流木木酢液からホルムアルデヒド,メタノールを除去すると共にベンゼン抽出物各画分の燻臭成分とその抗酸化性について検討した.
(1) 流木木酢液,ベンゼン抽出及び残査中のホルムアルデヒド,メタノールの含有量を測定したところ,ベンゼン抽出物の含有量は5ppm以下であり,その大部分は残渣に残存していることが判明した.
(2) 流木木酢液,ベンゼン抽出物及び残査中の有機類の含有量を測定した結果,ベンゼン抽出物の含有量は0.01%以下であり,その大部分は残査に残存していたことが判明した.
(3) ベンゼン抽出酸性部,フェノール部,中性部から23種類の主な燻臭成分が確認された.
(4) ベンゼン抽出各画分のうちフェノール部に最も強い抗酸化活性及びDPPHラジカル消去能が認められた.
(5) 抗酸化活性を示す燻臭成分のうち4-アリル-2,6-ジメトキシフェノールが最も強く,続いて4-エチルグアヤコール,2,6-ジメトキシ-4-メチルフェノール,アセトシリンゴン,シリンガアルデヒド,クレオゾール,2,6-ジメトキシフェノール,グアヤコールの順であり,フェノール,
o,m,p-クレゾールは抗酸化活性を示さなかった.
(6) DPPHラジカル消去能では4-アリル-2,6-ジメトキシフェノール,4-エチルグアヤコール,クレオゾール,2,6-ジメトキシ-4-メチルフェノール,グアヤコール,2,6-ジメトキシフェノールの順であり,フェノール,
m-クレゾール,アセトシリンゴンはラジカル消去能を示さなかった.
(7) フェノール化合物の抗酸化活性及びラジカル消去能の強さはCH
3O,CH
3の位置などによって関係していると考えられる.
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