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浸漬法ならびに幼犬による検討
富田 英, 越後 茂之, 神谷 哲郎, 中島 徹, 桑原 尚志, 山田 修, 由谷 親夫
1986 年18 巻11 号 p.
1255-1260
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
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雑種成犬の冠動脈壁内に注射針を用いてフィシンを注入する方法について,拡大性病変の作製におけるいくつかの問題点を改善するため,冠動脈浸漬用のカバーを用いて冠動脈の一部をフィシンに浸漬する方法を用いて,冠動脈拡大性病変の作製を試みた.
また幼犬3頭を用い,本法による冠動脈拡大性病変の成犬の病変との相違についても検討した.
方法は,雑種成犬9頭9枝,幼犬3頭3枝の冠動脈の一部をフィシンに浸漬した.成犬例では,フィシンへの浸漬時間が2~2.5時間以上の例で冠動脈の拡大が認められた.また,フィシンへの浸漬時間が長いほど,組織学的に弾性板の破壊は高度であった.幼犬例では,成犬例に比して組織学的に弾性板の破壊は高度で,また冠動脈の拡大はより短時間で認められた.
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大動脈の造影形態と病理組織学的検討
藤岡 達雄, 高橋 早苗, 関口 守衛, 能美 伸子, 木全 心一, 近藤 瑞香, 広沢 弘七郎, 橋本 明政
1986 年18 巻11 号 p.
1261-1268
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
フリー
Annulo-aortic ectasia(AAE)はMarfan症候群,特発性嚢胞性中膜壊死,大動脈炎症候群,非特異的炎症などさまざまな病因でおこりうることが知られている.手術時あるいは剖検による病理組織所見をみると炎症性のものや分類不能のものが少なくなく,臨床所見のみからの病因決定が困難な症例が多い.そこでわれわれは,臨床的に原疾患が診断できなかったAAE症例18例の大動脈造影形態を分類し,その病理組織所見との関係について検討し,原疾患が臨床的にMarfan症候群,大動脈炎症候群と診断し得たAAE症例についても同様の検討を行った.
18例中病理組織学的所見より特発性嚢胞性中膜壊死を認めたものは11例で,他に非特異的炎症3例,高安動脈炎様変化1例,分類不能3例であった.またAAEの造影形態上洋梨型を呈するものは病理組織学的に全例嚢胞性中膜壊死であったが,びまん型や左右非対称型の中には非特異的炎症や分類不能のものが含まれており,AAEの病因を推測あるいは鑑別する場合に血管造影における形態的特徴を考慮することは非常に有用と考えられた.
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近藤 真言, 湯月 洋介, 宮崎 之男, 黒瀬 健, 松永 和彦, 霜野 幸雄
1986 年18 巻11 号 p.
1269-1273
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
フリー
経静脈的冠動脈内血栓溶解療法が行われるようになって,非観血的にその効果を早期確認できる有効な方法が必要となっている.一方,Tc-99m-PYP(PYP)心筋シンチは梗塞巣を陽性像として発症12時間以降に明らかにするとされてきた.今回,冠動脈内血栓溶解療法を行った34名に急性心筋梗塞発症後2.8から9.3時間の早期にPYPシンチを行った.その結果,造影遅延のない良好な再開通を認めた27例中24例に早期陽性像をみた.一方,血栓溶解療法不成功の7例はすべて陰性であった.このうち,3例は良好な側副血行路を持っていた.さらに,CK,MB-CKの早期peaking(発症後16時間以内)との比較を行った.梗塞血管再開通予測に対するsensitivity, specificity, predictive accuracyは,早期PYPシンチで89%,100%,91%であり,これらはすべてCK, MB-CKの早期peakingのそれよりも上回った.
以上より,血栓溶解療法直後になされる早期PYPシンチは,きわめて有効な再開通の非観血的診断法といえる.また,この早期陽性化の機序は,急速な再開通による過剰なCaイオンの虚血心筋細胞内への流入による(reperfusion necrosis)と考えられる.
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小川 昭正, 浅井 俊行, 田中 宏, 奥村 直哉, 松島 正気, 長嶋 正實, 児島 勝政, 佐藤 好得, 鈴木 弘之, 寺町 教嗣
1986 年18 巻11 号 p.
1274-1280
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
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生後5日から90日の5例の上室性頻拍発作と,1例の回帰調律を認めた乳児に経食道心房ペーシングを行った.
全例,刺激幅5msecより10msec,刺激電流10mAより15mAで心房ペーシング可能であった.そのうち4例に心房早期刺激法にて上室性頻拍発作を誘発し,その後頻回刺激により上室性頻拍発作の停止を行いえた.
4例に上室性頻拍発作を誘発し,抗不整脈薬の薬効を判定し,発作再発予防に有用であった.
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ホルター心電図による検討
長澤 進, 谷本 真穂, 森田 真弓, 岩崎 忠昭, 山本 忠生
1986 年18 巻11 号 p.
1281-1289
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
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生体内物質であるCoQ
10の抗不整脈効果についてホルター心電図を用いて検討した.
運動負荷試験にて心室性期外収縮が消失しない15症例にCoQ
1060~90mg/dayを6~12週間投与し4週間の休薬期間を設け,観察期,投薬期,休薬期の各時期にホルター心電図を施行した.
CoQ
10の心室性期外収縮に対する効果判定はLown分類による評価と心室性期外収縮のstudentt-testによる検定評価の2者を用い15例中7例(47%)を有効と判定した.有効例と無効例を比較すると有効例においてQTc短縮傾向を認めたが,基礎疾患,洞性心拍総数には差を認めなかった.
