(1)汲水歩合の高い仕込みへの適性が高いK-9を親株として,変異処理を施さずAZC耐性株を18株取得した。
(2)得られたAZC耐性株のほとんどが,極端に発酵力を低下させることなく親株より酸度の低い清酒を醸造することができた。
(3)育種株K-9-AZCを用いて小仕込み試験を行ったところ,もろみは親株より酸度が低く,またα-ケトグルタル酸,コハク酸,グルタミン酸の含量が低く,リンゴ酸含量がやや高く,ピログルタミン酸,プロリンの含量が高く推移した。上槽酒の日本酒度,アルコール分,アミノ酸度は親株とほぼ同じであったが,変異株は親株より酸度が低く,エキス分がやや低く,淡麗辛口清酒に適したものとなった。
(4)育種株K-9-AZCを用いて実地醸造を行ったところ,もろみはK-9-AZCは対照株と比べて酸度は0.1~0.3低い値であり,また,コハク酸が低く,ピログルタミン酸,プロリンが高く推移した。上槽酒の日本酒度,アルコール分はほぼ同じであったが,K-9-AZCで醸造したものは対照株より酸度が低く,アミノ酸度が高く,また官能的に酸味が抑えられた淡麗辛口な酒質とすることができた。
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