心臓
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10 巻, 10 号
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  • 藤井 諄一, 渡辺 熈, 小山 晋太郎, 加藤 和三
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1011-1021
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    各種心疾患95例(収縮性心膜炎,特発性心筋症,僧帽弁狭窄症,僧帽弁閉鎖不全症,大動脈弁狭窄症,大動脈弁閉鎖不全痙,高血圧症)および正常20例において,後壁・中隔および僧帽弁エコーグラムにより左室拡張(流入)動態を検討した.各疾患で種々の拡張異常が認められ,拡張期を急速流入期,緩速流入期,心房収縮期の三期に分けて比較すると,疾患により異常の型,程度に差違があることが知られた.多くの例で急速流入期の拡張(流入)減少およびその遅延化と心房収縮の代償性増大がみられた.僧帽弁エコーグラムのDDRは急速流入期の後壁拡張速度,左室流入速度と正相関を示した.従ってDDRは主として急速流入期の房室弁口血流により規定されると考えられるが,その評価には弁の可動性の関与も考慮する必要があると思われた.心エコー図は左室拡張動態異常の質的量的評価に有用であると考えられる.
  • 早崎 和也, 関口 守衛, 広沢 弘七郎
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1022-1028
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    粘液水睡心の剖検撮告は数多いが,冠動脈硬化による2次的変化を否定できず,未治療の病理所見も得難くその本体についても不明なことが多い.これらの問題を除くため,比較的若い,未治療の5症例について心カテ'心内膜生検法により心筋生検を行い光顕・電顕的検討を行った.光顕的には筋原線維の疎しょう化,空胞化,lipofuscin沈着が増加を,間質には浮腫が目立ちアルシアン青染色陽性の粘液物質が増加し線維化を認めた.電顕的には筋原線維の疎しょう化,断裂,ミトコンドリアの腫大,大小不同等を認めた.これらの所見をもとに粘液水腫心の心庵図変化の原因,心不全の可能性の有無についても若干の検討を行った.
  • 低出生体重児および成熟児の正常値について
    青木 浩之, 宝田 正志, 後藤 彰子, 池沢 芳江
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1029-1037
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心エコー図検査は,先天性心疾患をはじめ各種疾患の心血管系異常を診断するのに有用な検査法である.本法は今まで成人・年長児を中心に普及してきたが,最近は高周波探触子の導入などにより,未熟児新生児領域にまで検査が可能になった.そして今では,新生児期の心血管系異常診断や,他疾患とくに呼吸器系疾患との鑑別などに心エコー図検査は欠くべからざる検査法の1つになり,大いに活用されている.しかし日本人新生児の心エコー図検査に関する報告は少なく,とくに低出生体重児に関する検討はいまだ報告が無い.今回著者らは,新生児の心エコー図検査をより容易に,しかも正確に行うための基礎となる成熟新生児および低出生体重児心エコー図の標準的記録法とその正常値について検討した.この研究の結果得られた日本人健康新生児の正常値は,今後心奇形の有るあるいは無いsick newbornの心血管系診断および管理の上で,きわめて有用であると思われる.
  • 実験的急性心筋梗塞硬塞犬における検討
    伊東 進, 高岡 猛, 岸 清一郎, 日浅 芳一, 村山 善紀, 中屋 豊, 上田 征人, 森 博愛, 香川 正博
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1038-1042
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Ammonia直接比色定量法を応用した新しいggamase測定法を用い,21例の実験的急性心筋梗塞犬および3例のCCl4肝障害犬における血清guanase活性を測定し.一部の例では肝組織像についても検討した.
    肝組織像で明らかな変化がみられたCCl4肝障害犬では,血清GOT,GPTおよびguanase活性はともに著明に上昇した.肝組織像に著変がなかった実験的急性心筋梗塞犬では,GOT,GPT活性は上昇したがguanase活性は上昇しなかった.
    急性心筋梗塞例における上昇した血清GOT,GPT活性は主として心筋由来と考えられるが,急性心筋梗塞例における血清中のこれらの酵素活性の上昇に肝障害の関与が考えられる場合GOT,GPTよりも肝に特異的な血清guanase活性を測定することは,肝障害合併の有無の判定に役立つ.
  • 中西 敏雄, 中沢 誠, 高尾 篤良
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1043-1050
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心血管奇形の合併しない先天性完全房室ブロック(CCAVB)のうち,心血管造影で拡張末期に良い左室造影像の得られた6例について.その容積(LVEDV)と心筋重掃(あるいは左室重量)(LV mass)を測定し,臨床症状との関連性を検討した.また左室容積負荷をきたす先天性心奇形における値と比較した.
