耳鼻咽喉科展望
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42 巻, 6 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 悪性腫瘍 (I)
    西山 茂夫
    1999 年 42 巻 6 号 p. 562-563
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 佃 守
    1999 年 42 巻 6 号 p. 564-575
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    頭頸部癌の90%は, 病理組織学的に扁平上皮癌で, 頭頸部扁平上皮癌は漸増傾向にある。進行癌が多く, そのため予後が悪い。予後を向上させるには集学的治療が望まれる。本稿では頭頸部扁平上皮癌に焦点を当て, 最近の話題, 研究について概説した。
    話題としては合併症, 若年者癌, 重複癌などについて述べた。合併症や重複癌は予後にも多大な影響を与えるため, 十分な配慮が必要と考える。
    研究面では細胞周期のチェックポイントであるG1/S期に関わる遺伝子のRb, p16, p21, p27, p53, Cyclin Dなどについて解説するとともに, apoptosisの機序の概略について述べた。また腫瘍の増殖, 転移に不可欠な血管新生因子, またmatrix metalloproteinase (MMP) を解説した。血管新生阻害剤, 抗MMP剤は近年tumor dormancy therapyとして注目されている薬剤である。
    その他, 今後臨床に応用されるであろう抗epidermal growth factor receptor抗体, cyclooxygenase-2 inhibitor, all-trans retinoic acidなどについても解説した。
  • 豊田 由香, 吉田 博一, 浅賀 英人
    1999 年 42 巻 6 号 p. 576-584
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    スギ花粉非飛散期に5日間連続鼻粘膜誘発を行い, スギ花粉症初期の病態を再現し, 遅発相反応の変化と反応時に放出される細胞内物質の変化について観察した。その結果, 少量でも連続的な花粉の累積により, 即時相のみならず遅発相反応をも増強し, 抗原曝露の増加によりその反応は高度化し, 遅発相反応発現率も増加することがわかった。トリプターゼ, ヒスタミンは即時相のみの上昇で遅発相での変化はみられなかったが, ECPは即時相, 遅発相の両相において増加する傾向であった。遅発相反応の出現・程度に関しては, 好酸球の活性化が重要な因子であると思われた。
  • 飯野 ゆき子, 宮澤 哲夫, 今村 祐佳子
    1999 年 42 巻 6 号 p. 585-590
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    小児滲出性中耳炎に対しマクロライド療法を施行しその有効性を検討した。クラリスロマイシン少量投与群 (CAM投与群) 55例96耳と, セフェム系抗生剤常用量4投3休を施行した群 (対照群) 19例31耳の治癒率はそれぞれ65.6%と16.1%であり, 有意にCAM投与群の有効性が高かった。マクロライド療法の有効性は, 副鼻腔炎合併例で有意に高く, また2歳以下の低年齢児, アデノイド増殖症合併例で有意に低かった。さらに副鼻腔炎を合併した症例でもアデノイド増殖症を有するもので有効性が低かった。これらの結果から, マクロライド療法は, 小児滲出性中耳炎の直接的, あるいは二次的な感染・炎症病態を改善し, 治癒に導くものと考えられた。しかし投与後の中鼻道の病原菌の有無と滲出性中耳炎に対する有効性の相関はみられないことから, 感染・炎症病態の改善は, 抗菌作用以外のものの可能性が示唆された。
  • 嶽 良博, 榎本 雅夫, 芝埜 彰, 硲田 猛真, 斉藤 優子, 十河 英世, 藤木 嘉明, 藤村 聡
    1999 年 42 巻 6 号 p. 591-596
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    Chlamydia trachomatis (C. trachomatis) の診断に用いる血清抗体測定試薬ヒタザイム (R) クラミジア (ヒタザイム), ペプタイド®クラミジア (ペプタイド) とクラミジア抗体ミツビシ (ミツビシ) は, それぞれ異なった抗原を用いて血清抗体を測定している。そこで, これら3種類のキットの性能比較を行った。対象血清はウェスタンブロット法にてC. trachomatis抗体陽性血清25検体と陰性血清16検体である。その結果, IgG抗体におけるウエスタンブロット法との全体一致率はヒタザイム100%, ペプタイド85.4%, ミツビシ97.6%であった。IgA抗体におけるウエスタンブロット法との全体一致率はヒタザイム100%, ペプタイド82.9%, ミツビシ97.6%であった。ペプタイドが偽陽性, 偽陰性となる可能性が高いが, 他のクラミジアとの交叉性はない。C. trachomatis抗体の測定結果には用いた測定試薬の抗原によって差がでることを認識すべきである。
  • 西澤 伸志
    1999 年 42 巻 6 号 p. 597-603
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    医療用赤外線鼓膜体温計サーモスキャン (R) にて1992年12月から1996年3月までの期間, 1,132人2,264耳の鼓膜体温を5回ずつ11,320回測定し10歳代ごとの年代別に区切り比較検討した。予測式病院用電子式体温計腋下1分計にて腋窩温も測定し鼓膜体温と比較した。鼓膜温は40歳代が10・20歳代および50・60・70歳代との間に有意差を認め, しかも高温であった。鼓膜温の平均は36.54℃, 腋窩温の平均は36.53℃を呈し両者に有意差がなかった。男性は鼓膜温の年代別の差を認めなかった。女性の鼓膜温は30・40歳代にピークを認めた。女性の20歳代までは鼓膜温が腋窩温より低温であったが, 30歳代以降では逆に鼓膜温より腋窩温が低かった。
  • 山内 大輔, 綿谷 秀弥, 上田 成久, 志賀 伸之, 湯田 文朗, 江良 謙次
