清酒滓下げ工程の合理化を目的として, 酵素法による清酒清澄化処理における処理時間の短縮と工程の連続化について検討した。温度5-30℃ において, ニューラーゼAを火入れ貯蔵酒に1mlあたり150unit以上添加すると, ほぼ50時間以内にフロックの形成が認められた。形成したフロックは濾過助剤の層を通過させることにより清酒から充分に除去可能であった。濾過助剤を充填したカラムを用いることで, フロックが沈降するのに要する時間を省略でき, 工程の時間短縮が図られた。
また, 活性炭繊維を充填したカラムを用いることで, 清澄化と脱色を連続的に行うことができた。さらに, 酵素法による清酒清澄化において, 加熱による濁度上昇を防止するため, 最終的に添加プロテアーゼを除去しなければならない。タンパク質吸着体である固定化タンニンにより, 添加プロテアーゼを検出限界以下に除去した清酒は加熱後の濁度上昇が小さかった。
火入れ貯蔵酒にプロテアーゼを添加しフロックを形成させた後, 濾過助剤, 活性炭繊維, 固定化タンニンそれぞれのカラムで連続的に処理した清酒は, 官能評価において問題なく, 1年間保存後でも再混濁あるいは滓の発生は認められなかった。
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