日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
ISSN-L : 1341-027X
51 巻, 3 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 羽倉 義雄
    2004 年 51 巻 3 号 p. 109-114
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 吉村 美紀, 柴田 文江, 江藤 正義, 西成 勝好
    2004 年 51 巻 3 号 p. 115-122
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    加熱温度と大豆粉濃度およびGDL濃度が大豆粉水分散液のゲル化過程に及ぼす影響について動的粘弾性測定,DSC測定により検討した.
    1.加熱温度の影響
    加熱及び未加熱大豆粉水分散液は,加熱温度(40∼90°C)が高いほどゲル化開始時間t0は短くなり,ゲル化速度定数kが高く,ゲル化が速く進んだ.これらの結果は,通常の豆乳および7Sグロブリンのゲル化過程の温度依存性と同様の傾向を示した.加熱大豆粉水分散液は未加熱より,kは大きく,損失正接tanδの最小値は低い値を示した.未加熱大豆粉水分散液では,加熱温度が高いほど貯蔵剛性率G'が高くなり,80°Cあるいは90°C加熱で弱いゲルの特徴を示した.加熱大豆粉水分散液では,70°CにおけるG'が最高値を示し,次に80°C,90°Cであり,真のゲルの特徴を示した.DSC曲線より,未加熱大豆粉水分散液は70°C,90°C付近に2つの吸熱ピークが見られたが,加熱大豆粉水分散液ではピークがみられなかった.加熱大豆粉水分散液では90°Cの加熱で蛋白質の球状状態がほぐれて蛋白分子間での相互作用が起こりやすい状態になっており,GDL添加の80°Cあるいは90°C加熱により強いゲルが形成したことが推察された.
    2.大豆粉濃度の影響
    大豆粉濃度(11∼17%)が高いほど,t0は短く,kは大きく,ゲル化が進んだ点でのG'値は高く,ゲル化は速く進み,強いゲルとなった.通常の豆腐において,豆乳濃度が高いほど強いゲルになることが報告されており,同様の結果を得た.7s成分,11s成分のkについては,蛋白質濃度(1∼6%)が増加するにつれ,減少する報告があるが,本実験では異なる結果を得た.
    3.GDL濃度の影響
    GDL濃度が高い方がt0は短く,kは大きく,ゲル化が進んだ時のG'は高い傾向を示した.DSC曲線より,GDL濃度が高くなるほど吸熱ピーク温度は高温側にシフトし,熱安定性が増加した.力学的挙動より,GDL存在下での加熱大豆粉水分散液の凝固において,GDL濃度が高い方がより強いゲルが形成されることが推察された.
  • 原田 三郎, 鈴木 涼子, 谷猪 由紀, 城 斗志夫, 太田 英明, 渡辺 敦夫
    2004 年 51 巻 3 号 p. 123-130
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    セラミックMF膜を用いWSP入り無菌清澄リンゴ果汁を製造することを目的としてWSPの膜透過を検討し,以下の結果を得た.
    (1) 原果汁のMF膜処理で清澄果汁にWSPを有効に含有させることはできなかった.WSPのなかで分子量が大きいものが膜で阻止され,これが分子量の小さいものまで膜透過を阻害するものとなるためであることが判明した.
    (2) 20°C,5分間のペクチナーゼによる酵素反応でWSPのパーシャル分解が可能であり,WSPは約(70∼90)%を残存させることができた.
    (3) パーシャル分解した果汁のWSPはMF膜ろ過で清澄果汁側へ有効に含有させることができた.WSPのMF膜透過には,クロスフロー線速よりもろ過圧力が大きく影響することが判明し,線速(1∼2)m/sで生ずる圧力損失のみをろ過圧とした操作が有効であった.
    (4) パーシャル分解果汁から得られた清澄果汁は,分子量(100000∼200000)にピークを有するWSPを(110∼190)mg/L含有し,100日間の常温保存では二次沈殿(おり)が発生しないことが分かった.
    以上のことから,ペクチン含有清澄リンゴ果汁を膜分離技術で製造するには,酵素による低温・短時間のパーシャル分解が有効であり,この方法によって目的を達成することができた.
  • 中国語テクスチャ表現に関する研究(第1報)
    早川 文代, 陳 舜勝, 王 錫昌, 李 再貴, 齋藤 昌義, 馬場 康維, 横山 雅仁
    2004 年 51 巻 3 号 p. 131-141
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    中国語の食品のテクスチャ表現を収集,分類することを目的に,中国国内でアンケートを実施し,以下の結果を得た.
    (1) 北京,山西,上海および広東で自由記述形式によるアンケートを行い,テクスチャ表現を収集した.得られた317語について,中国人の専門パネルが辞書類を参考にディスカッションを行い,144語を中国語のテクスチャ用語とした.
