心臓
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45 巻, SUPPL.1 号
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第22回 体表心臓微小電位研究会
一般演題
  • 原 正壽, 熱田 英彦, 若林 景子, 関塚 宏光, 西尾 智, 戸兵 雄子, 三宅 良彦
    2013 年 45 巻 SUPPL.1 号 p. S1_12
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/07
    ジャーナル フリー
    【背景】連続心拍の周波数解析は, フィルタによる位相差や過渡特性の問題から従来のフィルタリングやFFTでは解析が困難であった. そこでwaveletフィルタを応用し連続心拍の周波数解析を行った. 【方法】PhysioNetのデータベースからPTB diagnostic ECG databaseとT-wave alternans (TWA) challenge databaseを用いた. 各種マザーウェーブレットから連続心拍に対応するマザーウェーブレットを求めた. 10秒間の連続心拍をwaveletフィルタで濾波して 3次元表示した. 【結果】① 2次のgaussianウェーブレットが最適なマザーウェーブレットであった. ②ドリフトの影響を取り除くことができた. ③T波成分 (T波高) の変動を描出することができた. 【総括】Waveletフィルタはドリフトなどの影響を取り除けるため, 正確なT波成分の定量が可能と考えられた. 今後TWAの可視化技術として応用可能であると考えられた.
  • 橋本 賢一, 笠巻 祐二, 奥村 恭男, 矢島 愛治, 中井 俊子, 國本 聡, 渡辺 一郎, 平山 篤志, 島袋 宏明, 関 りえ子, 木 ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.1 号 p. S1_13
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/07
    ジャーナル フリー
    【背景】ブルガダ症候群 (BS) では夜間に心室性不整脈の報告が多い. 一方, 心室遅延電位 (LP) はBSにおいて高率にみられるが, 日内変動についての報告は少ない. 【方法・結果】BS連続31症例で24時間Holter心電計 (Spider View ; Ela Inc) にて測定した. LPは日中, 夜間それぞれ 1点で計測し同時間帯でのRR間隔の周波数解析 (HRV) を行った. LP陽性基準はRMS40<20μVおよびLAS 40>38msとした. 20人が日中, 夜間共に心室LP陽性で 6人が日中, 夜間共に陰性であった. 5人は日中陰性で, 夜間陽転化した. RMS40は, 夜間に日中より低下し (18.1±12.8μV vs 14.9±8.8μV, p=0.1) , LASは夜間に日中と比し有意に延長した (41.5±10.1ms vs 43.1±10.6ms, p<0.05) . HFとLAS間に正の相関 (p<0.01, R=0.3) , LF/HFとLAS間には負の相関を認めた (p<0.05, R=0.3) . filtred P dulationは, 夜間に日中と比し有意に延長した (129.4±12.4 vs 134.9±12.9, p<0.01) がHRV各パラメータとの相関は弱かった. 【結語】BSにおけるLPは自律神経の修飾を受け, 不整脈源性を助長している可能性が示唆された.
  • 大西 克実, 丹野 郁, 川崎 志郎, 辻田 裕昭, 菊池 美和, 伊藤 啓之, 三好 史人, 渡辺 則和, 安達 太郎, 浅野 拓, 濱嵜 ...
    2013 年 45 巻 SUPPL.1 号 p. S1_14
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/07
    ジャーナル フリー
     虚血性心疾患の急性期のQT延長は致死性不整脈の誘発因子となるが, 血行再建前後のQT・QT d・T peak-endについて検討した. 症例は64歳男性. うっ血性心不全とelectrical stormの診断で入院した. 冠動脈造影を施行したところ, 3枝病変であり, 責任病変と思われるLADにPCIを施行した. PCI後再びelectrical stormとなり, LCX, RCAに対しPCIを施行し, 完全血行再建を行ったところ, 心室性不整脈は消失した. 入院時, QT 620ms, QTd 70ms, T peak-end 178msと延長を認めた. 初回PCI施行後QT 621ms, QTd 98ms, T peak-end 156ms, であったが, 完全血行再建後はQT400ms, T peak-end 116msと短縮を認めたが, QTdは100msであった.  本症例において, 完全血行再建によって, T peak-endの短縮が得られた. T peak-endの延長は虚血時致死性不整脈発症の予測因子となる可能性が示唆された.
