酢酸菌の
Acetobacter pasteurianus IFO 14814を用い,ヤーコンジュースの酢酸発酵処理を行った.ヤーコンジュースの青臭み除去とフラクトオリゴ糖(FOS)含有ヤーコンビネガー開発の可能性を検討した.
(1) 未処理ジュース(YJ)とアルコール発酵処理ジュース,すなわち未補糖で1日と10日,グルコースを補糖して1日と2日,OC-2酵母でアルコール発酵させたジュースを用いた.それぞれYJ⋅OC-2(1d),YJ⋅OC-2(10ds),YJ⋅OC-2(Glc⋅1d)とYJ⋅OC-2(Glc⋅2ds)と略記した.酢酸発酵処理条件を温度30°C,初発pH5.0,初発エタノール濃度5.5%(w/v)と前培養液添加率10%(v/v)に設定し,表面培養と振とう培養法を比較検討した.その結果,表面培養法ではYJ⋅OC-2(1d)は32日後に,YJ⋅OC-2(10ds)は20日後にそれぞれ4.0%以上の酢酸が生成された.振とう培養法では5日後に全試料ジュースで,すなわちYJ,YJ⋅OC-2(1d),YJ⋅OC-2(10ds)とYJ⋅OC-2(Glc⋅1d)でそれぞれ4.0%以上の酢酸が生成された.
(2) 酢酸発酵が正常に行われたFOS含有酢酸発酵処理ジュースを用い,香りを官能評価した.その結果,いずれの試料ジュースもヤーコンジュースの青臭みがほとんどなかった.その中で,表面培養法で得られたYJ⋅OC-2(1d)の酢酸発酵処理ジュースの香りが,比較的良好であった.また全FOS含量が83%残存し,まだ2.4%(w/v)含まれた.
(3) 以上の結果から,YJ⋅OC-2(1d)の試料ジュースを用い,表面培養法で約1ヵ月間,酢酸発酵処理を行う方法が,FOS含有ヤーコンビネガー調製法としてよりベターな方法と考えられた.
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