日本醸造協会誌
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116 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 山田 耕路
    2021 年 116 巻 2 号 p. 65
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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  • 山﨑 栄次
    2021 年 116 巻 2 号 p. 66-76
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
    ジャーナル フリー

    清酒醸造において原料米デンプンの老化が蒸米の溶解性を低下させることが明らかとなってきたが,老化が醸造に及ぼす影響については未だ知見が限られている。老化特性が醸造に及ぼす影響については解明が望まれているが,老化特性の評価方法に関しては検出感度や操作性において十分なものが少なかった。著者らは,感度良く短時間で評価できる老化特性の評価法(DORFT法)を開発した。本稿ではこの方法による原料米の老化特性評価や蒸米溶解性の予測について解説頂いた。本方法の酒造現場への応用が期待される。ぜひご一読を。

  • 倉光 潤一
    2021 年 116 巻 2 号 p. 77-88
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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    本格焼酎と泡盛の輸出促進は,単式蒸留焼酎業界の喫緊の課題である。業界では海外博覧会への出展や外国人を対象としたアカデミー及びセミナーの開催,ミクソロジスト等の日本への招へいといったさまざまな活動を鋭意実施しているが,ここ数年の本格焼酎と泡盛の輸出量は足踏み状態にある。筆者は最近輸出量が急拡大しているメキシコのテキーラとメスカルの輸出戦略についてネットを使って詳しく調査され,それを踏まえて本格焼酎の輸出促進に向けたヒントを本誌に寄稿していただいた。本格焼酎と泡盛の輸出拡大に向けた戦略を立てるに当たり,大いに参考となる貴重なヒントであり,関係者はぜひ一読されたい。

  • 眞岸 範浩
    2021 年 116 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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    ポリアミンは様々な生理活性を有する機能性成分として知られており,大豆を原料とする納豆や醤油,味噌などの発酵食品に多く含まれている。本解説では,原料由来以外での醤油醸造中におけるポリアミン生成の可能性について,分離したポリアミン生成醤油乳酸菌の特性解析を中心に,解説していただいた。

  • 編集部
    2021 年 116 巻 2 号 p. 94-104
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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    平成31年および令和元年における味噌の研究業績としては,原料大豆・麦品種の育種,微生物の遺伝子機能,機能性物質,ゲノム情報を活用した研究などが実施された。 原料大豆,麦等の研究は基盤研究として着実に実施されており,味噌原料としての大豆品種が開発され,品種登録が期待される。今年度は,味噌に好適な大豆品種とともに裸麦品種の育成の成果が発表されている。 味噌製品については,科学的根拠に基づいた評価や研究情報の発信が強く求められる。基礎研究を確実に実施するために,より精密な分析技術や解析方法の活用が求められ,メタボローム解析研究が発表されている。 おいしさや食育からの味噌利用に関する研究は,単年度で完結するものではなく,継続して着実な実践研究が行われ,日本型食生活への回帰,食育や若年層の健康を考えた発酵食品の重要性がより強く認識されている。機能性研究においてはヒト介入試験や疫学研究が求められ,着実に多くの研究成果が報告されている。コホート研究データを解析した研究により,中高年層の人々の生活への味噌の効能の研究が実施された。味噌の役割は,健康と食品機能にくわえて,調理の面からも重要性が高く,近年注目されている海外展開に向けて,製造技術研究の進展が期待される。 国内の味噌関連研究は,生産レベルの問題に対する一定の解決が得られてきたが,精密分析,オミクス研究等の先端技術研究による再検討が進展しつつある。今後の研究展開が期待される。

  • 小笠原 佳美
    2021 年 116 巻 2 号 p. 105-108
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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  • 村上 智子, 渡辺 守, 髙木 昌美, 末次-佐々木 春菜, 渡辺 大輔, 五島 徹也, 福田 央, 下飯 仁, 赤尾 健
    2021 年 116 巻 2 号 p. 111-124
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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    1.アルコール耐性に関する細胞内メカニズムの解析等への活用を目的として,K6及びK7を親株に用いて,自然突然変異による新規なアルコール耐性酵母の分離を試み,候補菌株の中から簡易アルコール耐性試験(スポットアッセイ)により,K6より8株(K6AT1-K6AT8),K7より5株(K7AT1-K7AT5)を選抜した。

    2.急性ストレス試験により各菌株のアルコール耐性を評価したところ,K6AT1-K6AT8,K7AT1-K7AT4についてはアルコール耐性を獲得していることを確認したが,K7AT5についてはアルコール耐性を確認できなかった。簡易アルコール耐性試験(スポットアッセイ)時点より後に,菌株にアルコール耐性に対する新たな抑圧変異が生じたことで,アルコール耐性を失ったと考えられた。

    3.ザイモリアーゼ耐性試験,キラートキシン耐性試験,浮遊密度分画試験については,多様な結果が得られたが,全体として親株よりも各耐性が高く,定常期の浮遊密度が大きいという傾向を示した。しかし,特にキラートキシン耐性において親株よりも低いケースも散見された。

    4.清酒小仕込試験の結果,K7AT5以外の各菌株による製成酒では,親株と比較して,酸度が高い,アミノ酸度が低い,有機酸のうちリンゴ酸,コハク酸,乳酸の含量が高く,酢酸が低いといった特徴が認められた。K7AT5についても,発酵プロファイル,製成酒の組成において,親株と異なるものであった。また,味認識センサーの応答特性も,製成酒の組成を反映したものであった。

    5.本研究で得られた菌株については,清酒酵母の高アルコール耐性機構の解析への寄与が期待される。またニーズによっては,新規のアルコール耐性酵母,あるいは主に有機酸組成に特徴のある酵母菌株としての活用が可能かもしれない。

  • 竹田 悠見子, 原 圭志, 大橋 ユキ, 木田 隆生, 神山 貴信, 浦賀 陽介, 河盛 幹雄
    2021 年 116 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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    1)醤油製造における原料のうち, 脱脂加工大豆中からは0.088 mmol/kg程度のD-Gluが検出されたが, 割砕小麦, 種麹からは検出されなかった。生揚げ醤油からはD-Asp, D-Glu, D-Ser, D-Ala, D-Leuの5種類が合計で4.053~4.591 mM程度検出された。

    2)製麹工程でのD-アミノ酸量の推移を調査した結果, 製麹18~21時間で顕著な増加がみられ, D-Ala, D-Glu, D-Aspの生成が認められた。諸味発酵熟成工程では, D-アミノ酸は仕込み後1~3週で増加し, D-Ala, D-Glu, D-Asp, D-Ser及び, D-Leuの5種類の生成が認められた。

    3)製麹工程および諸味発酵熟成工程から単離した数種の微生物を用いて, L-アミノ酸からD-アミノ酸への変換能を調査した結果, 諸味発酵熟成工程から単離したT. halophilus に高い変換能がみられ, 醤油製造工程中においてD-アミノ酸生成に寄与していることが示唆された。また, 麹中に混在していたS. gallinarum, S. saprophyticusにも高い変換能がみられた。

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