    LVEDVは正常の213±13%(%N)と増加していたがLV massは109±6(%N)と正常範囲にとどまり,LVEDV %N/LV mass %Nは2.03±0.20と増加していた.6例中4例はAdams-Stokes発作を経験したが、これらの値との相関はなかった.心不全が最も重症だった例でLVEDV %N/LV mass %Nは2.52と最高で,心筋重量の相対的な不足が心不全症状と関連性のあることが示唆された.先天性崎形においてもLVEDV %N/LV mass %Nが高値である2歳未満の群で心不全が認められ,このことを裏づけた.
  • 森 清男, 佐藤 博文, 小野江 為久, 大家 他喜雄, 龍村 俊樹, 能登 佐, 上山 武史
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1051-1056
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は51歳,女性.20数年来心不全症状が徐々に増強し入院する.顔面浮腫,肝腫大,前脛骨部浮腫を認め,胸骨左縁第4肋間やや外方に収縮期雑音,拡張期ランブルを聴取する.心胸郭比60%,心電図は電気軸50度,心房細動,右脚ブロックを示した.頸静脈波は波が著明でx波のobliterationの所見であった.負荷心音図上亜硝酸アミル吸入で収縮期雑音の増強があった.UCGは右室容量負荷像を示した.右室造影では中等量の逆流を認めた.Korner-Shillingford法に基づく立木らの三尖弁逆流の定量法では81%であった.手術は,De Vega法を施行し,逆流は消失した.電気的徐細動にて洞調律化した.手術時の所見より先天性孤立性三尖弁閉鎖不全と診断した.
  • 主として運動負荷時の変動について
    島崎 靖久, 川島 康生, 森 透, 橋本 聡一, 北村 惣一郎, 高野 久輝, 広瀬 一, 中埜 粛, 大山 朝賢, 河内 寛治, 八木原 ...
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1057-1061
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左右短絡を伴う先天性心疾患の肺循環動態の研究は短絡閉鎖前後の安静時における変動からなされてきた.しかし本疾患の根治性を考える時,術後の肺循環動態は安静時のみならず運動負荷時についても検討されるべきであろう.著者らは術前肺高血圧,高肺血管抵抗を示した本疾患の12例につき術後遠隔期に運動負荷をかけこの時の肺循環動態を検討した.術前,肺体血管抵抗比(Rp/Rs)がO.15以上0.50未満の5例では術後安静時のRp/Rsは0.15以下で運動負荷にても肺血管抵抗値(PVR)は上昇せず,正常反応を示した.術前,0.50≦Rp/Rs<O.85の7例については手術時年齢10歳未満3例では術後安静時のRp/Rsは低下したが運動負荷時2例が上昇した.手術時年齢10歳以上4例では安静時Rp/RSは低下するが高値を示し,運動負荷にて3例PVRが上昇した.この事から術後安静時の肺循環動態が正常化することを指標として手術の時期を決定することは妥当とは考えがたい.
  • その手術成績と遠隔成績
    田林 晄一, 香川 謙, 荒木 純一, 堀内 藤吾, 高宮 誠
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1062-1068
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    昭和33年から昭和51年12月までに行われた動脈管開存症319例の手術成績と遠隔成績を調査し検討した.
    手術成績は手術前の合併心奇形,肺高血圧を伴わない群での死亡率は0%であったのに対し,他の心大血管奇形合併群では17%,また肺高血圧症合併群では11%と明らかな差を認めた.死亡原因としては呼吸循環不全が多くをしめた.
    手術適応と手術法は,患者の年齢,肺高血圧症の有無合併する他の心大血管奇形の種類により異なり,それぞれの適応基準に従って決定した.動脈管開存症の処置は昭和41年以降は切離術を原則として行ってきたが,昭和45年以降適応を選び68例にPorstmann術を施行した.本法で5例の手術不成功と2例の遠隔時不成功がみられた.うち6例にひきつづき外科的処置がされたが,遠隔時不成功の1例はプラグの落下による肺塞栓症をおこして死亡した.
    遠隔成績では遠隔死が4例みられたが,うち3例は動脈管開存症に帰因する死亡例ではなく,生存例も他の心疾患を合併する例をのぞくとほとんどの例がNYHAI度で良好であった.
