日本食品科学工学会誌
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48 巻, 7 号
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  • バレイショの加工特性に関する研究(第5報)
    佐藤 広顕, 永島 俊夫, 高野 克己
    2001 年 48 巻 7 号 p. 475-481
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    比重の異なるバレイショからその主要成分であるデンプンを分離・精製し,その性状について比較・検討した.
    デンプンの平均粒径は,低比重試料が約41.7μm,高比重試料が約50.3μmと高比重試料が大きかった.また,糊化開始温度は低比重試料が62.5℃,高比重試料が60.0℃であり,アミログラフィーによる各粘度特性値は,最高,最低ならびに最終粘度で高比重試料が高い値を示した.なお,X線回折図形はいずれもB型を示した.
    両デンプンともアミロース含量は約22%であり,分子量は50-100万であったが,高比重試料の方がやや大きな分子量を示した.アミロペクチンの分岐を比較したところ,それぞれ重合度28-38, 13-27および12以下の3画分が得られ,高比重試料の方が長鎖の比率が大きかった.
  • 岩田 博, 岩瀬 新吾, 高浜 圭誠, 松浦 宏行, 猪谷 富雄, 荒巻 功
    2001 年 48 巻 7 号 p. 482-490
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    米のα-グルコシダーゼ活性と食味との関係を検討するため,24種類の米の糖化関連酵素活性を測定し,合わせて一般成分試験,炊飯特性試験及びRVAによる粘度特性試験を行った.
    (1) α-グルコシダーゼ活性は,コシヒカリやあきたこまちで高く,赤米(対馬)や神力は低かった.一方,α-アミラーゼ活性は,赤毛,赤米(種子島)で高く,コシヒカリは低かった.
    (2) α-グルコシダーゼ活性は,炊飯特性試験のヨード呈色度と溶出固形分に強い負の相関(1%有意)が,膨張容積と一般成分試験のアミロース含量に負の相関(5%有意)があり,更に,粘度特性試験の最高粘度,ブレークダウンと強い正の相関があった.これらは食味と関連が深い項目であるので,α-グルコシダーゼ活性は,間接的ながら食味と関連があると推定された.α-アミラーゼ活性は,精米の還元糖と強い正の相関が,溶出固形分,溶出還元糖と正の相関があった.
    (3) 主成分分析を行い,第1主成分(アミロース(負))と第2主成分(還元糖)を軸として主成分得点をプロットすると,コシヒカリとあきたこまちは第1主成分の+側に1グループを形成し,赤米は-側に1グループを形成した.第1主成分はアミロース(負)を示すとともに,米の品種の年代も示しているように思われた.更に,この第1主成分に対し,α-グルコシダーゼが0.778という大きな主成分負荷量を持ったので,α-グルコシダーゼのアミロペクチン合成への何らかの関与が示された.
  • 畑江 敬子, 戸田 貞子, 今井 悦子, 松岡 芳子, Paula Galcia DOUBLES, 香西 みどり
    2001 年 48 巻 7 号 p. 491-497
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    高齢者と若年者のざらつき感覚および呈味効率と咀嚼回数を比較した.平均粒子径15-76μm,濃度0.4-1.6%に調製した微結晶セルロース水懸濁液を用いた,ざらつき感覚の有無を比較すると,高齢者は若年者と異なり,粒子径の違いを識別できず濃度の違いのみを識別していた.
    食塩1.1および1.6%含むこんにゃく,食塩1.0,1.5%,あるいはショ糖20%含む1.0または2.5%寒天ゲル,クラッカーを用いて,塩味と甘味の強さの感じ方を呈味効率により比較した.高齢者と若年者の間には1種(20%ショ糖含有2.5%寒天ゲル)を除いて差はなかった.
    高齢者は物性の異なる食品に対して咀嚼回数を変えており,物性の違いに若年者より敏感であった.これらの結果は高齢者用食品の開発に有用な知見を与えるものである.
  • 宮口 右二, 鈴木 友洋, 堤 将和
    2001 年 48 巻 7 号 p. 498-506
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    大腸菌に対するプロタミンとモノカプリンとの併用による相乗抗菌効果について検討したところ,以下に示す結果が得られた.
    (1)大腸菌に対する抗菌力はプロタミン濃度に依存し,0.05%の場合,30℃,40時間培養後も菌の増殖がほとんどみられなかった.
    (2)プロタミンと各種薬剤を併用したところ,モノカプリンとの併用で強い抗菌力の発現が認められた.
    (3)プロタミンとモノカプリンを併用した場合,抗菌力は弱酸性から中性域(pH5-7)でより強くみられた.
    (4)大腸菌のコロニー形成阻害能が,プロタミン単独またはプロタミンとモノカプリンの併用区で強く認められた.
    (5)プロタミンは菌表層部の疎水性を増大させ,また,菌体内の紫外吸収物質の漏洩はモノカプリンによって促進された.
    (6)菌体膜のコハク酸脱水素酵素の活性はプロタミン処理により低下し,モノカプリンを併用することで,さらに同活性の低下がみられた.
    (7)両薬剤の併用効果はプロタミンにより薬剤感受性が増大し,それによりモノカプリンの外膜透過性が高まり,その作用点である細胞膜に到達し,紫外吸収物質やSDHの漏洩など膜機能に障害を与えたためと推定された.
  • 古賀 菱子, 古賀 貴子, 坂本 宏司, 太田 英明
    2001 年 48 巻 7 号 p. 507-513
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    屠殺場の放血防止による環境保全および有効な食材化に関し,牛・血漿蛋白質(粉状)の臭気成分をSPME法およびクライオフォーカシングを併用したGC, GC-MSにより分析,同定した.
