日本食品科学工学会誌
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44 巻, 1 号
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  • 宮尾 茂雄
    1997 年 44 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 金 哲, 宿野部 幸孝, 種谷 真一
    1997 年 44 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    回転膜ろ過システムで,連続的に酸カゼインをプロテアーゼMにより加水分解を行い,その分解物を膜ろ過し,運転条件を把握した.
    (1)酵素プロテアーゼMによる加水分解物の膜透過液は,運転時間(0~6時間),および(基質濃度S/酵素濃度E)比に関係なく,分子量300~600のペプチドが多い.
    (2)反応槽中に酵素液を入れ,その酵素が濃縮される途中の酵素濃縮液および透過液の酵素活性を調べた結果,漏れはごくわずかであった.また透過流束の変化から酵素の膜面付着を調べたが,付着は微量であった.
    (3)回転膜ろ過システムでの反応速度が,ミハエリスーメンテンの理論式に従うとすると,ミハエリス定数は2.94%,最大反応速度は33.56%・h-1であった.
    (4)透過流束は圧力とともに,増加するが,圧力200kPaで,S/E=3.0%/0.25%,およびS/E=5.0%/1.0%では,運転時間が長くなるほど,透過流束は減少する傾向があった.透過流束量の減少の少ないS/E=3.0%/1.0%が最も良好であった.
    (5)反応槽の固形分濃度に対する透過液固形分濃度の割合を基質変換率と定義した.基質変換率は圧力の増加に対して低下する傾向をもち,またS/E比にも関係し,S/E=3.0%/0.25%で低く,S/E=3.0%/1.0%およびS/E=5.0%/1.0%では同じ傾向を示し,35kPaの圧力で最大基質変換率0.85を示した.
    (6)平均滞留時間は,圧力の増加につれて減少する.35kPaではS/E=5.0%/1.0%で35kPaのとき13.5hの最高値,S/E=3.0%/1.0%で200kPaのとき1.82hの最低値を示した.
    (7)膜回転数に関係するテーラ数と透過流束との関係から,圧力100kPaの場合,透過流束はテーラ数450(1000rpm)で最も低く,678(1500rpm)で最大になり約30.5kg・m-2・h-1の高い値を示し,その後は減少した.
    (8)酵素重量に対する膜透過分解物の重量割合で表す生産性からみて,S/E=3.0%/0.25%が最も良好な生産性を示した.
  • 添田 孝彦
    1997 年 44 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    加熱分離大豆タンパク質の冷蔵ゲル化に及ぼす糖質,エチレングリコールおよび脂質の影響を調べた.
    (1) ショ糖は冷蔵ゲルのゲル強度を低下させた.このショ糖のゲル化阻害はショ糖とタンパク質との強い親和性により,タンパク質分子間での相互作用が抑制されたたあであることが示唆された.一方,小麦澱粉の冷蔵ゲル化に及ぼす影響はみられなかった.
    (2) エチレングリコールはゲル化阻害作用が大きく,10%濃度で冷蔵ゲルはほとんど形成しなかった.これはエチレングリコール分子のもつ疎水性がタンパク質間での疎水的相互作用を妨げ,網目構造形成を抑制したためであることが示唆された.
    (3) 脂質について,中性油脂である大豆油と極性油脂である大豆レシチンとではその作用が大きく異なった.大豆油では2.5%濃度において,大豆油無添加ゲルに対してゲル強度約20%および変形率10%の低下を示し,これ以上の濃度ではゲル強度および変形率の低下は小さかった.一方,大豆レシチンは濃度増加に伴って直線的に冷蔵ゲルのゲル強度と変形率を低下し,10%濃度ではゲル化をほとんど阻害した.このことから大豆レシチンによるゲル化阻害はレシチン分子の有する疎水性に起因することが示唆された.