    (2) 北京および上海で144語のテクスチャ用語が30のテクスチャ基本要素のいずれを表しているかについてアンケートを行った.数量化理論第III類を適用して解析したところ,「硬軟」,「緊密度」,「粘稠性」,「弾力」,「脆さ」,「あぶらっこさ」の6つの基本概念が抽出され,これらによって中国語のテクスチャ用語が特徴づけられることが示された.
    (3) 144語のテクスチャ用語は,前項の6つの基本概念で構成される6次元空間において,53群に分類された.
  • 魚住 恵, 塚本 知玄, 小野 伴忠
    2004 年 51 巻 3 号 p. 142-148
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    大豆茹で汁による植物性食品の加熱軟化促進作用の因子を探る目的で大豆茹で汁の加熱軟化促進作用を検討し,以下の点を明らかにした.
    1) ニンジンの加熱軟化は水で加熱した場合硬さの低下が主な原因であるが,大豆茹で汁で加熱した場合は硬さの低下に著しい凝集性の低下を伴った.
    2) 大豆茹で汁のニンジン加熱軟化促進因子は,低温での上澄画分に存在した.
    3) 大豆茹で汁上澄には,カリウムが多量に含まれ,次いで,マグネシウム,カルシウムであった.このうち,カリウムはダイズ添加によるニンジン加熱軟化促進因子のひとつと考えられる.
    4) 大豆茹で汁上澄を脱陽イオン処理した画分には,ニンジンの加熱軟化促進効果を抑制する物質が含まれる.この物質についてはさらなる検討が必要である.
  • 原田 修, 脇田 義久, 吉田 和利, 大橋 智子, 桑田 実, 藤村 庄
    2004 年 51 巻 3 号 p. 149-154
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    試作した装置でオカラを連続的に高温高圧水処理することができ,水だけで短時間に可溶成分を増加させることができた.可溶成分中にはタンパク質,セルロース,非セルロース系多糖類由来の成分が含まれているが,反応温度が上がるとヘミセルロース由来成分が増加することが分かった.高温高圧水処理したオカラには未処理オカラに比べ水溶性食物繊維が多く含まれ,290°Cで処理したオカラには未処理オカラに比べて約3倍含まれていた.反応残渣の吸水率は反応温度260°Cで極大を示して未処理オカラに比べ7.3倍で,オカラ独特のパサパサ感は認められなかった.このように,高温高圧水処理オカラは付加価値が付与され,食感が改善されたことから食材としての利用も容易になったと考えられる.
  • 早見 功, 元村 佳恵, 西沢 隆
    2004 年 51 巻 3 号 p. 155-160
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    商業的に生産されているエチレン処理を伴う豆もやしについて,エチレン処理後の生長に伴う部位別の細胞壁多糖の量的変化を調べることにより,各部位における細胞壁合成の特色並びに各部位における生長が胚軸における細胞壁合成に及ぼす影響を調査し,以下の知見を得た.
    1) 子葉の新鮮重は胚軸や根の生長に伴い減少したのに対し,エチレン処理後7日における胚軸の新鮮重は根の7倍に達した.
    2) 子葉におけるASSの割合は,エチレン処理後1日までに大きく減少したのに対し,AISは処理後3∼6日の間で大きく減少した.
    3) 胚軸および幼根のウロン酸含量は,エチレン処理後3日以内に顕著に増加したのに対し,子葉中のウロン酸の増加は,処理後3∼5日にかけて顕著に増加した.子葉および幼根における中性糖含量は,生長に伴い緩慢な増加傾向を示したのに対し,胚軸では減少傾向を示した.
    4) 胚軸では生長に伴い,水溶性および塩酸可溶性画分におけるウロン酸含量が増加した.中性糖含量は低い値を維持するか,もしくは減少した.幼根では生長に伴いキレート可溶性および塩酸可溶性画分におけるウロン酸含量が増加したが,中性糖含量は,低い値を維持した.
    5) これらの結果から,リョクトウもやしが生長する際には,胚軸では生長に伴い水溶性および塩酸可溶性ペクチン主鎖の合成活性が高いのに対し,幼根ではキレート可溶性および塩酸可溶性ペクチン主鎖の合成活性が高いと考えられた.
  • 赤星 亜朱香, 金田 尚子, 下田 亜沙子, 西村 和子, 南 美幸, 工藤 康文, 菅野 道廣
    2004 年 51 巻 3 号 p. 161-166
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Aurの生理機能についての知見を集積するため,Aurに富む甘夏果皮あるいはAur濃縮物をラットに投与し,血清成分や肝臓脂質の脂肪酸組成を中心に検討した.その結果,血清トリグリセリド濃度低下効果が観察され,脂肪酸代謝への関与が示唆された.肝臓脂質の脂肪酸組成にかなりの変化が見られ,とくに肝臓リン脂質におけるステアリン酸およびアラキドン酸の増加,リノール酸の減少,リノール酸不飽和化促進効果が指摘され,膜機能への影響と同時にエイコサノイド産生への効果も推察された.