  • 大無田 孝夫, 笠尾 昌史, 柴田 仁太郎
    2013 年 45 巻 SUPPL.1 号 p. S1_15
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/07
    ジャーナル フリー
    【背景および目的】心電図QT間隔は心室の活動電位持続時間を反映し, 抗不整脈薬の効果判定やQT延長症候群の病状推定などに用いられている. このQT間隔が心拍毎に変化すること (BVR) はよく知られているが, ヒトでその変動性を定量的に評価する方法はいまだ確立されていない. BVRの定量評価の 1つにpoincare plotにおける, 短軸方向の STV (short-term variability) , 長軸方向のLTV (long-term variability) があるが何を表しているか明確になっていない. われわれは起立検査 (TILT) 中の, 心電図を用いて, 自律神経指標との関連性の検討を行った. 【方法】健常例に70°で30分TILTを行い, 臥位および立位時の心拍変動解析より求められる自律神経活動指標とSTV, LTVとの相関関係を検討した. 【結果】QT間隔のLTVは, RR間隔ゆらぎ, QT間隔ゆらぎ, QT間隔のLF成分との相関性が高く, QT間隔のSTVは, どの自律神経活動指標とも高い相関性は確認できなかった.
パネルディスカッション
  • —ガリウムシンチグラフィ, 加算平均心電図を用いた検討—
    淀川 顕司, 清野 精彦, 小原 俊彦, 村田 広茂, 堀江 格, 林 明聡, 宮内 靖史, 加藤 貴雄, 水野 杏一
    2013 年 45 巻 SUPPL.1 号 p. S1_16
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/07
    ジャーナル フリー
    【背景】心室頻拍 (VT) は心サルコイドーシス (以下心サ症) の突然死の原因の 1つと考えられており, その薬物治療としてステロイドが考慮されるが, その有効性に関して検討した報告は少ない. 【対象と方法】対象は心サ症のうち持続性・非持続性VTを有する15例. 全例でステロイド治療後にホルター心電図を行いVTの有無を評価するとともに加算平均心電図を施行し各パラメータを測定. 【結果】ステロイド投与後に15例中 6例でVTが消失し, 加算平均心電図における各指標が有意に改善. 一方VT非消失群では各パラメータに変化を認めず. VT消失群ではVT非消失群に比しEFが有意に高値, 6例中 4例で心筋にガリウム集積あり. 典型例ではVTの消失とともに心室遅延電位, ガリウム集積が消失した. 【結論】ステロイドは, 早期または活動性のある患者では有効であり, 加算平均心電図はその効果判定として有用である可能性が示唆された.
  • 中村 健太郎, 阿部 敦子, 上田 恵介, 瀬﨑 和典, 吉野 秀朗, 池田 隆徳
    2013 年 45 巻 SUPPL.1 号 p. S1_17-S1_22
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/07
    ジャーナル フリー
     目的 : 心臓late gadolinium-enhancement (LGE) MRIは, 左室心筋の線維化を定量的に評価でき, 心室性不整脈のsubstrateの検出に有用との報告がされている. 本研究では, LGE-MRIで評価した左室心筋の線維化と電気生理学的予知指標であるT-wave alternans (TWA) および心室late potentials (LP) との関連性を評価した.  方法 : 対象は, 非虚血性心筋症 (NICM) 患者134例である (年齢55±16歳, 男性73例) . 左室駆出率は34±8.1%であった. すべての指標は心不全症状が安定した時期に測定された. LGE-MRIの評価においては, 左室心筋を16分割し, 線維化を認めた領域 (lateral border) の合計とその最大深達度 (transmuralextent) を測定した. TWAとLPについては検出の有無で評価した.  結果 : LGE-MRIで左室心筋の線維化を認めたのは93例 (69%) であった. lateral borderは8.3±3.1segであり, transmural extentは75±9.7%であった. TWAは32例, LPは23例で検出された. LGE-MRIで評価したlateral borderとTWAとの間に関連性が認められた (p<0.001) . Transmural extentについては, TWAのみならずLPについても関連性が認められた (それぞれp=0.004, p=0.045) .  結語 : NICM患者では, LGE-MRIで評価した左室心筋の線維化は電気生理学的予知指標と関連することが示され, 線維化の領域が広く深達度が高い患者では致死性不整脈が発現しやすいと考えられる.
