日本醸造協会誌
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110 巻, 3 号
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解説
研究
  • 培養細胞及びマウスモデルにおける抗炎症作用
    章 超, 久永 絢美, 坂尾 こず枝, 廣 眞梨子, 髙瀬 良和, 岩井 謙一, 侯 德興
    2015 年 110 巻 3 号 p. 165-169
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/16
    ジャーナル フリー
     ミリタリス冬虫夏草子実体をサツマイモ焼酎に浸漬させ,サツマイモ焼酎の冬虫夏草スピリッツ(SCS)を作製した。種々の分画カラム(HP20,Sephadex G25,HPLC(C-18))により得られたSCSの画分について,細胞及びマウスモデルによりその抗炎症作用を解析した。
     ①RAW 264.7培養細胞においてSCSから分画されたF1C-Ⅲが細菌性リポ多糖(LPS)誘導性COX-2の発現を有意に抑制した。
     ②ICRマウスにおいては,F1C-Ⅲが炎症性因子IL-6やTNF-αの血清中レベルを有意に低減させ,マウスの足浮腫症状を緩和した。
     また,F1C-Ⅲの主成分はコルジセピンであると前報で同定した。このことより,冬虫夏草スピリッツ(金霧島,SCS)のコルジセピンが抗炎症作用を発揮することが示唆された。
  • 吉﨑 由美子, 金 顯民, 奥津 果優, 池永 誠, 玉置 尚徳, 髙峯 和則
    2015 年 110 巻 3 号 p. 170-178
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/04/16
    ジャーナル フリー
     本研究では韓国麹「ヌルク」を用いた焼酎商品化の可能性について検討した。10種類のヌルクの発酵能力を確認したところ,米麹と比べ全てのヌルクで発酵能が弱かった。しかし,その中でも2種のヌルクは比較的高い発酵能力を示した。ヌルクに含まれるα-アミラーゼとグルコアミラーゼは米麹とほぼ同等であり,生デンプン分解活性に関してはヌルクの方が高かった。ヌルクに含まれるデンプン質の糊化度は米麹と比較して低く,糊化度の低さがヌルクの緩やかな発酵に影響していることが強く示唆され,糊化度をもとに発酵能力の高いヌルクを選抜できる可能性が示された。ヌルクを用いて製造した米焼酎の官能評価は,米麹を利用した焼酎より酸臭と酸味がある一方で,華やかであった。さらに,一次仕込み時に焼酎酵母を添加することでヌルクを使用した米焼酎の酸臭および酸味を抑制できる可能性が示唆された。また,ヌルクに含まれる酵母の1つとしてSaccharomyces cerevisiaeを同定し焼酎製造に適した微生物をもつことが確認された。
     本研究は韓国RDAとの共同研究(Project No. PJ008600)で実施された。
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