【背景と目的】冠動脈ステント留置後遠隔期再狭窄には,拡張後のステント断面積,ステント外の残存プラーク量が影響するとされる.今回,血管内超音波(IVUS)ガイド下にbare metal Bx velocityステントの留置を行い,病変部動脈リモデリングとの関連を検討した.
【方法】対象は,同ステントの留置前後に良好なIVUS画像が得られた62病変(53症例).経皮的冠動脈形成術(PCI)前に,IVUSにより病変部血管断面積(vessel area:VA)/平均対照部VA>1.0をポジティブリモデリング(PR)群(n=30),≦1.0をnon-PR群(n=32)とし,比較検討した.PCI前,ステント留置後の病変部のVA(mm
2),内腔面積(lumenarea:LA)(mm
2),プラーク面積率(%plaquearea:%PA=VA-LA/VA)を計測し,PCI前後,遠隔期(6±1カ月後)に定量的冠動脈造影(QCA)を行い,病変部最小血管径(MLD)(mm),径狭窄率(%DS),病変長(LL)(mm)を計測,遠隔期%DS>50%を再狭窄とした.PR群について,ステント拡張後残存%PAの中央値(47%)で2群に分け,再狭窄率を比較した.
【結果】使用ステント径,長さ,最大拡張圧,最終バルーン径は両群間に差はなかった.PR群,non-PR群ともに,術後同等のステント断面積が得られたが,慢性期の内径損失がPR群で高い傾向にあり,再狭窄率が高かった(52%vs25%;p<0.05).PR群において残存%PAの少ない例(%PA:40.9±5.3%)と多い例(54.2±9.0%)の間に再狭窄率に差はなかった(46%vs42%).
【結語】冠動脈病変部血管のポジティブリモデリングは,Bx velocityステント留置後の,遠隔期再狭窄に寄与すると考えられた.
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