日本醸造協会誌
Online ISSN : 2186-4012
Print ISSN : 0914-7314
ISSN-L : 0914-7314
112 巻, 7 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 楠本 憲一
    2017 年 112 巻 7 号 p. 453
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー
  • 平山 育男
    2017 年 112 巻 7 号 p. 454-461
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー
    清酒製造が行われる酒蔵は,どのようなコンセプトで建てられたのであろうか。建築史の専門家で数多くの醸造建築物を調査・研究されてきた著者に明治・大正期の新潟県の酒蔵の特徴を解説していただいた。そこには製造工程の流れに沿った動線を考えるとともに,建物の使いやすさ,丈夫さ,経済的なコストも考慮して建てられていたことがわかる。
  • 土田 一登
    2017 年 112 巻 7 号 p. 462-469
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー
    毎年心を込めて製造した清酒を消費者に飲んで頂くことは,製造者の大きな喜びであるが,消費者に銘柄や特徴を知ってもらうことは大変であった。しかし,パソコンやスマートフォンの普及によって,テレビ,新聞,雑誌等の媒体を使わなくても,メーカー自身のホームページ等によって,自社の商品の情報を提供できるようになってきている。著者らは,経済産業省の委託を受けて,海外マーケットを意識したスマートフォンによる日本酒の情報発信アプリを開発している。これは,国内向けにも応用できるように思われる。ぜひ,参考にされることをお勧めしたい。
  • 上田 京子
    2017 年 112 巻 7 号 p. 470-476
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー
    生食用の柿は,秋の味覚として消費者の人気が高い果実である。また,柿は酒造用資材の柿渋の原料としても身近な産品である。生食用甘柿の生産の多い福岡県では,出荷規格外の果実の利活用技術の開発に取り組んできた。地域産業振興が求められる状況で,発酵技術の活用に大いに期待がかけられている。福岡県での取組として,柿由来の乳酸菌菌株を利用した「柿シロップ乳酸発酵飲料」の開発について,菌株の分離ならびに発酵飲料開発の経緯をわかりやすく解説していただいた。
  • 編集部
    2017 年 112 巻 7 号 p. 477-486
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー
    平成28年度における味噌の研究業績としては,微生物の新規酵素,遺伝子機能,ゲノム情報を活用した研究などがあった。原料大豆,麦等の研究は基盤研究として実施されており,味噌原料としての大豆品種が開発され,今後味噌好適品種として品種登録が期待される。例年に引き続いて,機能性,おいしさに関する研究報告が活発に行われているが,単独の細胞代謝系や酵素反応に基づいた生理機能性研究から,個体,集団を対象としたよりレベルの高い研究に移行しつつあることが概観された。
    味噌製品については,加工技術のみならず品質や機能性においても,科学的根拠に基づいた評価や研究情報の発信が強く求められることは言うまでもなく,基礎研究を確実に実施するために,より精密な分析技術や解析方法の活用が求められる。
    おいしさや食育からの味噌利用に関する研究は,単年度で完結するものではなく,継続して着実な実践研究が行われた。日本型食生活への回帰,若年層の健康を考えた発酵食品の重要性がより強く認識されている。機能性研究においてはヒト介入試験や疫学研究が求められている他,基礎研究において次第に研究成果が現れ,昨年度に引き続き多くの研究成果が報告されている。コホート研究データを解析した研究が特筆される。味噌の役割は,健康と食品機能にくわえて,調理の面からも重要性が高く,近年注目されている海外展開に向けて,製造技術研究の進展が期待される。
  • 大森 大陸
    2017 年 112 巻 7 号 p. 487-488
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー
  • 蓮田 寛和, 稲橋 正明, 岡崎 直人, 石川 雄章
    2017 年 112 巻 7 号 p. 509-516
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー
    圧力自動測定システムを用いて発酵評価が可能であるか検討を行った。
    (1)液体培地及び小仕込み試験において異なる容器を使用して圧力測定と総重量の減少量の測定を行った。総重量の減少量と累計圧力に高い相関を示したことから,圧力測定を行う事で総重量の減少量を測定する場合と同等の発酵評価が可能であった。また,累計圧力の自動測定による多数のデータから発酵の詳細を把握することも可能となった。
    (2)圧力計測器を装着することで発酵に伴い容器内が陽圧になるが,発酵への影響はほとんどなかった。また,一般的な小仕込み試験と比較して酢酸濃度が顕著に低く,実際のもろみにより近い条件で発酵試験を行うことが可能と考えられた。
  • 白石 洋平, 安藤 有加, 奥津 果優, 吉﨑 由美子, 二神 泰基, 玉置 尚徳, 和久 豊, 髙峯 和則
    2017 年 112 巻 7 号 p. 517-523
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/04/10
    ジャーナル フリー
    芋焼酎の酒質の多様化を目的にプロテアーゼ剤を添加し,芋焼酎の仕込みを行い香気成分の生成及び香味に与える影響を検討した。まず,市販のプロテアーゼ剤11種類から4種類の酵素剤を選抜し,芋焼酎の小仕込み試験に供した。酵素剤添加醪では醪のアルコール濃度が増加し,酸性プロテアーゼにより醪の流動性が向上し,アルコールへの変換効率が高まったと推察された。また,醪酸度及び揮発酸度も上昇した。
    香気成分分析の結果,高級アルコール類はいずれの成分とも酵素剤を添加しない醪が最も高く,酵素剤添加焼酎の1.2~2.5倍の濃度となった。醪中のアミノ酸濃度の増加により,高級アルコール濃度の増加が期待されたが,アミノ酸濃度の低い醪の方が高い結果となった。アルデヒド類は,酵素剤添加焼酎が対照と比べて高濃度に含まれていた。発酵終了時の醪のアミノ酸量は,対照と比べ酵素剤を添加した醪では1.5~4.5倍に増加していた。醪中に増加したアミノ酸が酵母による代謝と蒸留中のストレッカー分解により増加した可能性が示唆された。官能評価の結果も対照と比較して酵素剤を添加した焼酎では,「果実」や食品を焼いた際に感じる香りのコメントが特徴的であった。
    以上のことから,芋焼酎製造においてプロテアーゼ剤を添加することで酒質は明らかに変化していることが認められ,芋焼酎の酒質の多様化を図ることができた。
feedback
Top