  • 増田 亮一, 山下 市二, 金子 勝芳
    1997 年 44 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    近年わが国で流通しているバイカラー型を含む甘味の強いスイートコーンの4品種で糖類,遊離アミノ酸,有機酸の組成と含量を分析し,これらの呈味成分と食味との関連性を明らかにした.
    (1) 水分含量は粒色に関係なく4品種とも,従来のハニーバンタム系に比べやや高かった.いずれも多汁で果皮は柔らく,食味は良好であった.
    (2) 顆粒のスクロース(8.44~9.98g/100 gFW)は4品種とも,従来の分析値よりかなり多かった.グルコースとフルクトース含有量は,それぞれ0.5~1g/100gFWの範囲で少なく,スクロースが甘味の主体であった.逆にデンプン含量は2.4~4.3g/100 gFWと少なく,スクロースの25~50%程度であった.
    (3) 供試した4品種は糖質に関する変異を持たない品種の報告値に比べ,いずれもデンプン含量が非常に少なかった.胚乳のデンプン合成に関与するADPグルコースピロホスホリラーゼ活性も低かった.4品種間の相互には本酵素活性とスクロース(デンプン)含量との間に明瞭な関係は見られなかった.
    (4) 遊離アミノ酸(0.3~0.4g/100 gFW)はグルタミン酸(70~120mg/100 gFW),アラニン(80~110mg/100 gFW)が多く,茹でた顆粒はpH7.1±0.2であるため酸味よりむしろ旨味を示し,食味に関与すると考えられた.
    (5) 有機酸はリンゴ酸が最も多く,他にα-ケトグルタル酸,クエン酸,コハク酸等を含んでいた.総量(0.3g/100 gFW)は比較的多いが酸味を示さないと考えられた.
    (6) 親系統の異なるバイカラー型の白色粒と黄色粒間の相異は,スクロース合成酵素活性にわずかに見られたが,呈味成分の糖,デンプン,遊離アミノ酸及び有機酸では認められなかった.
  • 呉 計春, 相良 泰行, 瀬尾 康久, 森嶋 博
    1997 年 44 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    標準的原料配合割合と中種法を用いて製作した食パン生地を用いて,焼成プロセスにおける生地の表面色,温度分布及び質量を加熱温度範囲140~300℃の異なる温度条件下で計測し,加熱条件及び焼減率と表面色変化との関係を明らかにした.また,加熱条件を表す新しい操作因子を導入することにより,表面色の変化を予測する方法を提唱した.以下にその結果を要約する.
    (1) パンの焼成色を表す色相,彩度及び明度の値には一定の関係が存在するため,その変化はHunter表色系の3次元空間において表示される一本の着色特性曲線に沿って進行する.
    (2) 焼成色の着色の度合いは加熱温度と焼減率の増加に伴って進行する.
    (3) 輻射伝熱量と焼成色の明度の変化量との間に一定の相関関係が認められた.
    (4) 加熱条件を評価するパラメータとして,新しく加熱操作因子を定義して導入した結果,この因子と焼成色の明度とは直線関係にあることが分かった.
    (5) これらの相互関係を用いて,加熱操作因子より焼成プロセスの着色特性曲線を予測する方法を提唱した.
  • 乙部 和紀, 杉山 純一, 菊池 佑二
    1997 年 44 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ラジオ周波数(RF)領域の交流電磁場による電解質溶液中でのエネルギー損失特性を利用して,電導度に対応する指標を非接触的に測定する装置を考案した.本装置は空芯ソレノイドとLC発振回路,発振強度測定用の直流電流計により構成されている.ソレノイドの筒内に試料をいれた樹脂製試験管を挿入し,挿入前後の発振強度の変化を電導度の指標として用いた.本装置の基本特性を調べるため,各種電解質水溶液を調製し,電導度計による測定結果と発振強度変化との対応を調べた結果,以下のような知見が得られた:
    (1) 塩化ナトリウム水溶液について電導度-発振強度特性を調べた結果,発振強度が103μS/cm近傍で極小,104μS/cm近傍で極大を示す非線形な特性曲線が観察された.