  • 西岡 不二男, 浅岡 大介, 山崎 雅夫
    2004 年 51 巻 3 号 p. 167-171
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    過熱水蒸気を用いホタテ白干し製造の期間の短縮と高品質化を図る目的で実験を行った.その結果,1) 製造期間を4日に短縮することができた.2) 白干しの品質を左右する褐変度については1等品以上のものを製造することができた.3) 製造した白干しにはグリコーゲンや旨味核酸が多く残存していた.4) 身割れについては,晒し時間を15分間以上行うことで抑制できることが確認された.5) アルカリ水処理には核酸関連物質の分解が見られた.
    以上のことから,ホタテ白干し製造において過熱水蒸気を用いることは,製造期間の短縮と高品質な製品を製造する上で非常に有効な方法であることが明らかになった.
  • 阿部 利徳, 氏家 隆光, 笹原 健夫
    2004 年 51 巻 3 号 p. 172-176
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    エダマメ9品種および普通大豆5品種を用いて,開花後35日の未熟子実の遊離アミノ酸含量および糖含量の品種間差異,およびこれらの成分がゆで操作により加熱した場合にどのように変化するかを調べた.未熟子実の全遊離アミノ酸含量には顕著な品種間差異が認められた.おいしいエダマメとして知られている白山ダダチャは全遊離アミノ酸は新鮮重1g当たり,11mg含有し,最も多く,含量の少ない品種の約3倍量含有していた.遊離アミノ酸の中で,特に呈味性アミノ酸のグルタミン酸,アスパラギンおよびアラニン含量が多く,この3種の遊離アミノ酸で全遊離アミノ酸の約50%を占めた.白山ダダチャの他,サッポロミドリ,青ばた,かほりが比較的高く,その他のエダマメ品種や普通大豆品種は低い含量であった.また,3分間煮沸水中でゆでた場合,多くのアミノ酸は含量がやや減少した.平均して全遊離アミノ酸は74%に減少した.全糖およびショ糖含量の品種間差異をみると,白山ダダチャが最も多く,新鮮重1g当たり全糖で約47mg,ショ糖では約30mg含有していた.白山ダダチャに次いで,青ばたと秘伝が多く含有していた.3分間煮沸水中でゆでた後のショ糖含量の増減は認められなかったが,全糖含量は平均して1.5倍に増加した.
  • 木幡 勝則, 城下 昌弘, 高嶋 和彦, 氏原 ともみ, 堀江 秀樹
    2004 年 51 巻 3 号 p. 177-180
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) 茶期間のpH比較では,生葉全体である一心四葉で比較すると,一番茶より二番茶で低いことが明らかとなったが,二番茶と三番茶には差は認められなかった.この傾向は,第二葉から第四葉での各比較においても同様であった.葉位間のpH比較では,下位にある葉ほど低くなる傾向にあり,中でも越冬葉は最も低い値を示した.
    (2) 荒茶でのpHは品種によらず,また,露地栽培,被覆栽培の違いによらず,二番茶において一番茶より0.2∼0.3低いことが明らかとなった.
    (3) 荒茶のPhy変化率は,品種によらず,また露地栽培,被覆栽培の違いによらず,二番茶において一番茶より9∼18%も高いことが明らかとなった.
    (4) pHとPhy変化率との間には負の相関のあることが認められ,二番茶ほどpHが低く,Phy変化率が大きくなることから,結果として変色がより大きくなることが示された.この相関は,露地栽培茶と被覆栽培茶に分けて求めたときに強くなることから,Phy変化率はpH等の生理的要因だけではなく,葉の物理的要因等も考慮すべきことが示唆された.
  • 三宅 義明, 福本 修一, 坂井田 和裕, 大澤 俊彦
    2004 年 51 巻 3 号 p. 181-184
    発行日: 2004/03/15
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    レモン,オレンジ,グレープフルーツのカンキツ果皮をAspergillus属3菌種(A.awamori,A.niger,A.usamii mut.shirousamii)で発酵することにより,DPPHラジカル捕捉活性の上昇が認められた.また,カンキツ果皮中のフラボノイド配糖体のhesperidinやnaringinからそれらのアグリコンやヒドロキシフラボノイドが生成され,特にヒドロキシフラボノイドが果皮発酵物の抗酸化性の上昇に寄与していることが示唆された.
feedback
Top