    血漿蛋白質ヘッドスペースガス中に63成分を検出し,その中37成分を同定した.主要成分はヘキサナールであることを確認した.
    サラダ油-水-血漿蛋白質のモデル乳化物における血漿蛋白質の濃度に関し,シクロヘキサノールを内部標準物質とし,それに対するヘッドスペースガス中の成分相対比が79%,さらにヘキサナールが11%を超えるとき,官能評価で異臭を知覚するとみられ,そのときの血漿蛋白質は0.4%であった.
    血漿蛋白質を1%用いた試作品・乳化液状ドレッシングでは醸造酢の影響によりPPの異臭は感知されなかった.
  • 田中 史彦, 守田 和夫, 前田 欣治
    2001 年 48 巻 7 号 p. 514-519
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    食品のマイクロ波加熱過程における殺菌・抑菌効果を動的に予測するためのソフトウェアを開発した.本ソフトは3次元熱移動と菌体の滅菌速度式を基礎としている.基礎方程式を数値解析法により解き,鶏胸肉のマイクロ波加熱過程におけるSalmonella sp.およびListeria innocuaの生存曲線を動的に予測した.ソフトウェアのプログラム開発はVisual Basic言語(Microsoft Co.)により行い,直方体の大きさ・加熱条件に関する情報を入力することで殺菌完了時間,冷点温度を計算して,これらの結果を表示する仕組みとなっている.本研究は,コンピュータ計算による食品の熱殺菌評価を行う上での指針となるものであり,食品のマイクロ波加熱殺菌装置設計支援ツール開発の一助となる成果である.
  • 卯川 裕一, 安藤 雅之, 古市 幸生, 苔庵 泰志, 西井 孝文, 久松 眞
    2001 年 48 巻 7 号 p. 520-525
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    キノコのコレステロール低減作用に着目し,ハタケシメジ子実体およびハタケシメジ抽出物について高コレステロール食投与ラットにおける血清および肝臓コレステロール濃度に及ぼす影響について検討した.その結果,
    (1) 血清脂質濃度については,特にハタケシメジ子実体投与群およびHWE群でTCの有意な低値を認めた.また,TGおよびPLはすべての試験飼料投与群で有意な低値あるいは低値の傾向が認められた.
    (2) 肝臓脂質含量については,特にEE群およびCP群で有意なTCの低値を認めた.TGは子実体投与群,HWE群で有意な低値を示し,CP群でも低値を示した.一方,PLはEE群で高値を示した以外は有意差は認められなかった.
    (3) 糞重量は,子実体投与群だけが対照群と比して有意な高値を示した.また,糞中胆汁酸排泄量はCP群,EE群では有意に低かったが,子実体投与群では有意差は認められないものの増加の傾向が認められた.
    (4) 以上の実験結果から,ハタケシメジが有するコレステロール低減作用は,食物繊維としての作用によるところが大きいと考えられるが,食物繊維以外にも疎水性物質や低分子物質が含まれる可能性が示唆された.
  • 関根 正裕, 石内 幸典, 松岡 和文, 古澤 栄作, 盛 俊哉, 小川 和雄, 柴崎 誠次
    2001 年 48 巻 7 号 p. 526-532
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    デンプンを利用したゲル状食品の力学特性改良技術の確立を目的として,GDVMにより得られた各種デンプンの低濃度及び高濃度におけるG'値(GL及びGH)とデンプン含有量の異なる3種の食品の弾力性(EC)の関係を調べ,各食品に対するデンプン添加による効果を検討した.
    1. ウルチ米デンプンを除けば,80℃で測定されたGHは,冷却後のデンプンゲルのECに対して相関を示した.
    2. デンプンを添加した蒲鉾のECは,GHとは相関を示さずGLに対してのみ相関を示した.しかし,サツマイモデンプンと緑豆デンプンでは,ECに対する効果が相対的に低く,他と異なる傾向を示した.
    3. ソーセージのECにデンプン添加の効果は認められたが,GDVM値とは,明確な相関を示さなかった.
    4. デンプンを添加したゆで麺のECは,小麦デンプンに各デンプンを同比率加えた混合デンプンのデンプン粒粘弾性を反映するGHと相関を示し,さらに40%変形時の弾力性値も対応するGHと相関を示した.
  • 西澤 千恵子, Van Chuyen NGUYEN
    2001 年 48 巻 7 号 p. 533-538
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    コーヒーとお茶類の抽出物について抗変異原性,ラジカル消去作用および抗酸化性について比較した.その結果,下記のことが明らかになった.
    (1) 抗変異原性については,AF-2とTrp-P-1に対して,コーヒーは強い抑制率を示した.
    (2) ヒドロキシルラジカルとスーパーオキシドアニオンの消去作用では,煎茶が最も大きな抑制作用を示し,コーヒーや他の茶類が続いた.DPPHラジカル消去作用についてはコーヒー,煎茶,玄米茶,ほうじ茶,ウーロン茶,紅茶は同程度であった.
    (3) 抗酸化性については,リノール酸に対してコーヒー,煎茶,紅茶,玄米茶,ウーロン茶,ほうじ茶が同程度の抑制を示し,カロテン退色に対しては煎茶,玄米茶が大きな抑制率を示した.
  • 相島 鐵郎, L.M POSTE, D.A MACKIE, G BUTLER, E LARMOND
    2001 年 48 巻 7 号 p. 539-548
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 平 宏和
    2001 年 48 巻 7 号 p. 549-553
    発行日: 2001/07/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
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