耳鼻咽喉科展望
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42 巻, Supplement2 号
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  • 佐藤 素一, 石橋 正敏, 辻 正宣
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 143-148
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    第1報, 続報にひきつづき今回は第3回目を報告する。第1報では, 実用化への第1段階として, 湯気の特性と43℃ heated waterを作りだすsteam発生機の選択及びこれらを基本とする新機種開発の構想について述べ, つぎの続報ではこれを組み立てて臨床に応用できるものの試作品までこぎつけ, これを図示し, 説明を加えた。その後, 本機を症例に適応させると予想以上の成果をあげることができるので, 今回はこのdevice全般をコンパクトにし「使いよさ」を考究し, さらに新しい知見も加わったのを機会にその解説と, 一方では機能の充実に努めた。
  • 白居 芳幸, 石塚 洋一, 立野 政雄, 中村 幹, 安田 正秀, 関 守広
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 149-153
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    単純性いびき症に対し, 点鼻用噴霧剤TK 001を用い, その治療効果を検討した。TK 001は, 鼻粘膜の湿潤化をはかる目的で使用されるグリセリンに加え, 鼻粘膜血管の充血を改善する目的で, 既に血管収縮剤としての使用実績の多い塩酸ナファゾリンを有効成分として, 配合し, より治療効果の高いいびき抑制剤を目指して開発された点鼻用噴霧式薬剤である。本剤を20~49歳までの男性35名, 女性17名, 合計52名に投与し, いびきや就寝時の状態について観察し, その効果を検討した。その結果, 著効13名, 有効12名, やや有効21名, 無効5名, 悪化1名で, 有効以上の有効率48.1%, やや有効以上の有効率は88.5%であった。
  • Beclomethasone dipropionate吸入療法非使用例と比較検討して
    西澤 芳男, 西澤 恭子, 吉岡 二三, 大山 弥生, 永野 富美代, 伏木 信次
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 154-160
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    582例の気管支喘息患者を乱数表で2群に分けA群にBechlomethasone dipropionate (BDP) 814.8±71.4μg/日を投与 (294例, 男 : 女=135 : 159, 52.4±19.4歳), B群 (288例, 男 : 女=132 : 156, 49.2±24.4歳) はBDPを投与せず5年間気管支喘息発作 (ATs) 時の病原体気道感染に関与する病原体を解析した。A群はATs412回, B群は294回であった。 (1) 病的喀疾排出はA群がB群より有意に多く, (2) 細菌感染はA群でやや多く認められたがATs時の気道細菌感染がBDP使用によって増加したとは考えられなかった。 (3) virus感染はA群で有意に多くinfluenzae感染が有意に多かった。 (4) mold感染はA群で有意に多かった。 (5) また, 結核菌感染もA群で有意に多かった0以上の結果からBDP使用はvirus, mold, 結核菌感染を有意に増加させることによって気管支喘息のATsを増加させる可能性が示唆された。
  • 大越 俊夫, 岡村 一成, 臼井 信郎
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 161-165
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    喉頭ネブライザー療法は種々の喉頭疾患に対し行われているが, エアロゾル化された薬剤の沈着は少ない。今回, 我々はエアロゾル吸入時に「音を出すような吸気」を行わせたところ安静呼吸時に比べ喉頭への沈着率を増加させることができた。
    対象は健康成人男子5名で超音波式ネブライザーを用い, 吸入時間は2分間とした0アイソトープは99mTcを使用した。呼吸方法は (1) 安静呼吸, (2) 吸気時に音を出すような呼吸, とした。吸入終了後, 水200m1を飲ませたのち, ただちにカウントした。
    安静呼吸時では喉頭部への沈着率は3.2%であり, 肺は42.9%, 胃は36.4%であった。
