日本食品科学工学会誌
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63 巻, 2 号
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報文
  • 宮﨑 義之, 倉田 有希江, 古賀 裕章, 山口 智, 立花 宏文, 山田 耕路
    2016 年 63 巻 2 号 p. 63-69
    発行日: 2016/02/15
    公開日: 2016/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究では,食酢の体調調節機能の解明を目的として,各種果実酢のヒスタミン放出抑制活性について検討した.まず,山ブドウ,ハスカップ,ブルーベリー,ザクロを原料とする4種類の果実酢がラット好塩基球様白血病細胞株RBL-2H3のヒスタミン放出に及ぼす影響を検討したところ,各果実酢がヒスタミン放出抑制活性を有することが明らかとなり,特にザクロ酢で極めて強い活性が認められた.そこで,Diaion HP20を用いてザクロ酢中の生理活性成分のクロマト分離を試みた結果,50% EtOH溶出画分に強いヒスタミン放出抑制活性が認められた.さらに,本50% EtOH溶出画分を液-液抽出によって分画し,ザクロ酢には水溶性の異なる複数のヒスタミン放出抑制成分が存在することを明らかにした.また,各画分のヒスタミン放出抑制活性がPVPPで処理することによってほぼ完全に消失したことから,ポリフェノール化合物が主要な活性成分であることが示唆された.これらの結果から,ザクロ酢にはヒスタミン放出抑制に寄与する複数のポリフェノール成分が存在し,他の食酢と比較して強い抗アレルギー作用を発揮する可能性があることが示唆された.
技術論文
  • 鶴永 陽子, 仙田 真夕, 楫野 紋美, 三島 晶太, 高橋 哲也, 吉野 勝美
    2016 年 63 巻 2 号 p. 70-77
    発行日: 2016/02/15
    公開日: 2016/03/29
    ジャーナル フリー
    鶏卵,エバミルク,砂糖に脱渋ペースト,渋ペースト,渋搾汁液を追加してプディングを調製し,色調,物性,内部構造ならびに官能評価に及ぼす影響について調べた.その結果,渋搾汁液を添加したプディングは,官能評価の外観,舌触り,なめらかさ,食感,総合的なおいしさで有意に高い評価だった.また,プディング製造時に渋搾汁液や渋ペーストを添加すると,暗い色調になることがわかった.さらに,渋搾汁液や渋ペースト自体は非常に強い渋味を呈するが,プディングに加工することで,渋味が消失することが明らかとなった.以上のことより,渋ガキを用いてプディングを製造する場合,渋搾汁液を使用するのが最も良いことが明らかとなった.
  • 上田 京子, 樋口 智子, 平野 吉男, 塚谷 忠之, 末永 光, 齋藤 浩之, 横溝 雅和
    2016 年 63 巻 2 号 p. 78-85
    発行日: 2016/02/15
    公開日: 2016/03/29
    ジャーナル フリー
    規格外の富有柿(Diospyros kaki ‘Fuyu’)を原料とした柿シロップの乳酸発酵飲料開発について報告する.柿シロップでの生育試験の結果から柿果実分離乳酸菌BFRI 380-7を選定した.BFRI 380-7はLactobacillus plantarumと同定した.さらに,BFRI 380-7を含む,柿シロップを発酵することが可能な乳酸菌は,タンナーゼ活性(タンニンアシルヒドロラーゼ)を有することを明らかにした.BFRI 380-7を用い,発酵温度30°Cで,最適発酵条件を検討した結果,発酵時間4∼6日であり,最も高い乳酸生産量を示した柿シロップ濃度はBrix 30であった.30°C,5日間発酵で,乳酸菌濃度は1.1%,乳酸菌数は4.8×108 個/ml に達した.さらにBFRI 380-7を用いて,乳成分を含まない柿シロップのみを原料とした乳酸発酵飲料を試作した.
研究ノート
  • 佐々木 一憲, 五月女 格, 岡留 博司, 甲斐 由美, 沖 智之, 奥野 成倫
    2016 年 63 巻 2 号 p. 86-92
    発行日: 2016/02/15
    公開日: 2016/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究では「すいおう」葉身のアクアガス加熱処理がポリフェノールオキシダーゼ活性に及ぼす影響を検討した.「すいおう」葉身の内部温度はアクアガス加熱開始直後から急速に上昇し,10秒間で90°C,30秒間で95°Cに到達したが,PPOは1分間と3分間では失活しておらず,ほぼ完全に失活させるには5分間の加熱処理が必要であることが明らかとなった.また,アクアガス加熱処理の処理時間の増大に伴い処理後の「すいおう」葉身から調製した抽出液の褐変の程度は低下した.アクアガス加熱5分間処理後の「すいおう」葉身中のCAおよび7種のCQAsの量は,同一時間の茹で加熱に供した葉身と比較して有意に多かった.アクアガス加熱処理では試料からの成分流出が抑制されていると考えられ,機能性成分であるCQAs含量維持の観点からの一次加工品製造に利用可能と考えられた.
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