日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
69 巻, 10 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
報文
  • 福原 美鶴, 大田原 美保, 大石 恭子, 香西 みどり
    2022 年 69 巻 10 号 p. 457-466
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/14
    ジャーナル 認証あり

    著者らが提案した圧縮米飯粒法は, 米飯1粒を機器で0.1 mmに圧縮して作成した圧縮米飯粒の画像解析や明度測定から白飯の初期老化を定性的・数量的に把握する方法である. 本研究では玄米飯に本法の適用を検討し, 3品種の玄米 (金のいぶき, 巨大胚芽を有する低アミロース米;たきたて, 低アミロース米;ひとめぼれ, 標準的なうるち米) の飯粒内部の性状ならびに初期老化の特徴を明らかにすることを目的とした. 加えて玄米飯の糊化度と圧縮米飯粒法で得た情報との関連性について調べた.

    (1) 圧縮米飯粒法は玄米飯の初期老化の評価に適用可能であり, 加えて, 飯の中心部が糊化不十分で芯のある“芯飯”を捉えるための新たな指標を見出した.

    (2) 浸漬時間の短い白米の炊飯条件では, 吸水性が高く低アミロース米の金のいぶきの玄米のみ芯飯がほとんどできず, 他の2品種よりも初期老化が抑制された. 一方, 十分な吸水後の炊飯の場合にはいずれの玄米も芯飯はできず, 低アミロースの金のいぶき, たきたての老化が抑制されることが, 視覚的, 定量的に明らかとなった.

    (3) 圧縮米飯粒のL*値を測定するという簡便な方法によっても, 炊飯直後の玄米飯の性状や老化の傾向を捉えられることが示された.

    (4) 圧飯米飯粒法により把握された各玄米飯の情報は, 酵素法による糊化度との相関が高いことが確認され, 本法による観察は飯粒内部のデンプンの糊化・老化の状態を反映するものであることが示唆された.

研究ノート
報告
  • 中澤 洋三, 小暮 早紀, 宮下 慎一郎, 南 和広, 相根 義昌
    2022 年 69 巻 10 号 p. 473-480
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/14
    ジャーナル 認証あり

    市販小豆餡5種類について, 水分, 糖度, 物性の測定および官能評価を検討したところ, 市販餡にみられる水分条件下 (水分35〜50%) において, 餡の水分が高い試料ほど, 餡のテクスチャー測定における硬さの値が大きくなり, 甘さが低下する傾向がみられた. 餡のテクスチャーによって甘さの感じ方が異なることから, 餡の水分に応じた砂糖の添加量を検討する必要があると考えられた. 一方, 一般的には水分が高くなると, 餡粒子が分散されることにより, 流動性が増し, 硬さが柔らかくなることが予想されるが, 今回の市販餡を使用した試験では, 逆の傾向を示した. そこで, 同一原材料を使用して, 水分または糖度を調整した餡を調製して, 市販餡と同様な試験を検討したところ, 餡の水分が高くなるほど, 餡の硬さが柔らかくなり, 舌触りに有意差は認められないものの, 口溶けが良くなった. また, 水分40%に揃えて, 糖度を高くすると, 硬さは柔らかくなり, 舌触りが滑らかで, 口溶けが良い餡となることがわかった. 嗜好的品質が良好であった水分40%および糖度40%の餡が和菓子やパンの中に入れる餡として, 適度な硬さと口溶け感, 滑らかな舌触りと適度な甘さを示すことがわかった. 餡の「硬さ」は, 餡の口溶け感や舌触り, そして感じる甘さにも関わる重要な嗜好性因子である. 餡の嗜好性に及ぼす餡の水分と糖度の関係について, 本研究でその一端を明らかにできたが, 市販餡に見られたように, 水分の高い餡が硬いテクスチャーを示す場合もあった. 餡の硬さは, 餡の粒子形態に大きく依存することが予想され, 今後は餡の製造方法や副原料の影響を検討し, 餡粒子の形態と餡の物性ならびに嗜好性との関係を詳細に調べていくことが課題である.

  • 進藤 久美子, 藤本 竜輔, 八戸 真弓
    2022 年 69 巻 10 号 p. 481-489
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/14
    ジャーナル 認証あり

    野生動物肉の調理における無機元素濃度変化のデータの取得, および無機元素と放射性セシウムの挙動の比較を目的として, 放射性セシウムを分析した後のニホンジカ肉とイノシシ肉の調理試験試料を使ってK等無機元素を定量した. 回収率の多くが0.90-1.10の範囲となったK, Na, MgおよびPでは, 焼き調理後の肉の残存割合Frの平均はそれぞれ0.8, 0.9, 0.9, 0.9, ゆで調理は0.6, 0.6, 0.7, 0.7, 蒸し調理は0.5, 0.5, 0.7, 0.7で, いずれの調理法においても, これら4元素は調理によって減少し, 焼き調理より水を使用するゆで調理と蒸し調理のほうがより減少した. K, Na, MgおよびPの焼き調理における加工係数Pfの平均は, 1.2, 1.2, 1.2, 1.2, ゆで調理は0.8, 0.8, 1.0, 1.0, 蒸し調理は 0.8, 0.8, 1.1, 1.1で, 焼き調理ではすべて調理後の肉の濃度が高くなり, 加工係数Pfは1より大きくなった. 放射性セシウムの残存割合Frおよび加工係数Pfとの比較から, 放射性セシウムとKは調理による挙動が類似しており, 本報告の結果からも, 放射性セシウムデータがない場合の肉類の調理における放射性セシウムの除去率や残存割合Frなどを求める際の代替として, Kのデータの利用が可能と判断された.

解説
シリーズ─研究小集会 (第50回) 卵部会
  • 笹原 亮
    2022 年 69 巻 10 号 p. 491-492
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/14
    ジャーナル フリー
  • 田上 貴寛
    2022 年 69 巻 10 号 p. 493-498
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/14
    ジャーナル フリー

    Genome editing technology can be used to extensively modify genetic information in DNA, and such applications are expected to be widely applied in the fields of medicine and agriculture. In chickens, genome editing of primordial germ cells has made it possible to create genome-edited chickens, which may lead to improvements in breeds that have been difficult to achieve using conventional breeding methods. The development of products derived from genome-edited chickens for the market should be approached with caution, and identification of problems and consumer acceptance should be carefully considered.

  • 松永 将伍, 嶋澤 光一, 小浦 英恵, 深川 聡
    2022 年 69 巻 10 号 p. 499-502
    発行日: 2022/10/15
    公開日: 2022/10/14
    ジャーナル フリー

    The Tsushima-jidori are a native breed of chickens in Tsushima City, Nagasaki Prefecture, and have long been kept as egg-laying hens in garden poultry farms. In order to improve the egg-laying ability of Tsushima-jidori, they were crossed with red eggshell laying hens, which have higher egg-laying ability, and the egg-laying characteristics of the crossed hens were investigated. The crossbred chickens were found to have higher egg-laying ability than the Tsushima-jidori, a more elongated egg shape compared to the red eggshell laying hens, and an eggshell color of pink to almost reddish-brown. The general egg composition showed inherited characteristics of both Tsushima-jidori and red eggshell hens. The large yolk ratio is a characteristic of Tsushima-jidori hens, and hens resulting from crossbreeding with Tsushima-jidori hens inherited the same characteristics. Further, eggshell thickness and strength, and Haugh unit were improved by crossbreeding with red eggshell hens. These results suggest that crossbred Tsushima-jidori hens can inherit characteristics of the original Tsushima-jidori hens while exhibiting high egg-laying ability and producing distinctive eggs.

feedback
Top