ヤーコンの塊根はFOSを良い給源として知られているが,塊根中のFOS含量に及ぼす加熱調理の影響については十分に検討されていない.本研究では,4品種(PA,SOt,AY,SOk)のヤーコン塊根を用いて,ボイルやマイクロ波,スチームのような種々の加熱処理を行い,処理されたヤーコン塊根中のFOS組成を評価することとした.さらに,FOSに及ぼす塊根の剥皮および磨砕処理の影響についても検討した.その結果は,以下に示すとおりである.
(1) ヤーコンのFOSは1カ月4°Cで貯蔵すると明らかに減少した.
(2) このFOSは剥皮および磨砕後に100°Cで加熱すると減少した.
(3) SOtを除き,1%酢酸で1時間処理してもFOS量にはほとんど影響しなかった.
(4) FOSはフライ処理によって著しく減少したが,ボイルやマイクロ波,オーブン,スチーム処理のような加熱では影響をほとんど受けなかった.
(5) 4%FOSを含むSOt由来のヤーコン抽出物は乳化活性を減少させ,エマルション安定性を増加させた.本研究により,適切な加熱条件によりヤーコン塊根より高濃度のFOSを得られることが示唆された.
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