    (2) 塩化ナトリウム,塩化カリウム,水酸化ナトリウム,硫酸銅,無水クエン酸の各電解質水溶液について20MHzにおける電導度-発振強度特性を調べた結果,すべて塩化ナトリウムの特性曲線に一致することが確認された.
    (3) 純水,エタノール,メタノール,グリセリンの発振強度変化特性を調べた結果,グリセリンは他の物質に比較して発振強度変化への寄与が大きいことが判明した.
    (4) クエン酸・グルコース混合水溶液とクエン酸水溶液について電導度-発振強度特性を比較した結果,両者の特性は一致することが確認された.
    (5) 塩化ナトリウム水溶液の特性曲線から作成した検量線を用いて電導度推定を行ったところ,101~105μS/cmの範囲で,平均して実測電導度の4%以内の誤差で推定が可能であった.
  • 加藤 良, 浅野 祐三, 古谷 篤, 外山 一吉, 冨田 守, 小此木 成夫
    1997 年 44 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    疎水化多孔質ガラス膜を使用した膜乳化法による食品W/Oエマルションの調製において,膜細孔径,連続相粘度,乳化剤濃度,食塩濃度,連続相循環流速,乳化圧力などの乳化条件を変えてエマルションを調製し,膜細孔径と分散粒子径の関係,エマルションの単分散性に影響を及ぼす因子などについて検討した.
    (1) 油脂にトウモロコシ油,乳化剤にポリグリセリン縮合リシノレート.水相に食塩水を用い単分散W/Oエマルションを調製した.
    平均分散粒子径(Dp)は膜平均細孔径(Dm)に比例し,
    の関係にあった.
    また,油相にケロシンを混合し,連続相粘度を小さくするとDp/Dmは小さくなった.
    (2) 単分散エマルションの生成には,乳化剤濃度,食塩濃度,連続相循環流速,乳化圧力(乳化速度)などが影響しており,これらの条件を適切な範囲に設定する必要があった.
    (3) 膜乳化法によるW/Oエマルションの調製を食品工業で実用化するためには乳化速度を高める検討が必要である.
  • 阿知和 弓子, 樋廻 博重, 賀田 恒夫, 小宮 孝志
    1997 年 44 巻 1 号 p. 50-54
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    亜硝酸とジメチルアミンの反応によるートロソジメチルアミン生成に及ぼす青果物ジュースの影響について調べた.(1) 野菜では強い抑制効果は認められなかった.モヤシ,カイワレナ,ハクサイ,ソラマメおよびゴボウなどに50~20%の抑制効果が認められた.(2) 果実ではレモンジュースに54.2%の強い抑制効果が認められた。キューイには50~20%の抑制効果が認められた.(3) レモンジュースを超遠心分離した上清画分F1およびF2には共に64.0%の抑制効果が認められた.F2の透析処理した溶液に18.8%の抑制効果が認められたが,アスコルビン酸の含有量は0.2mg/100mlと少なかった.(4) 生のレモンジュースでは65.6%であるのに対して,加熱時間5分間で64.2%,15分間で70.6%,30分間で72.1%のジメチルニトロソアミンの生成抑制効果が認められた.加熱処理したレモンジュースのアスコルビン酸量は5分間で44.0mg/100ml,15分間で38.9mg/100ml,30分間で37.4mg/100mlと徐々に減少した.(5) レモンジュースに含有されるアスコルビン酸量によるニトロソジメチルアミンの生成抑制効果は0.6%であった。このことからレモンジュースにはアスコルビン酸以外のニトロソジメチルアミンを抑制する物質が存在すると推定される.
  • 小林 幸芳, 小川 広男, 磯 直道
    1997 年 44 巻 1 号 p. 55-58
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    新鮮な鶏卵を割卵し,全卵,商業的卵黄,純卵黄を得て,酢酸水溶液もしくは水酸化ナトリウムを加えてpHを調整し,食塩濃度を変えた時の試料液の動的粘弾性を測定した.pHは4,6,8,10,12で食塩濃度は0,5,10%,各液卵の水溶液中の濃度は50%(重量百分率)である.
