酒造用原料米の精米による無機元素の濃度変化を検討し以下の結果を得た。
1.ICP-MSの定性分析により,玄米で43元素,精米歩合30 %白米で38元素が,検出下限値以上の濃度で含まれることが推定された。
2.ICP-AES,ICP-MS,Duma法により26元素の分析が可能となり,これまで報告のなかった10元素について精米歩合30 %までの高度精白米における濃度を定量した。
3.多くの無機元素は米の外層部に存在し精米により濃度が減少したが,減少のパターンは元素によって大きく異なった。精米を進めるに従いN,S,Cd,Cu,Mo及びAsは精米歩合30 %まで徐々に低減した。その他の20元素は精米歩合70 %まで減少したが以後精米を進めても変化しなかった。
4.精米を進めても精米歩合70 %以降において濃度が変化しなかった元素について,精米歩合70 %での残存率は,Zn,Bが50~60 %以上,Ni,Na,Ca及びCoが20~50 %程度,K,Rb,Cs,Mn,P及びSrが15~20 %程度,Ba,Mg,Ge,Fe,Si及びTiが概ね15 %以下であった。
抄録全体を表示