日本醸造協会誌
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最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 木村 洋子
    2021 年 116 巻 3 号 p. 133
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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  • 伊藤 一成, 谷野 有佳, 五味 勝也, 狩山 昌弘, 三宅 剛史
    2021 年 116 巻 3 号 p. 134-150
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
    ジャーナル フリー

    岡山県工業技術センターでは,微生物による有用物質生産の手法として固体培養に着目し,大学や企業と共同してさまざまな方面への応用展開を目指し研究を行っている。麹造りに代表される固体培養は発酵熱に起因する培養状態の不均一性,再現性の低さ,培養管理制御の困難さもあって,実生産に適応しうる試験的な培養法の構築が求められていた。本研究グループでは,これらの問題を解決する新たな固体培養法である無通風箱培養法を構築し,解析が難しかった固体培養における麹菌の生育や酵素生産に関する重要な知見を得てきた。こうした研究成果は2019年,日本生物工学会から生物工学奨励賞(江田賞)が著者に授与される一因にもなった。本稿では,無通風箱培養法の考案とその特性,および本法の応用である米麹の試験製麹に関してご紹介いただいた。

  • 藤井 暁
    2021 年 116 巻 3 号 p. 151-159
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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    鹿児島県霧島市福山町に伝わる伝統的な壺造り黒酢は,一つの壺の中で糖化,乳酸発酵,アルコール発酵,および酢酸発酵を自然に進行させるという独特の製法でつくられる米酢である。そのため,壺造り黒酢は他の食酢にはみられない特有の発酵成分を含むことが期待されており,主成分である酢酸以外の成分の機能性に関心が寄せられている。本稿では,壺造り黒酢の健康機能性に関する最新の知見を紹介していただいた。

  • 下山田 真
    2021 年 116 巻 3 号 p. 160-167
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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    21世紀に入り,それまでの青臭さなどの課題を克服して,今や豆乳は完全に市民権を得てスーパーの一角にフェイスを構えるまでになった。本解説記事は,その豆乳の加工技術に関して,加熱処理条件および発酵処理を中心にわかりやすく丁寧に説明していただいた。今後もますます市場拡大が楽しみな豆乳に関して興味をもって一読いただければ幸いである。

  • 大森 大陸
    2021 年 116 巻 3 号 p. 168-171
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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  • 能勢 晶, 加藤 奈々, 大土井 律之
    2021 年 116 巻 3 号 p. 173-181
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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    ①充填後間もない広島県産の1.8L普通酒,9本(茶色瓶)と720ml純米酒,12本(茶色瓶5本,緑瓶7本)を約6ヶ月保存し清酒着色度の変化を調べた。普通酒は全ての製品において着色度の顕著な増加は見られなかったが,純米酒では製品間で着色度の増加程度に差が見られた。

    ②保存中の着色度の増加分と清酒成分の相関関係を調べた結果,緑色瓶の純米酒では,清酒に含まれる鉄分含量が多いほど清酒着色度の増加分が小さいという傾向があった。

    ③純米酒に鉄分を添加して保存試験を行った結果,清酒中の鉄分含量が高いほど蛍光灯照射下で保存した清酒着色度の増加分は小さいという傾向が認められた。さらに,鉄分と光増感剤であるリボフラビンを同時に添加して蛍光灯下で保存試験を行った結果,その傾向が確認された。

    ④市販の遮光袋を使った保存試験の結果,遮光袋の効果には差があること,茶色瓶に比べると着色度を抑える効果は小さいことが分かった。

    ⑤清酒着色度には影響を及ぼさない程度の低濃度の鉄分が,保存温度10~15℃,緑瓶,蛍光灯照射下という保存条件において,清酒着色度の増加に対して抑制的に作用している可能性が示唆された。

  • 藏薗 秀伍, 吉﨑 由美子, 印 璇, 奥津 果優, 髙峯 和則
    2021 年 116 巻 3 号 p. 182-194
    発行日: 2021年
    公開日: 2024/04/20
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    青ヶ島における現地調査により,青酎の製造方法と成分(一般成分,香気成分)や官能評価の違いについて明らかにした。

    1)青酎の製造者は8名であり,大麦を麹原料として,仕込み法は二次仕込み法とどんぶり仕込み法に大別された。前者は市販の種麹と培養酵母を用い,後者は製麹時に炒った大麦を浸漬した大麦に加える製造者や麹の水分蒸発を防止するためにオオタニワタリを被せる製造者がいた。製麹には市販の種麹,友麹または野生の微生物を用いていた。麹原料を一部または全て炒っていた製造者は6名であった。また,培養酵母は1名が用い,他の7名は野生酵母を利用していた。

    2)一般成分分析の結果,焼酎酸度,紫外部吸収およびTBA価は対照焼酎と比較して高い値であった。

    3)GC-MS分析の結果,香気成分が69成分が同定された。青酎は19成分の濃度が対照焼酎と比較し有意に高かった。青酎間で比較すると二次仕込み法で造ったA-1,A-2,A-3およびA-4はその他の野生の微生物を利用したB-1,B-2,C,D,E,F,GおよびHと比較して,11成分が有意に高かった。一方,野生の微生物を利用した青酎に多く含まれる傾向にあった成分は,2成分であった。また,69成分を用い,主成分分析を行った結果,青酎は4つのクラスターを形成した。

    4)官能評価から青酎の特徴的な香気のコメントは「青臭」および「酸臭」であることがわかった。「青臭」の強弱に影響を与える成分の特定はできなかった。野生の微生物で製麹または酵母無添加のどんぶり仕込みで造られたものは,「酸臭」が強く感じられた。「油臭」は中鎖脂肪酸由来の可能性が示された。

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