The author has been conducting research into improving the sensory and processing properties as well as the health-promoting functions of foods, and evaluating the physiological functions of food components with agreeable sensory properties, with colleagues and students in my laboratory. Among the sensory and processing properties, expansive properties of protein-fortified breads and foaming, emulsifying and gelling properties of food proteins were improved. Among the health-promoting functions, improvement of nutritional value, inhibition of platelet aggregation, reduction in allergenicity, prevention of hepatic injury, suppression of hyperglycemia, and enhancement of calcium absorption were achieved.
(1)キクイモを焙煎することにより,総ポリフェノール含量が増加し,190℃,30分間で最大となった.総ポリフェノール含量の増加と共にDPPHラジカル消去能とα-グルコシダーゼ阻害活性が増加した.
(2)総ポリフェノール含量が有意に増加する170℃,30分からカフェ酸誘導体類は減少し,新たな成分が増加した.生成した成分がDPPHラジカル消去能やα-グルコシダーゼ阻害活性に寄与したことが示唆された.
(3)イヌリンの含量は,170℃,30分間の焙煎までは有意な変化は認められず,190℃以降は温度が高く,時間が長くなるにつれ減少した.
(4)茶様飲料を想定した抽出液にもイヌリンやポリフェノールが焙煎処理に応じて抽出されることが確認された.
以上のことより,焙煎キクイモは茶様飲料等様々な飲食品に利用でき,イヌリンと増加したポリフェノールにより機能性作用も期待される結果が得られた.
Monosodium Glutamate (MSG)を食事に添加することによる食事誘発性熱産生(TEF)への影響は明らかとなっていない.同一エネルギー量でMSG濃度の異なる食事を摂取したときのTEFおよび体表面温度に対する影響を明らかにすることを目的として,非肥満者の青年期女子14例を対象に調査した.350 kcal (1 464 kj)の食事に対し材料の重量の0.5% (0.5%食),0.25% (0.25%食)のMSGを添加した食事および無添加(0%食)の食事の摂取開始後から180分間,エネルギー消費量および右鎖骨部中央上部(右鎖骨部)および左鎖骨中線上の第7肋骨の下方部(左肋骨下方部)の体表面温度を測定した.TEFの曲線下面積は摂食開始後31-60分では0.5%食が0%食および0.25%食より有意に高値を示した(p<0.05).右鎖骨部の体表面温度は,MSGによる影響を受けなかったが,摂食開始後31-60分の⊿左肋骨下方部体表面温度のAUCで0.5%食が0%食および0.25%食より有意に高値を示した(p<0.05).今回,限定的な実験条件のもとでMSGの食事への添加により,摂食開始後31-60分でエネルギー消費量上昇がみられ,左肋骨下方部の体表面温度を上昇させる可能性があることが考えられたが,さらなる検討が必要である.
本研究では,産卵鶏に市販のケイ素剤を投与したときの卵黄中遊離アミノ酸量および血管強度に与える影響を検討した.ケイ素剤を産卵鶏に10週間飲水投与したところ,卵黄中遊離アミノ酸量はアスパラギン酸,スレオニンおよびアラニンで,低用量(1%)群と比較して高用量(5%)群で有意な増加が認められた.また,下行大動脈の血管強度は対照群と比較して高用量群で有意な増加が認められた.本研究の結果より,ケイ素を産卵鶏に摂取させると卵黄の味質および血管強度の向上に効果的である可能性が示唆された.