1.頒布酵母株24種類について,過去から2014年度までの頒布保存株,合計385株について酵母種を目的変数として醸造特性値を説明変数とするパーティション分析を実施し,20醸造特性値が,統計的に有意な変数として選択された。
2.20説明変数を用いたクラスター分析により,全酵母種ごとに単独のクラスターに分類することができ,また,クラスターから外れた一部41株を除いた344株に絞り込むことができた。
3.24種類の酵母344株に対して,18説明変数を用いて判別分析を実施した場合の誤判別酵母株が7株であったのに対し,アミノ酸組成を除いた16説明変数によって判別分析を行った場合の誤判別酵母株が10株であり,アミノ酸組成を除いても判別に及ぼす影響は小さかったので,アミノ酸組成を分析項目から除くこととした。
4.選定後の344株からK-7のみを抽出し,クラスター解析を行った結果,大きく3クラスターに分割でき,その内,最近の頒布株のグループは,日本酒度,アルコールが高く,発酵性のよいグループであったが,この3クラスターとも他の酵母種のクラスターとは明確に分割されていることから,頒布の新旧にかかわらず,K-7の醸造特性が保たれていた。
5.2003年以降の選定候補株24種,1250株について11醸造特性値によりクラスター分析を行ったところ,高香気生成酵母株のクラスター76株が選別され,その構成酵母種は,K-1601,K-1701,K-1801のみであった。また,K-1801のクラスターには,2006年から2014年のすべてのK-1801頒布株が含まれ,K-1801株間の醸造特性値は安定していた。
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