  • 嵯峨 孝, 村上 暎二, 竹越 襄, 平丸 義武, 金 武雄, 前田 正博, 原 重樹, 松井 忍, 村上 英徳, 升谷 一宏, 野村 正幸 ...
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1069-1075
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は44歳の女性6年前より睡眠中に狭心症発作および意識消失発作をくりかえしていた.安静時,運動負荷時および右房ペーシング時の心電図では異常を認めないが,狭心症発作時には左側胸部誘導に著明なSTの低下を認めた.また,狭心症発作にひきつづき,完全房室力ブロックによるAdams-Stokes発作を認めた,そのため,右室ペースメーカーが挿入された.その後も完全房室ブロックが出現しペースメーカーが作動し心臓は明らかに電気的興奮を生じているにもかかわらず,血圧は測定不能であり,同様の失神発作を認めた症例である.本症の房室ブロックの発生機序ならびに電気的興奮と機械的収縮との解離につき考察を加えた.
  • 森田 丈夫, 正和 信英
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1076-1084
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    54歳男,肢帯型進行性筋ジストロフィー症で,29歳で発病し,51歳時にうっ血性心不全を起こし,心尖よりエルブ域に全収縮期雑音あり,心エコー図により僧帽弁逸脱を疑わせる所見を得,その原因をDMPによる乳頭筋変性による乳頭筋不全と推定していた.心電図上各種の不整脈あり,54歳時夜中に急死した.剖検上,心臓は著明に拡張肥大し,心筋にびまん性に線維化と脂肪浸潤があり,乳頭筋および洞結節も同様に侵されていた.僧帽弁に粘液腫様肥厚を証明した.
    文献上,肢帯型DMPの剖検例は少ない.また,わが国ではDMPの心臓にUCG検査を行い僧帽弁逸脱を診断したものは見当らない.
    本例の僧帽弁の組織像は逸脱症との関連において注目すべき病変と考えられた。
  • とくに心エコー図の特徴について
    村山 晃, 川村 陽一, 大鈴 文孝, 綾部 隆夫, 半田 俊之介, 中村 芳郎
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1085-1090
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    先天性心膜欠損症は比較的まれな心奇形である.胸部X線による心陰影の異常により,あるいは心臓手術の際などに偶然発見されることが多い.われわれは心陰影の異常を主訴とする左心膜欠損症の2例を経験し詳細な検討を行う機会を得た.従来報告の少ない心エコー図の特徴を中心に報告する.症例は,左全欠損症,左部分欠損症各1例である.診断的人工気胸術,心臓カテーテルおよび造影検査を施行し確認した.心エコー図では全欠損症例に下部心室中隔の奇異性運動と左室後壁の振編増大を認めた.この所見は造影上,心周期により左室の位置の変動が大きい全欠損症に特徴的で,通常の運動範囲にとどまる部分欠損症ではみられなかった.下部心室中隔の奇異性運動は右室容量負荷疾患などでよく知られているが,左心膜全欠損症におけるそれは主として心嚢の欠損による心臓の過剰運動によるものと推測される.
  • 楠岡 英雄, 田内 潤, 福井 須賀男, 扇谷 信久, 南野 隆三, 井上 通敏, 伯耆 徳武, 福島 正勝, 堀 正二
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1091-1096
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    冠状動脈痩を伴わない成人の冠状動脈瘤は,比較的まれな疾患と考えられていたが,冠状動脈造影法の普及により,生前診断報告が増加しており、その予後の悪さから臨床的重要性が指摘されている.しかし,本邦では,MCLS後遺症としての乳幼児の冠状動脈瘤は多くの生前診断が報告されているが,成人での生前診断報告は,炎症性と考えられる3例を数えるにすぎない.今回,われわれは,心内膜下梗塞をきたし,冠状動脈造影の結果,動脈硬化性と考えられる多発性冠状動脈瘤の1例を経験した.当施設での冠状動脈瘤症例は,350例の成人冠状動脈造影に対して,今回の症例に加え,血管炎によると考えられる1例を経験しているので,その頻度はO.6%となり,諸外国での頻度に比して決して少なくはない.この疾患の予後の悪さより考えて,早期発見は重要であり,そのためには冠状動脈造影の積極的施行が示唆された.
    さらに,冠状動脈瘤の病因,予後,治療などに関して文献的考察を加えた.
  • 鹿取 信
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1099-1106
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 小沢 高将
    1978 年 10 巻 10 号 p. 1107-1114
    発行日: 1978/10/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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