黒麴菌
A. luchuensis MEM-Cを用いて製麴すると黄変黒麴が得られた。黄変黒麴は抗菌物質を有しており,芋焼酎の一次醪では酵母の増殖を抑制することで発酵を阻害していた。本研究では黄変黒麴に含まれる抗菌物質を精製し,各種酵母および糸状菌に対する抗菌効果を調査した。
1)黒麴菌
A. luchuensis MEM-Cを用いて製造した黄変黒麴から抗菌効果を有する粗精製画分Fraction 3を得た。
2)黄変黒麴粗精製画分Fraction 3の収量は122±9 mg/1.0 kg dry
kojiであった。
3)Fraction 3は酵母に対して強い抗菌効果を有しており,殺菌効果も確認された。
4)Fraction 3は焼酎麴菌
A. luchuensisおよび細菌(乳酸菌,大腸菌)に対しては抗菌効果を示さなかった。
5)TLCおよびHPLCの分析結果からFraction 3は複数の成分を含んでおり,抗菌物質は糖を含むことが示唆された。また,限外ろ過画分の抗菌活性試験結果から抗菌物質の分子量は50 kDa~100 kDaの高分子であると示唆された。今後は抗菌活性を指標に主要な物質を精製し,その利用法を検討していく。
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