日本醸造協会誌
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107 巻, 8 号
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解説
研究
  • 中川 良二, 濱岡 直裕
    2012 年 107 巻 8 号 p. 605-610
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/12/12
    ジャーナル フリー
    本研究では酒粕をL.plantarum HOKAKIDO(HOKAKIDO株)で発酵させ,生きた乳酸菌を含む低アルコール飲料を試作した。
    加熱殺菌後,10倍希釈した酒粕(pH 5.18)にHOKKAIDO株を2.1×107 CFU/ml添加し,30 ℃で発酵させると,1日後にはpH 3.2,乳酸菌数1.8×108 CFU/mlになった。また,主たる少糖類であるグルコースとイソマルトースが当初量の1/2以下(0.21 mg/ml)および1/4以下(0.05 mg/ml)に減少し,乳酸が約170倍(7.03 mg/ml)に増加した。このことから,発酵後の酒粕からは酸味をもった爽やかさのある酒類ができると考えられた。さらに,発酵により機能性成分として知られるオルニチンの増加,タウリンおよびシトルリンの産生が認められた。
    当該発酵酒粕(初発のHOKKAIDO株生菌数:1.8×108 CFU/ml)にアルコールを5-15%添加し,35日間の低温保存試験を行った。その結果,10 %アルコール添加区で107 CFU/ml以上の生菌数を維持した。この菌数は乳酸菌飲料に匹敵するので当該発酵酒粕を原料に昨今の消費者志向に合った健康機能性を想定した低アルコール飲料の製品化が期待された。
  • 有手 友嗣, 山田 幸信, 三輪 章志, 松田 章, 中村 静夫
    2012 年 107 巻 8 号 p. 611-619
    発行日: 2012年
    公開日: 2017/12/12
    ジャーナル フリー
    精米歩合50%の白米を原料にし,総米100gの変則二段仕込で,三段仕込と同等品質の大吟醸酒を醸造するための「大吟醸酒用少量発酵試験法」を開発することを目的として,仕込配合と一次もろみ温度について検討した。
    水を一次仕込ですべて加える仕込配合では,一次もろみ温度が高くなるほど,発酵終了までの期間は短くなり,アルコール分数は高くなるが,酢酸,コハク酸が増加し,酸度が非常に高くなった。水を一次仕込と二次仕込の二段階で加える仕込配合では,一次もろみ温度を変えても発酵終了までの期間は変化せず,一次もろみ温度が低いほどアルコール分は高く,酸度は低くなった。今回検討した条件の中では一次仕込と二次仕込の二段階で水を加える仕込配合で一次もろみ温度を20℃とした時に,一般成分値が三段仕込による大吟醸酒に最も近くなった。乳酸濃度と水の配分が清酒の成分に与える影響についてより詳細に検討したところ,水の配分は発酵経過,清酒の成分ともに影響した。乳酸濃度はアルコール発酵にはほとんど影響しないが,リンゴ酸,酢酸,コハク酸の生成に影響を与えることが分かった。
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