日本醸造協会誌
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114 巻, 9 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 神崎 夕紀
    2019 年 114 巻 9 号 p. 533
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/12/10
    ジャーナル フリー
  • 尾形 智夫
    2019 年 114 巻 9 号 p. 534-539
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/12/10
    ジャーナル フリー
    醸造に使用される酵母には有性生殖の生活環があり,二倍体が胞子形成を行うと減数分裂によって一倍体ができ,一倍体同士の接合により二倍体にもどる。これを利用したのが接合育種であり,異なる菌株の長所を組み合わせることが可能である。今回は,醸造用酵母の接合育種に関する最新の動向を解説していただいた。
  • 田島 健次, 小瀬 亮太, 松島 得雄, 石田 竜弘, 安藤 英紀
    2019 年 114 巻 9 号 p. 540-549
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/12/10
    ジャーナル フリー
    バクテリアセルロース(BC)は新規材料として注目されているが,製造コストが比較的高く実用化があまり進んでいない。本稿では,フルーツ由来の酢酸菌のつくるBCについてその構造,合成並びに応用例について解説していただいた。
  • 成澤 直規, 池田 真有花, 竹永 章生
    2019 年 114 巻 9 号 p. 550-556
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/12/10
    ジャーナル フリー
    魚醤油は,生産量は醤油の僅か0.2%にも満たないが,国際化が進むにつれて,調理における隠し味として人気を博してきている。今回は海外の魚醤油の中でも,中国の魚醤油 魚露(イールー)について焦点を絞って,その成分の特徴について日本の魚醤油と比較して丁寧に解説いただいた。同じ調味料の仲間として醤油や醸造の研究開発に関わっている関係者の皆様には是非ご一読をお勧めする。
  • 編集部
    2019 年 114 巻 9 号 p. 557-566
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/12/10
    ジャーナル フリー
    平成30年における味噌の研究業績としては,微生物の遺伝子機能,機能性物質,ゲノム情報を活用した研究などが実施された。
    原料大豆,麦等の研究は基盤研究として実施されており,味噌原料としての大豆品種が開発され,今後味噌好適品種として品種登録が期待される。今年度は,味噌に好適な品種であるとともに多種類の食品原料としても有用な品種の成果がまとめて発表されている。
    味噌製品については,加工技術のみならず品質や機能性においても,科学的根拠に基づいた評価や研究情報の発信が強く求められる,基礎研究を確実に実施するために,より精密な分析技術や解析方法の活用が求められ,メタボローム解析研究が発表されている。
    おいしさや食育からの味噌利用に関する研究は,単年度で完結するものではなく,継続して着実な実践研究が行われ,日本型食生活への回帰,若年層の健康を考えた発酵食品の重要性がより強く認識されている。機能性研究においてはヒト介入試験や疫学研究が求められるとともに,基礎研究において次第に研究成果が現れ,昨年度に引き続き多くの研究成果が報告されている。コホート研究データを解析した研究が広がりをみせた。味噌の役割は,健康と食品機能にくわえて,調理の面からも重要性が高く,近年注目されている海外展開に向けて,製造技術研究の進展が期待される。
    国内における味噌関連研究は,生産レベルの問題に一定の解決がなされてきたが,精密分析等の先端技術による再検討が必要な時期にさしかかっているのではないか。本年度は味噌の機能性に関連した臨床研究において一段と明確な研究成果が発表されてきた。今後の研究展開に期待される。
  • 大森 大陸
    2019 年 114 巻 9 号 p. 567-569
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/12/10
    ジャーナル フリー
  • 武藤 貴史, 伊藤 俊彦, 中原 克己, 木崎 康造, 岡崎 直人, 石川 雄章
    2019 年 114 巻 9 号 p. 573-584
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/12/10
    ジャーナル フリー
    1.セルレニン耐性酵母S4と野生酵母WS1の混合一次仕込を行い,野生酵母が醪に侵入したことを想定した差し酛反復試験を行った結果,麦麴醪ではS4の酵母純度比が低下する一方,米麴醪では上昇する場合があることを明らかにした。
    2.上記1の理由を明らかにするため,米麴と麦麴の違いがS4とWS1に与える影響を詳細に調べたところ,一次醪初期に生成するグルコース,ホルモール態窒素及び多くのアミノ酸,特にアルギニンが麦麴よりも米麴で多いことがわかった。
    3.継代培養を反復したとき,一次醪初期の米麴醪を想定した環境(高窒素環境)でのS4の酵母純度比は麦麴醪を想定した環境(低窒素環境)よりも高く推移した。さらにアルギニンを麦麴醪仕込時に添加すると,差し酛の反復によりS4の酵母純度比が対照(アルギニン無添加)よりも高く推移した。また,一次醪中期を想定した米麴醪環境(高グルコース及び高エタノール環境)においても麦麴醪中期に近い環境(低グルコース及び高エタノール環境)よりもS4の酵母純度は高かった。S4の差し酛反復において高い酵母純度を維持するためには,醪初期は高窒素の環境が必要で,特に窒素源としてアルギニンが寄与しており,醪中期は高濃度グルコース及び高濃度エタノールが必要であり,それぞれの環境において競合する酵母よりも速い増殖速度が必要であることが明らかとなった。
    4.S4はWS1よりも細胞膜H+-ATPase活性が高く,ストレス耐性が高いことが明らかになり,麦麴醪よりストレスが高い米麴醪においてS4がWS1よりも優勢となったと考えられた。
    5.S4の酵母純度比が上昇した米麴醪において最も多かったアミノ酸はアルギニンであり,その資化性は焼酎酵母よりも清酒酵母で高い傾向がみられ,焼酎酵母と清酒酵母の交雑株であるS4は,清酒酵母のアルギニン高資化性を遺伝的に受け継いでいるものと推察された。
    なお,本研究で示された米麴と麦麴から溶出する成分の差異及びこの差異の焼酎酵母と野生酵母に対する現象が一般的なものであるかどうかについては,実験データをさらに積み重ねる必要があると考えている。
  • 奥田 将生, 上用 みどり, 福田 央, 玉村 隆子
    2019 年 114 巻 9 号 p. 585-595
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/12/10
    ジャーナル フリー
    日本晴を対照として泡盛原料米のデンプン及びタンパク質組成について解析し以下の知見を得た。
    1 アルカリ崩壊性試験及びDSC解析を行ったところ,品種の混合の可能性が示唆された。次に,一粒毎に解析したところ,泡盛原料のタイ米は糊化温度及びアルカリ崩壊性の大きく異なる米の混合状態であった。
    2 タイ米を高温糊化粒及び低温糊化粒に分け,日本晴とともにデンプンの分子構造をゲル濾過及びHPAEC- PAD法で解析した。タイ米は日本晴よりアミロースとアミロペクチン超長鎖の画分が高かった。タイ米について高温糊化粒及び低温糊化粒を比較するとアミロペクチンの側鎖分布が異なり高温糊化粒はDP6-8の画分が顕著に低かった。この結果と既報の知見により,タイ米は異なるSSIIa活性を有する品種が混合されている可能性が示唆された。
    3 デンプンの老化特性を調べたところ,日本晴で老化が遅くタイ米で速かった。タイ米の低温糊化粒と高温糊化粒を比較すると,高温糊化粒で老化が速く進んだ。
    4 タンパク質組成については,60kDa付近にGBSS由来と考えられるバンドがタイ米で日本晴より濃くみられたが,タイ米の高温糊化粒と低温糊化粒には顕著な差異がみられなかった。
    以上の結果,泡盛原料米における品種の混合が丸米のまま使用した際の原料処理の支障となっている可能性が示唆された。
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