日本醸造協会誌
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108 巻, 8 号
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解説
研究
  • 磯谷 敦子, 神田 涼子, 須藤 茂俊, 松丸 克己
    2013 年 108 巻 8 号 p. 605-614
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/01/15
    ジャーナル フリー
    SIDA法によるDMTS-P1分析方法を設定した。メチル基を3つの重水素で標識したDMTS-P1-d3を内部標準物質として用いることで,回収率は100±10%程度となった。この方法を用いて市販清酒,ワイン,ビール系飲料の分析を行ったところ,清酒は他の酒類に比べてDMTS-P1濃度が高い傾向がみられた。酵母の培養試験から,清酒酵母はワイン,ビール酵母に比べてDMTS-P1生成能が高いことが示唆された。DMTS-P1とDMTS生成ポテンシャルとの関係については,清酒では相関がみられたが,DMTS-P1濃度が低くてもDMTS生成ポテンシャルの高いものもみられた。また,ワインでは相関がみられず,DMTS-P1以外の成分の関与が示唆された。清酒小仕込み試験を行いDMTS-P1の消長を調べたところ,発酵に伴って増加したが,生酒期間にもやや増加がみられた。発酵温度が高いとDMTS-P1濃度,DMTS生成ポテンシャルともに増加した。
  • 仲田 弘明, 今井 奈津夫, 長谷川 秀樹, 田村 雅彦
    2013 年 108 巻 8 号 p. 615-620
    発行日: 2013年
    公開日: 2018/01/15
    ジャーナル フリー
    近年需要が高まっている防カビ効果に焦点を当て,製パン資材用の発酵風味液の開発を行った。乳酸菌L. buchneriとパン酵母S. cerevisiaeの共培養により砂糖を主原料として培養を行い,防カビに効果のある有機酸およびエタノールを豊富に含有させた。また,培養終了後に菌体を遠心除去することで透明感を出した。
    防カビ試験の結果,発酵風味液添加パンは三種類のカビで高い防カビ効果を示し,中でもC. cladosporioidesに対して極めて高い効果を示した。また官能検査の結果,発酵風味液添加パンは甘味,旨味,酸味,しっとり感が増加し,粉臭のマスキング効果についても確認された。さらに製パン資材以外の応用用途として,肉軟化効果を見出した。
    以上の結果より,著者らの開発した発酵風味液は産業上有用であると判断されたため,商品名「ラクトザック(R)」として上市するに至った。
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