味噌醸造に及ぼす米麹由来のグルタミナーゼおよび
Bacillus subtilis GT株の生産するグルタミナーゼの影響を調べ, 以下の結果を得た。
1. 米麹のグルタミナーゼ活性は醤油麹のそれの約30%と考えられ, 弱いながらも麹菌の生育量と高い相関関係にあった。
2. 米麹のグルタミナーゼは, 味噌熟成中のグルタミン酸生成にほとんど関与していないものと考えられた。
3. 味噌熟成中プロテアーゼ, ペプチダーゼによって, 大豆たんぱくから遊離するグルタミンとグルタミン酸はほぼ同量と推定された。
4. 味噌仕込時に
B.subtilis GTのグルタミナーゼ製剤を味噌1kg当たり0.1~0.59添加することによって, グルタミン酸が無添加のものより1.5~1.6倍増加した。
5. 麹菌グルタミナーゼは味噌中で失活が著しいのに比べ,
B, subtilis GTのグルタミナーゼは比較的安定であった。
6. 官能検査の結果, 有意に多くのパネリストがこのグルタミナーゼ製剤を用いた味噌に「うま味」の増加を指摘した。
終わりに, グルタミナーゼ酵素剤を提供していただいた大和化成 (株) に感謝いたします。また麹を提供していただいた各工場の皆様にお礼を申し上げます。さらに遊離アミノ酸の分析にお世話になった長野県食品工業試験場榛葉芳夫研究員に深謝致します。また実験にご協力頂いた当所の本藤智主任研究員兼指導員, ならびに中村昌昭, 桜井令子両研究員にお礼申し上げます。
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