  • 高瀬 凡平, 永田 雅良, 浜部 晃, 上畑 昭美, 服部 秀美, 田中 良弘, 石原 雅之, 栗田 明
    2013 年 45 巻 SUPPL.1 号 p. S1_23-S1_27
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/07
    ジャーナル フリー
     心筋壊死診断に心臓MRI法の遅延造影 (delayedenhancement ; DE) が有用であり, DEと心筋梗塞 (MI) 後の予後の関連が報告されているものの, 致死性不整脈発生の非侵襲的心電図予測指標との比較検討は少ない. そこで, DEと体表微小心臓電位 (LP) やQT dispersion (QTD) と関係および予後予測につき検討した. 陳旧性心筋梗塞症84例 (69± 9歳) に心臓MRI法とLP, QTDを施行した. 心臓MRI法は1.5T GE社製Sigma CV/iにてgadlinium投与造影下に左心室短軸 6断面を撮像した. 心筋の壊死形態をmassive (1点) からpatchy (3点) までscore化し (patchy sore ; PS) , LP陽性およびQTDの結果と比較した. 症例を平均35±17カ月追跡調査し心事故との関連を調べた. LP陽性例22例とLP陰性例62例が認められ, 壊死の形態を示すPSはLP陽性例で陰性例に比べ高値を示した (2.3±0.5 vs 1.4±0.6, p<0.05) . 壊死範囲を反映するDE断面数とQTDは相関した. 追跡期間中 9例の心事故が認められDE断面数とQTDが心事故予測に有用であった.  結語 : 心臓MRI法で求めたDEの形態はLPと相関したものの, 予後予測には壊死範囲を示すDE指標やQTDがより有用である可能性が示唆された.
  • 高野 奈実, 堤 健, 山本 由美子, 高野 治人, 瀬﨑 和典, 浅野 冬樹, 岩澤 邦明, 東丸 貴信, 中島 敏明
    2013 年 45 巻 SUPPL.1 号 p. S1_3-S1_7
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/07
    ジャーナル フリー
     目的 : 心筋梗塞後のQRS波の周波数パワー分布の特徴を示すことを目的とした.  方法 : 急性心筋梗塞で経皮的冠動脈ステント留置術 (PCI) を施行された前壁心筋梗塞37例と下壁梗塞30例, ならびに心臓疾患を有していない30例 (コントロール例) を対象とした. PCI後 1カ月以内に, sampling rate 10kHzの条件で0.1~300Hzの周波数帯の標準12誘導心電図 (ECG) を20秒間記録した. ⅡまたはV1誘導にwavelet解析ソフトを用いて wavelet transformed electrocardiographic signal (WT-ECG信号) を測定し, 5~300Hzの周波数領域でQRS波開始から120msecの区間で積分を行い integrated time-frequency power (ITFP) を算出した. 次に各周波数ごとに梗塞例とコントロール例のITFP値の比を計算した.  結果 : 心筋梗塞例のQRS内周波数分布の特徴として, Ⅱ誘導では60Hz以下, V1誘導では14-74Hzの周波数域でITFPが減少, Ⅱ誘導で120-210HzでITFPが増加した. また, 非Q波梗塞例の周波数分布もQ波梗塞に類似していた.  結語ならびに考察 : 心筋梗塞例のQRS内周波数分布異常は, 発電体としての心臓変化の反映であり, 従来のECGでは捕捉されない情報が表れていると推定される.
  • 小林 建三郎, 阿部 敦子, 湯澤 ひとみ, 佐藤 秀之, 藤野 紀之, 福永 俊二, 岡野 喜史, 山﨑 純一, 池田 隆徳
    2013 年 45 巻 SUPPL.1 号 p. S1_8-S1_11
    発行日: 2013年
    公開日: 2015/01/07
    ジャーナル フリー
     背景 : 加算平均心電図による心室遅延電位 (latepotentials ; LP) の短期再現性に関する報告はいくつかあるが, 長期再現性に関する報告はない. 本研究では心室性不整脈患者における心室LPの長期再現性とその経年変化について検討した.  方法 : 対象はリスク評価目的でLPが記録され, 1年後 (症例によってはさらに 2年後) にLPを再度記録し得た心室性不整脈患者19症例 (非持続性心室頻拍13例, 心室期外収縮 6症例) である. LPのパラメータであるf-QRS, RMS40, LAS40の経年変化について評価した.  結果 : 初年度の評価でLP陽性は11例であった. 初年度と 1年後の比較において, f-QRS, RMS 40, LAS40に有意差は認められなかった. 同じく初年度と 2年後の比較においても有意差は認められなかった. LP陰性患者での陽性化, LP陽性患者での陰性化は認められなかった. また, 経過中の心血管イベントの発生は, 陽性例, 陰性例ともになかった.  結語 : 特発性心室性不整脈患者での経年後のLPの再現性は高く, 陽性例では経過中にf-QRSがさらに延長する可能性があることが示された.
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