日本酒醸造を支援するAIを活用した支援システムのアルゴリズムおよび評価結果について報告した。本システムによって,実際の醸造時のアルコール度数・グルコース・日本酒度を予測することができることを確認した。また,アルコール度数とボーメの関係を最適に保つためのタンク内温度および加水管理についての支援情報を提供することができた。
また全体を通して,本研究では,過去のデータおよび逐次に得られたデータを用いて,日々の予測を改善し,最適制御を行うことが目的として考えている。そのため,より精密な数理モデルを用いず,6変数の単純な仮定での検証を実施している。今回用いた数理モデル中の状態変数間の相互関係や加水効果には課題が残されているが,より複雑な仮説や変数を追加することで精度向上を行うことができると考えている。
本実証試験は,酒造メーカーの方々が日々行っている醸造工程を追従できるのかという観点での実証試験であった。今後は,さらなる酒質向上や効率化に向けて,酒造メーカーや研究機関の方々と協力して,より良い日本酒造りを支援していきたい。
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