耳鼻咽喉科展望
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53 巻, 1 号
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カラーアトラス
綜説
  • 鈴木 賢二
    2010 年 53 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科領域は, 呼吸器の最前線に位置し, 侵入する病原微生物・アレルゲンなどと生体が初めて接する部位であり, 感染症の好発部位となっている。よって我々耳鼻咽喉科医は日々の臨床において, 鼻副鼻腔炎, 扁桃炎など上気道の感染症や類縁疾患である中耳炎にしばしば遭遇している。
    本稿では, 日本耳鼻咽喉科感染症研究会がこれまで行ってきた主要感染症の全国サーベイランスの成績を参考として, 推定起炎菌を述べ, 近年問題となっている耐性菌につき考察し, ウイルス感染症では2次感染予防目的であってもできる限り抗菌薬を使用しないようにすることや細菌検査により耐性菌等を確実に把握し, もっとも有効な抗菌薬を選択するなど抗菌薬の適正使用につき概要を述べた。
臨床
  • 田中 康広, 小島 博己, 森山 寛
    2010 年 53 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    外傷による耳小骨連鎖離断ではキヌタ骨が障害されることが最も多く, 転位を来たしやすい。しかしながら, キヌタ骨が鼓室外へ完全脱出することはほとんどなく, 渉猟しえた限りでは過去に1例の報告があるのみである。今回, 交通外傷による側頭骨骨折に伴い, キヌタ骨が鼓室内から外耳道へ完全に脱出した極めて稀な症例を経験したので報告する。症例は26歳の女性で, 交通外傷後より右耳の難聴を訴えていた。初診時の鼓膜所見にて外耳道後壁上方から鼓膜後上部にかけて骨性の隆起を認め, CT検査の結果から側頭骨骨折に伴い鼓室より脱出したキヌタ骨であると診断した。聴力改善目的に手術を施行したところ, 術中所見においても鼓室狭部方向へ向かう外耳道後壁の骨折と骨折線上に脱出したキヌタ骨の存在を認めた。キヌタ骨を摘出し, アブミ骨とツチ骨の間でinterpositionによる再建 (III-i型) を行った。術後鼓膜所見は正常化し, 聴力も著明に改善した。今回の症例のようにキヌタ骨が外耳道内へ完全に脱出するには, 側頭骨骨折による骨の解離と同時にキヌタ骨の転位に伴う脱出が起こらなくてはならなく, よほどのタイミングが合わないと起こりえないものであると考えられた。
  • 志村 英二, 池田 宏明, 深美 悟, 今野 渉, 月舘 利治, 平林 秀樹, 春名 眞一
    2010 年 53 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    症例は47歳女性で, 右耳痛, 難聴を主訴に近医耳鼻科を受診し, 中耳炎と診断され, 通院加療をうけていた。難聴は改善せず, 次第に嚥下障害も出現してきたため脳神経外科を受診し, 画像検査にて巨大な小脳橋角部腫瘍を指摘された。聴力, 嚥下機能評価目的に当科依頼となったが, 初診時, 右鼓膜より突出する腫瘤性病変を認めたため, 生検したところ髄膜腫との診断であった。後日脳外科にて全身麻酔下に開頭腫瘍部分切除術を施行した。病理結果は中耳と同じ髄膜腫であった。
    頭蓋内髄膜腫の中耳内進展の経路について, これまでのいずれの報告も進展経路が不明か, あるいは臨床症状や画像所見より進展経路を推定するにとどまり, 客観的にその進展経路を証明し得た報告は皆無であった。今回われわれは, 3D撮像の造影MRIを施行することにより, 小脳橋角部髄膜腫が頸静脈孔から一旦頭蓋外へでた後, 耳管を経由して中耳内へ進展する可能性があることを証明することができた。
  • 森 智昭, 江川 峻哉, 小野 智裕, 門田 哲弥, 嶋根 俊和, 寺尾 元, 三邉 武幸
    2010 年 53 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    今回我々は当科にて原発性副甲状腺機能亢進症の手術症例を6例経験したので報告する。
    症例は男性2例, 女性4例で骨型が2例, 生化学型が4例, 腎結石型が0例であった。術前のカルシウム値, i-PTHは共に高値を認めていた。術前検査で全例において超音波, MIBIシンチを施行した。全例で一腺のみの腫大を認め腺腫であると考えられた。そのため術式は, 術前部位診断に基づいた限局手術を施行した。術後の病理検査結果では全例がadenomaと術前の画像診断と相違のないものであった。また術後のカルシウム値, i-PTH値は共に低下を認めた。
    現在外来にて経過観察中であるが, 腫瘍の再発や検査値の再上昇は認めていない。
境界領域
  • 鴻 信義, 松脇 由典
    2010 年 53 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2010年
    公開日: 2011/02/15
    ジャーナル フリー
    頭蓋底領域は, 頭蓋内外の重要な血管や神経が密集している。したがって頭蓋底手術では, 正確なオリエンテーションと極めて慎重な鉗子操作が要求される。ナビゲーションシステムは, 術野の位置や周囲臓器との関係, また手術操作をすすめている方向を術者に的確に表示するため, 頭蓋底手術においては非常に有用な支援機器である。最新の機種は, 術中に撮影したアップデートなCT画像を器械内に取り込んでナビゲーション画面に表示し, リアルタイムなナビゲーション手術を可能にした。頭蓋内疾患や眼窩内疾患の手術時に, 病変の除去にともなって発生するbrain shiftやorbital shiftをナビゲーション画面上に反映するので, より円滑で的確な手術が行える。今後の頭蓋底ナビゲーション手術に不可欠な機能であると考える。
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