較的短期間に急増した後,漸増した.
    6. ショ糖とフルクトース,特にショ糖含量の増加は顕著であったのに反し,多糖含量は著しく減少した.また,クエン酸含量は漸減,リンゴ酸含量は漸増した.
    7. 各貯蔵果の物理的・化学的性質の検討および外観の調査結果から,ハウス栽培果の貯蔵に伴う諸性質の変化は,熱帯地方の露地栽培果とそれと大差がないと推定した.また,中・低温貯蔵期間が約30日以内であれば品質の劣化は生じないと考えた.
  • 岡崎 良生, 内海 成
    2001 年 48 巻 5 号 p. 356-360
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    7Sおよび11Sグロブリン含有牛乳カードの,タンパク質問相互作用力に影響をおよぼす各種試薬(NaCl,NaSCN, 2-メルカプトエタノールおよびプロピレングリコール)の共存下における形成性およびそれらに対する溶解性について検討した.各種試薬共存下でのカード形成は,7Sおよび11Sグロブリンを添加したカード共にNaSCN共存の影響が最も強く,次いでNaCl共存であった.各種試薬の溶解性に対する効果も7Sおよび11Sグロブリンを添加したカード共にNaSCNとNaClが強かった.また,各種試薬により可溶化するタンパク質は両グロブリンの特定のサブユニットではないことが分かった.このような各種試薬の効果から,7Sおよび11Sグロブリン含有カードの形成および構造の保持に対して疎水的相互作用および静電的相互作用の関与が強く,S-S結合と水素結合の関与は弱いこと,そして両グロブリンのサブユーット種間で差はないことが判明した.
  • 本堂 正明, 槇 賢治, 奥村 幸広, 山木 携
    2001 年 48 巻 5 号 p. 361-364
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    道産バレイショの新規加工法として,バレイショに含まれるデンプンとタンパク質に着目し,味醂様のバレイショ甘味調味料を調製した.121℃・30分加熱処理後剥皮,破砕したバレイショ200g,米麹40gと焼酎(35%(v/v)アルコール分)100gを仕込原料に用い,30℃・60日間熟成させた.仕込時の酵素剤(アミラーゼAD「アマノ」1とデナチームAPを併用.全仕込原料の0, 0.03,0.07と0.15% (w/w)の濃度で使用)添加の効果を検討した.バレイショ甘味調味料の収率及び全糖質(グルコースとして)とエタノール含量は,酵素剤添加の有無(0-0.15%)で著しい差はなかったが,全窒素含量は,酵素剤未添加と比べ,0.15%の酵素剤添加で,著しく増加した.従って,0.15%の酵素剤濃度が最適添加条件と考えられた.0.15%酵素剤添加バレイショ甘味調味料の収率及び全糖質,エタノールと全窒素含量は,それぞれ,72% (w/w), 22.4% (w/v), 8.5% (w/v)と0.27% (w/v)であった.また,主要糖質成分はグルコースとイソマルトースで,それぞれ,18.3% (w/v)と2.3% (w/v)含まれた.一方,遊離アミノ酸含量の総量は,0.15%酵素剤添加バレイショ甘味調味料で,0.92 (w/v),市販味醂で,0.23% (w/v)であった.0.15%酵素剤添加バレイショ甘味調味料におけるグルコースと全窒素量の回収率は,それぞれ,約70% (w/w)と約65% (w/w)であった.バレイショ甘味調味料調製の物資収支については,生バレイショの重量を100gとした場合,剥皮破砕バレイショ,全仕込原料と0.15%酵素剤添加バレイショ甘味調味料の重量は,それぞれ,87.4g, 149.0gと107.3gであった.
  • 小関 成樹, 伊藤 和彦
    2001 年 48 巻 5 号 p. 365-369
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    強酸性電解水によるカット野菜の殺菌がその品質に与える影響を明らかにするために,強酸性電解水,NaOCl水溶液および水道水による浸漬処理が野菜の外観,色素含量およびアスコルビン酸含量に与える影響を検討した結果,以下の知見が得られた.
    (1) いずれの試験溶液に浸漬しても野菜の外観色調に変化は見られなかった.しかし,各試験溶液に10分間浸漬することでカットキャベツとカットレタスではクロロフィル含量が10-20%減少し,カットニンジンではβ-カロテン含量が30%減少した.なお,減少の機構については明らかではない.一方,非切断の野菜を強酸性電解水に浸漬した場合にはいずれの野菜においても色素含量の変化は見られなかった.
    (2) 試験溶液の種類に関わらず,10分間の浸漬によりカットキャベツ,カットレタスおよびカットキュウリのアスコルビン酸含量はそれぞれ20%, 15%および35%減少した.一方,非切断の野菜を強酸性電解水に浸漬した場合にはいずれの野菜においてもアスコルビン酸含量は変化しなかった.
    (3) 強酸性電解水によるカット野菜の品質(色素含量,アスコルビン酸含量)低下はNaOCl水溶液や水道水と同等であり,強酸性電解水はカット野菜の品質に悪影響を与えなかった.
  • 宮原 由行, 勝崎 裕隆, 今井 邦雄, 小宮 孝志
    2001 年 48 巻 5 号 p. 370-373
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    (1) ゴマ脱脂粕に生育した微生物をAbsidia corymbiferaであると同定した.
    (2) ゴマ脱脂粕を本菌と接触させると原料に含まれていたセサミノールトリグルコシドが著しく減少し,抗酸化能を持つセサミノールが大量に生成する事を発見した.
    (3) 生成物の経時変化解析から,セサミノールの生成は菌との接触開始84時間後に最大となる.
    (4) セサミノール生成はセサミノールトリグルコシドの酵素触媒による脱グルコシル化によるものと推測した.
    (5) 今回開発した手法によれば,100gのゴマ脱脂粕は抗酸化性を持つ約200mgのセサミノールを与える.
    (6) 84時間の培養では,セサミンとセサモリンの含量は変化しなかった.
  • 野坂 千秋, 星川 恵里, 足立 和隆, 渡邊 乾二
    2001 年 48 巻 5 号 p. 374-377
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    1) 熟練者により裏ごしされたマッシュポテトを用いたスープの流動特性は非熟練者によるものに比し,見かけの粘度,降伏応力,粘稠性係数共に有意に(p<0.01)小さい値を示した.
    2) 熟練者の裏ごししたマッシュポテトを用いたスープは,粘りが弱くジャガイモの粒感が強い点から,のど越しが良好で食感が好ましいと評価され総合的にも非熟練者品に比べて有意に(p<0.01)好まれた.
    3) 裏ごし時の力学的特性との関係を見ると,熟練者は非熟練者に比べ,合力の最大値及び力積が小さく,ヘラを大きな角度で用いるジャガイモ細胞の損傷の少ない裏ごし操作であることから,そのマッシュポテトを用いたスープは見かけの粘度が低く,官能面でも粘りが弱く食感及び総合的に好まれるものとなった.
  • 相島 鐵郎, L.M POSTE, D.A MACKIE, G BUTLER, E LARMOND
    2001 年 48 巻 5 号 p. 378-385
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 菊池 佑二
    2001 年 48 巻 5 号 p. 393-398
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 前川 哲弥
    2001 年 48 巻 5 号 p. 399
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
feedback
Top