日本醸造協会誌
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113 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 岡本 雅子
    2018 年 113 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2018年
    公開日: 2023/06/16
    ジャーナル フリー
  • 矢内 隆章
    2018 年 113 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 2018年
    公開日: 2023/06/16
    ジャーナル フリー
    赤ワイン中に含まれるポリフェノールの1種であるレスベラトロールには,アンチエイジング,抗がん作用などの作用が報告されており,サプリメントとして商品化されているが,肥満にも効果があるとの報告がある。著者らは,肥満の1つである内臓脂肪蓄積におけるレスベラトロールの抑制メカニズムを詳細な遺伝子発現機構解析によって明らかにしたので,解説していただいた。
  • 井上 裕, 渡辺 寛人, 早瀬 文孝
    2018 年 113 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 2018年
    公開日: 2023/06/16
    ジャーナル フリー
    味噌には米味噌,麦味噌,豆味噌の地域性に富む多くの製品が造られている。赤色系米味噌や麦味噌は華やかな香気をもち,豆味噌は力強いうま味とともにわずかな渋味とのバランスにより独特の香味を示す。近年,香気成分が食品の呈味感覚に影響を与えることが研究され,食品の香気に注目が集まっている。豆味噌は香気が少ないといわれてきたが,調理の加熱によって発生する揮発性成分が豆味噌の深い味わいに寄与することを著者は明らかにされた。味噌香味への香気成分の役割を含めて解説していただいた。
  • 山田 雄三
    2018 年 113 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2018年
    公開日: 2023/06/16
    ジャーナル フリー
    酢酸菌は食酢醸造に関与するが,菌株によっては,その他セルロース,L-ソルボース,グルコン酸,2―ケトグルコン酸,5―ケトグルコン酸,フラクトース,5―ケトフラクトースなどの生成を行うことで知られている。この酢酸菌について,現時点,18の属を数え,微生物分類学的に大きなグループを形成していると考えられる。その中で食酢醸造に利用される酢酸菌は,主としてthe genus Acetobacterおよびthe genus Komagataeibacterに属する限られた種である。
    多様な酢酸菌の属,種ならびにそれらの特徴をご紹介いただいた。
  • 国正 重乃
    2018 年 113 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 2018年
    公開日: 2023/06/16
    ジャーナル フリー
    精進料理・懐石料理の中で古来より親しまれてきたゆばは,豆腐や納豆とともに和食を代表する高タンパクの大豆加工食品である。その製造方法は,豆腐を加熱した際に液面にできる被膜を掬い取るという一見単純なようなものであるが,ゆばが形成されるメカニズムには未だ不明な点がある。本稿では,ゆば形成メカニズムに関する最新の研究成果について解説いただいた。
  • 大森 大陸
    2018 年 113 巻 1 号 p. 29-31
    発行日: 2018年
    公開日: 2023/06/16
    ジャーナル フリー
  • (第2報)微量の金属塩類のエタノール水溶液における溶解熱の推定
    佐無田 隆, 谷山 健弘, 廣 あおい
    2018 年 113 巻 1 号 p. 37-46
    発行日: 2018年
    公開日: 2023/06/16
    ジャーナル フリー
    前報及び本報を要約すると以下のとおりであった。
    1.水,EtOHまたはEtOH水溶液に金属塩類を溶解した場合の温度変化を測定し,溶解熱を推定した。
    2.水,EtOHまたはEtOH水溶液に,CaCl2またはMgCl2を溶解すると,それぞれ動粘度は増加し,塩の溶解により溶液の温度は上昇した。これは塩の溶解により塩の水和物またはEtOHとの溶媒和が生成したためであり,カメに長年貯蔵された泡盛に微量含まれているCa2+及びMg2+はEtOHと溶媒和を形成していると推察された。CaCl2またはMgCl2を溶媒に溶解した場合の動粘度または溶解熱の差はCa2+とMg2+イオンの影響の差と推察された。
    3.43%v/v EtOH水溶液にNaClまたはKClを溶解した場合,塩の濃度に比例して動粘度は減少し,推定吸熱量は増加した。NaClを10.00~70.00%v/vEtOHに溶解した場合の推定吸熱量は,水に溶解した場合より大きく,EtOH濃度が10.00%v/vの場合もNaCl濃度に比例して推定吸熱量は増加した。KClも同様の傾向が認められた。また,EtOH 100.00gに0.005molのNaClまたはKClを添加した場合はほとんど溶解せず温度変化は認められなかった。
    4.これらのことから,EtOH水溶液中ではEtOH,H2O及びEtOHの水和物は化学平衡状態にあり,NaClまたはKClを溶解するとNaまたはKの第二溶媒和核にEtOHが取り込まれて,EtOHとH2Oの水素結合が部分的に切断され,動粘度は減少し,吸熱反応が起きたものと推察された。
  • 瀬戸口 智子, 神渡 巧
    2018 年 113 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2018年
    公開日: 2023/06/16
    ジャーナル フリー
    低酸度麹にクエン酸を添加することで,出麹酸度2.4〜20に相当する芋焼酎もろみを造り,そのもろみと製品の特性を調べ,以下の知見を得た。
    1.一次もろみにおいて,一次もろみ酸度の低いもろみではアルコール濃度が18%と非常に高かったため酵母の生菌数が少なかった。一方,一次もろみ酸度の高いもろみでは,添加したクエン酸の影響で発酵が遅れた。
    2.二次もろみでは,一次もろみ酸度が低いもろみの立ち上がりが遅れたが,最終的にすべてのもろみの揮発酸度,直接還元糖,残全糖およびアルコール濃度に大差がなく,出麹酸度20相当のもろみでもアルコール発酵が健全に進行することがわかった。
    3.出麹酸度10相当および出麹酸度20相当の一次もろみにおいて,クエン酸がアルコール発酵の過度な進行を抑えている可能性が示唆された。その働きにより酵母の生菌数が維持され,二次もろみが速やかに立ち上がったと考えられる。
    4.製品において,イソブチルアルコール,イソアミルアルコールおよびn-プロピルアルコールは一次もろみ酸度が高くなると高濃度になる傾向にあった。このことから,一次もろみ酸度が酵母における高級アルコールの代謝系の一部に影響することがわかった。
    5.製品において,柑橘香がするリナロールと甘い香りのβ-ダマセノンは一次もろみ酸度が高くなるほど高濃度となった。これは蒸留時のもろみ酸度が影響していると推察された。
    6.一次もろみ酸度が低い製品は濃厚で香ばしく甘い香りがあり,一次もろみ酸度が高い製品は軽快,華やかでキレがよくなる傾向にあり,一次もろみ酸度の高さが酒質に影響を与えていた。
    7.一次もろみ酸度には麹のクエン酸含量が大きく影響することから,出麹酸度が10を大きく超える麹菌の育種・利用が芋焼酎の酒質のさらなる多様化につながると考えられる。
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