    1999 年 42 巻 6 号 p. 604-608
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    正常な歯牙は歯列内のそれぞれ正常な位置に萌出するが, ときには歯列からはずれた位置に萌出することがある。この状態を歯牙の転位と呼び, その中で歯冠が正常の萌出方向と全く逆の方向に向かっているものを逆生歯牙と呼ぶ。固有鼻腔内逆生歯牙は1754年, Albinusによりはじめて報告され, 本邦では1901年金杉による報告以来138例の報告がある。我々は平成10年6月から同年11月の半年間に固有鼻腔内逆生歯牙2症例を経験し, 手術を施行した。2症例はいずれも10歳前後の男児であり左右1症例ずつで埋伏過剰歯牙あった。これらは全身麻酔下内視鏡下に鼻内より炭酸ガスレーザーを用いて摘出し, 病理組織学的に歯牙であることが確認された。外観上エナメル質形成不全があり, 慢性炎症に起因する石灰化不全型であると考えられた。鼻出血や鼻石を来たす原因となること等により, 発見後早期に摘出すべきとされている。
  • 榎本 仁司
    1999 年 42 巻 6 号 p. 609-613
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    アスペルギルスが喉頭に感染することは非常に稀であり, 特に, 普通の健康人に感染する原発性喉頭アスペルギルス症は, 内外の文献上まだ5例しか報告されていない。また, これら過去の症例が, 表在性および侵襲性の病変であるのに対し, 本症例は仮声帯粘膜下に菌球を形成したアスペルギローマ (Aspergilloma) であった。
    症例は, 60歳女性で, 約3ヵ月前からの嗄声を主訴とし, 左仮声帯にほぼ大豆大の隆起を認めた。症例を報告し, 真菌感染に関する職業的リスクや喉頭アスペルギローマの成因について検討するとともに, 原発性喉頭アスペルギルス症を, 表在型, 侵襲型および菌球型の3型に分類した。
  • 吉川 衛, 石井 正則, 吉田 茂, 松井 真人, 森山 寛
    1999 年 42 巻 6 号 p. 614-618
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 両側の視力障害を主訴とした巨大な蝶形骨洞嚢胞を経験したので報告した。術前CTにて, 蝶形骨洞から後部筋骨洞にまたがり, 一部斜台を含め周囲の骨を破壊し, 両側の視神経を圧迫している巨大な嚢胞が認められた。術前視力は, 右眼が手動弁, 左眼が失明の状態であったが, 内視鏡下鼻内副鼻腔手術にて迅速に蝶形骨洞嚢胞を十分に開放し, かつ初診時からコハク酸メチルプレドニゾロン125mg/dayの投与を8日間施行したところ, 退院時の視力は右眼が1.2, 左眼が0.5と著明に改善した。
    失明にまで至った症例では, 回復は困難であるとする報告があるが, 内視鏡下鼻内副鼻腔手術にて安全に蝶形骨洞を開放できたことより, 視力回復には迅速で低侵襲な内視鏡下による減圧処置が重要であると考えられた。
  • 宇野 比奈子, 奥野 秀次, 野口 佳裕, 堤 剛, 喜多村 健
    1999 年 42 巻 6 号 p. 619-623
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    耳硬化症のstapedotomyの開窓に際しスキータードリルを試用し, 従来用いているハンドドリルによる開窓の結果と比較した。視野の確保や内耳障害の発生の危険性に関する安全性において従来のハンドドリルに劣ることはなく, さらに操作性においてはより使いやすく, 安全・確実に開窓ができるものと感じられた。この点から考えて, 少なくとも, 専門医を教育する施設などにおいては設置すべき器具と考えられた。
  • 河合 一重
    1999 年 42 巻 6 号 p. 624-627
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 辰野 聡, 多田 信平
    1999 年 42 巻 6 号 p. 628-629
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 上出 洋介
    1999 年 42 巻 6 号 p. 630-633
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 北村 正樹, 景山 茂
    1999 年 42 巻 6 号 p. 634-637
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 1999 年 42 巻 6 号 p. 638-648
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 畔柳 達雄
    1999 年 42 巻 6 号 p. 649-662
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
  • 増田 佐和子, 鵜飼 幸太郎, 竹内 万彦, 大川 親久, 坂倉 康夫, 間島 雄一
    1999 年 42 巻 6 号 p. 663-671
    発行日: 1999/12/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    今回我々は, スギ・ヒノキ花粉症患者35名について, 塩酸エピナスチンの花粉飛散開始前および開始後投与による有効性と安全性を検討した。くしゃみ発作は花粉飛散1~2, 7~8週目で飛散開始前投与群において開始後投与群に比べ有意に低値を示した。鼻汁, 鼻閉, 重症度, 日常生活の支障度, medication scoreおよびsymptom-medication scoreは両群間で有意差は認められなかったが, くしゃみ発作, 鼻汁, 重症度は飛散開始後投与群においては投与開始時をピークとして, 以後は悪化することなく飛散開始前投与群と同様に速やかに軽減した。また, 1例 (2.9%) に軽微な上腹部痛が出現した。以上より塩酸エピナスチンはスギ花粉症に対して, 花粉飛散開始後に投与を開始した場合でも速やかな効果が期待でき, 有用であることが示唆された。
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