    音出し吸気時では喉頭部は8.2%, 肺は15.2%, 胃は56.4%であった。声門をせばめることにより, エアロゾル粒子の喉頭部への沈着は増すと考えられる。
  • 間宮 淑子, 小森 真由美, 近藤 由香, 高須 昭彦, 岩田 重信, 三浦 知道, 長谷川 豊, 菊山 功嗣
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 166-171
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    慢性副鼻腔炎の病態は炎症による粘膜の機能不全と副鼻腔換気不全である。我々は, 副鼻腔の換気に着眼し, 鼻腔・上顎洞モデルを作成, 上顎洞の圧変動を測定することにより, 鼻腔・上顎洞間の換気状態につき以前報告した。今回, 鼻腔・上顎洞モデルに新しく鼻腔副鼻腔の交通路を設け, 自然孔モデル, 対孔モデルと名付けた。気流ならびに鼻・副鼻腔圧変動を測定し, 対孔の意義を含め流体力学的に検討した。鼻腔モデル内流速の増加, 対孔の造設は, 上顎洞モデル内圧変動を増大させた。対孔モデルの造設に自然口モデル径の拡大を加えることにより, 上顎洞内圧の変動は増大し, 鼻腔・上顎洞間の換気は増大した。
    さらに生体の鼻腔・上顎洞内圧を同時測定し両者間の換気につきモデル実験と合わせ, 比較検討した。ヒトでは, 安静呼吸時と頻呼吸時につき計8例 (男性6例, 女性2例) で測定し, 対孔造設例では鼻腔内圧および上顎洞内圧は安静呼吸に比し頻呼吸で有意に増大した。
  • 今田 正信, 野中 聡
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 172-175
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    エアロゾル療法において粒子の速度を変化させる装置としてスペーサーがあり, これを使用することにより発生装置からの粒子の速度を減少させ, 自発呼吸によって吸入することにより, 下気道への薬剤の到達を増加させることが可能となる。しかしエアロゾル粒子をスペーサー内に浮遊させた際, どの程度粒子が沈着するかについては詳細な検討がなされていない。本実験では, ネブライザーをスペーサーに接続し, エアロゾル粒子がスペーサー内側壁へどの程度沈着するか, また沈着量に影響を与える因子にはどのようなものがあるかについて検討した。超音波ネブライザーとジェットネブライザーを比較するとジェット式ネブライザーの方が沈着率が少なかった。またエアロゾルの発生時間が長くなるにつれ沈着率が増加した。換気シュミレーションを加えた実験では, 換気量が大きくなるにつれ沈着率が減少した。さらにグリセリンの添加は沈着率を減少させた。
  • 患者使用実態調査を中心に
    横澤 紀子, 倉沢 祥貴, 安次嶺 ゆか, 大澤 愛子, 川田 智広, 上野 宏美, 杉山 美樹, 久樹 典子, 八幡 淑子, 吉山 友二
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 176-180
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    気管支喘息治療におけるエアロゾル療法の一つとして, β刺激剤およびステロイド剤の定量噴霧式吸入薬 (MDI) が多く用いられている。しかし, これら薬剤の誤った使用による副作用発現が問題視され, その適正使用の重要性が叫ばれている。そこで, MDIに関する患者の理解度や実態についてアンケート調査を行った。
  • 小森 真由美, 三輪 正人, 間宮 淑子, 近藤 由香, 宮城島 正和, 高須 昭彦, 岩田 重信
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 181-185
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    ネブライザー溶液の浸透圧が鼻粘膜に及ぼす影響に関してはいまだ不明な点が多い。そこで今回, 浸透圧の異なった溶液のネブライザー施行前後で粘液繊毛輸送機能, 鼻腔抵抗, 鼻腔容積, 鼻汁量の変化を測定した。
    サッカリン時間はいずれの浸透圧のネブライザー施行後にも短縮を認め, ネブライザーによる加湿は粘液繊毛輸送機能を改善させることが示唆された。
    さらに高張食塩水の吸入後には, 鼻腔容積の減少, 鼻腔抵抗の増加, 鼻汁量の著しい増加を認め, ネブライザー溶液の浸透圧は鼻粘膜の腫脹, および粘液繊毛輸送機能に影響を及ぼすことが示唆された。
  • 貝瀬 俊彦, 大森 健守, 鵜飼 幸太郎, 坂倉 康夫
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 186-188
