虚血性心疾患の急性期のQT延長は致死性不整脈の誘発因子となるが, 血行再建前後のQT・QT d・T peak-endについて検討した. 症例は64歳男性. うっ血性心不全とelectrical stormの診断で入院した. 冠動脈造影を施行したところ, 3枝病変であり, 責任病変と思われるLADにPCIを施行した. PCI後再びelectrical stormとなり, LCX, RCAに対しPCIを施行し, 完全血行再建を行ったところ, 心室性不整脈は消失した. 入院時, QT 620ms, QTd 70ms, T peak-end 178msと延長を認めた. 初回PCI施行後QT 621ms, QTd 98ms, T peak-end 156ms, であったが, 完全血行再建後はQT400ms, T peak-end 116msと短縮を認めたが, QTdは100msであった. 本症例において, 完全血行再建によって, T peak-endの短縮が得られた. T peak-endの延長は虚血時致死性不整脈発症の予測因子となる可能性が示唆された.
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