    全卵では全ての場合,動的粘弾性が低かったが,商業的卵黄と純卵黄のpH4と12では経過時間とともに徐々に動的粘弾性が高くなったことから構造が形成されていることが明らかとなった.商業的卵黄,純卵黄とも食塩濃度が上昇すると動的粘弾性が急激に高くなった.pH12でも商業的卵黄と純卵黄で動的粘弾性が高くなったが,損失弾性率と貯蔵弾性率の比である損失正接(tanδ)の値からするとpH4の方がpH12より粘性体であった.
  • 下山田 真, 柴田 正人, 石川 敬一, 浅沼 幸治, 渡辺 乾二
    1997 年 44 巻 1 号 p. 59-61
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    試料溶液として13%エタノール溶液を用いて冷却時の氷晶の生成について検討した.冷媒の温度と試料溶液の温度の温度差を一定に制御しながら冷却することで大粒径氷晶の生成することが分かった.さらにこの試料溶液を実際に凍結濃縮を行った結果,冷媒と溶液の温度差を0.4℃に保つことが濃縮効率と所要時間の両面から見て好ましいと考えられた.
  • 村瀬 誠, 水谷 哲也, 杉本 勝之
    1997 年 44 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    白玉麩をモデルとして,焼麩の比容積と組織構造の形成に及ぼすグルテンと合わせ粉の配合について検討した.G/F=500/300,450/350で大きい比容積の膨化物が得られ,散水量の効果は400/400のときに比べると小さかった.合わせ粉として小麦でん粉を使用すると全体比容積は小さくなり,合わせ粉に含まれるタンパク質がグルテンドウを形成する上で重要な役割を果たすことが明らかになった.グルテン単独では空洞化し,ガラス質化した膨化物しか得られず,合わせ粉として粉末グルテンを使用すると空洞化した膨化物となったことから,合わせ粉のでん粉が焼麩特有の蜂の巣構造を形成するために重要な役割を果たしていることが推測された.なお,膨化物の微細構造の観察結果から,粉末グルテンを合わせ粉として使用すると膨化は中心から進行するものと考えられた.一方,グルテンの割合が高い膨化物は比容積と気泡は大きく,合わせ粉の割合が高くなると比容積が小さく,気泡が微細化し緻密になること,及び前者では破断強度が小さく,歪みが大きく,後者では破断強度が大きく歪みが小さくなることから,製品の種類毎に配合を変更することの重要さが明らかになった.
  • 田川 彰男, 村松 良樹, 北村 豊, 田中 親紀
    1997 年 44 巻 1 号 p. 69-74
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    5~40%(w/w)の固形分濃度に調整した6種類の液体食品(牛乳,全脂粉乳溶液,脱脂粉乳溶液,コーヒー,ミカン果汁,リンゴ果汁)の密度と動粘度を0~60℃の温度範囲でそれぞれ測定した.その結果,以下の知見を得た.
    (1) 全ての試料の各固形分における粘度と温度の関係は,Andradeの式に良く適合した.
    (2) 上項(1)の結果を踏まえ,粘度と温度,濃度の関係を示す次式を仮定した.
    最小二乗法により上式にあてはめたところ,測定値と計算値は良く一致し,上式の仮定の妥当性が示された.
    (3) 全ての試料密度と温度,濃度の関係は,次式で表される.
    さらに上項(2)と(3)の結果から,粘度同様動粘度も温度と濃度双方の関数として表した.
    このように液体食品の粘度と動粘度は,温度と固形分濃度双方の関数として示されるため,実用的である.
  • 上田 成子
    1997 年 44 巻 1 号 p. 75-76
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
  • 上田 成子
    1997 年 44 巻 1 号 p. 77
    発行日: 1997/01/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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