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎に対するオキサトミド点鼻薬の効果を知る目的で, モルモットの実験的アレルギー性鼻炎に対するオキサトミド点鼻薬の効果を検討した。オキサトミド点鼻薬 (0.025%) は鼻腔内局所投与において, 感作モルモットへの抗原誘発後の鼻粘膜血管透過性充進および鼻腔灌流液中ヒスタミン濃度増加を有意に抑制した。さらに, オキサトミド点鼻薬はヒスタミン鼻腔内投与後の鼻粘膜血管透過性充進に対しても抑制作用を示した。以上の結果は, オキサトミド点鼻薬が鼻粘膜局所においてヒスタミン遊離抑制作用およびヒスタミン拮抗作用を発現して鼻粘膜血管透過性充進を抑制したことを示しており, オキサトミド点鼻薬がアレルギー性鼻炎に対して臨床効果を示すことが期待される。
  • 吉山 友二
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 189-194
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    ネブライザー療法は, ドラッグデリバリーシステム (DDS) の観点からも病変部位に薬剤が直接到達して効果を発現する局所療法という観点で理想的であり, 各科領域において有用視されている。とりわけ, 超音波ネブライザーによるエアロゾル療法は, 安定性の良い微粒子が比較的均一に得られることから繁用されている°しかしながら, ネブライザー噴霧により薬剤の安定性は保持されたまま100%噴霧されているとの未検証の前提に基づきネブライザー療法が施行されてきた。これまで, 臨床薬学よりみたネブライザー療法における薬剤安定性について一連の研究を企画し, 超音波ネブライザー使用時に一部の薬剤で安定性に問題があることを本学会において指摘してきた。また, ネブライザー療法に用いる薬剤は, たとえ薬理作用に問題がなくとも, 臭気の発生や味覚が悪いとかえって喘息様発作を誘発することがあるといわれ, 薬剤安定性はもとより臭気や味覚などについても考慮すべきである。
    これまでネブライザー専用の市販製品は少なく, 抗生物質などでは一般に注射剤を代用することが問題視され, ネブライザー専用薬剤の開発が強く要望されてきた。1996年にネブライザー専用の薬剤であるベストロン耳鼻科用の臨床使用が可能となり, 今後, ネブライザー噴霧吸入療法における新しい局所耳鼻科用剤として大いに期待される。
    新規開発の超音波ネブライザーは, 超音波に薬剤が暴露される時間が短く, 薬液の温度上昇の影響も受けにくいよう工夫が凝らされており, 従来型超音波ネブライザーの使用を制限する要因であった薬剤への悪影響を回避し得る機器である。
    総じて, ネブライザー療法は大変有用であり, 薬剤安定性が保持され, 利便性が向上した超音波ネブライザーの登場と相侯って, 適正なネブライザー療法が多くの患者に福音をもたらすことを強調したい。
  • 鈴木 賢二, 馬場 駿吉
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 195-199
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    副鼻腔炎に対する局所的化学療法としてのネブライザー療法は, その簡便さと安全性から日常診療において広く活用されている。これまで我々は超音波型およびジェット型ネブライザーを用いて抗菌剤エアロゾルの鼻腔・副鼻腔への移行につき検討し, ネブライザーによる抗菌剤の噴霧は中鼻道, 上顎洞自然口の病態改善に有用であり, 鼻腔内の病態が改善すれば上顎洞内への充分な薬剤の移行が期待でき, 極めて安全で有用な治療法であることを示してきた。しかしその臨床的薬効評価は充分普及しているとは言い難く, 鼻ネブライザー療法の効果判定基準の確立と普及が待たれるところである。
    今回我々は鼻ネブライザー療法の簡易判定基準の確立を目指し, これまで開発治験で使用し, 臨床的にも活用している自覚症状・他覚所見の評価基準を示し, 臨床効果判定のクライテリアを紹介し, さらにその効果判定に従った臨床成績も呈示した。総合的に検討して'自覚症状として頭痛 (頭重) ・鼻漏・鼻閉, 他覚所見として鼻汁量・鼻粘膜腫脹・鼻汁性状からなる6観察項目を点数化する臨床応用可能な簡易判定基準を示した。これらの評価・判定には鼻腔内所見や鼻汁の性状判定など耳鼻咽喉科の専門的知識・判断が必要で, その意味から鼻ネブライザー療法は耳鼻咽喉科専門医の監督指導のもとに行われるべきで, 上気道のネブライザー療法もこれに準ずると考えられる。
  • 関沢 清久
    1999 年 42 巻 Supplement2 号 p. 200-203
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2011/03/18
    ジャーナル フリー
    呼気一酸化炭素 (CO) 濃度は喘息気道炎症をよく反映する。呼気CO濃度は安価で携帯可能な機器で測定されるゆえ, 家庭内での気道炎症のモニターが可能と考えられる。
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