今回のわれわれの成績より,CoQ
10は日常臨床で治療対象となる心室性期外収縮に対して,重大な副作用なく有効に作用することが示唆された.
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立石 修, 小松 親義, 田野入 高史, 徳久 靖高, 石永 隆成, 佐藤 泰雄, 吉村 正蔵
1986 年18 巻11 号 p.
1290-1296
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
フリー
発作性上室性頻拍症(以下PSVT)の内,自然停止が認められた32例を対象に,自然停止部位,停止までの持続時間を調べ,その停止様式について検討した.
副伝導路を介して旋回する頻拍症(以下AP-RT)19例の自然停止部位は,90%の症例で房室間(AV)または室房問(VA)に一定しており,AV間58%, VA間32%であった.残りの10%ではAV間,VA間双方での停止が認められた.AP-RT例(房室結節を含む通常の伝導路を順行性に,副伝導路を逆行性に旋回)のうち,AV間でブロックされ停止するPSVTは主に房室結節で,VA間でブロックされ停止するPSVTは副伝導路でそれぞれ停止すると考えられているが,今回の検討でAP-RT例の過半数の症例がAV間で停止したことによりAP-RT例には房室結節で停止する症例が多いと考えられた.房室結節リエントリー性頻拍症については,一定の傾向は認められなかった.
PSVT発生後,自然停止するまでの持続時間は5秒以内である症例が多かった.この時期は頻拍に伴う血圧変動の影響を受けない時期であり,自律神経の関与は少なく,この時期に停止した症例の停止部位は,リエントリー回路内で最も不応期の長い部位(weak link)と一致すると考えられた.
このように,PSVTのリエントリー回路のweak linkは自然停止部位および停止までの持続時間より推定可能であり,したがってこのweak linkに作用する薬剤を選択的に用いることで,より効果的な治療が可能と考えられた.
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原田 道則, 日浅 芳一, 前田 利裕, 森本 真二, 相原 令, 滝 浩樹, 坂東 正章, 中井 義廣, 片岡 善彦
1986 年18 巻11 号 p.
1297-1302
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
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僧帽弁狭窄を伴わない肥大型心筋症例に左房内巨大血栓を認め,手術的に救命しえた症例を報告する.症例は52歳,男性.記憶力低下を主訴として来院し,脳梗塞と診断された.凝固系に異常は認めない.心電図では心房細動,V
2,
3に深いS波,I,II,V
5,
6に平坦ないし陰性T波を認めた.心エコー図にて,心室中隔拡張期厚28mm,左室後壁拡張期厚18mmと左室壁の肥厚および左房内に3×4×3.8cmの腫瘍類似エコーを認めた.1カ月後,腫瘍類似エコーの増大を認めた.さらに胸部CTを施行し,その吸収値より左房内巨大血栓と診断しえた.心臓カテーテル検査では,左房-左室間に圧差は認めず,また心係数1.57
l/min/m
2と著明に心拍出量は低下していた.本例における巨大血栓発生の原因としては,(1)心房細動,(2)左室壁の著明な肥厚,(3)左室収縮力の低下,(4)低心拍出量,(5)左房拡大などが考えられた.心房細動のため左房内に血流停滞が生じやすくなり,これに加え左房拡大があったため血栓形成が容易になったものと思われる.また著明な心機能低下が血栓形成および増大を促進させた可能性も考えられた.しかし,左室壁の著明な肥厚による左室流入障害および機能的僧帽弁狭窄の関与の可能性は少ないと思われた.本例は,左房内巨大血栓の成因を考えるうえで重要であると思われたので,文献的考察を加えて報告した.
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野村 周三, 塚田 豊弘, 橋本 裕二, 矢島 途好, 沼野 藤夫, 前沢 秀憲, 横山 基幹, 宮本 尚, 砂盛 誠, 鈴木 章夫
1986 年18 巻11 号 p.
1303-1309
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
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症例は心不全のため入院した35歳の男性で,超音波心断層にて一次口型心房中隔欠損の所見に加えて,大動脈弁直下左心室流出路内に僧帽弁前尖基部に茎を有するポリープ状構造物が心周期に合わせて振子様運動しているのが観察された.心臓カテーテル検査などの所見を併わせ,僧帽弁副組織を伴った不全型心内膜床欠損症および左単冠動脈症と診断された.左心室大動脈圧較差は存在しなかった.手術時に3本の腱索を有するパラシュート型の異常組織を左心室流出路内に認め,これを切除し,僧帽弁前尖のcleftの修復と僧帽弁および三尖弁輪形成を施行し一次口型心房中隔欠損をパッチ閉鎖した.この異常組織は組織学的に僧帽弁組織と酷似していた.
従来,僧帽弁副組織は主に小児の大動脈弁下部狭窄のまれな原因の1つとして報告されているが,本症例では大動脈弁下部狭窄はなく心不全の原因は多量の左右シャントを有する一次口型心房中隔欠損であった.本症例は僧帽弁副組織の報告としては最高齢であり,心内膜床欠損に合併したものとしては第2例目である.
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清原 薫, 岩 喬, 三崎 拓郎, 向井 恵一, 大池 恵広, 宗本 義則, 鎌田 栄一郎, 飯田 茂穂
1986 年18 巻11 号 p.
1310-1315
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
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最近われわれは小児の心室性頻拍症をcatheter ablationで治癒し得たので報告する.症例は10歳男子.7歳頃より頻拍発作が出現し,次第に増悪するため当科を受診した.電気生理学的検査の結果,左室後中隔心尖部寄りに最早期興奮部位を有するリエントリー型心室性頻拍症と診断し,左室心尖部の心筋切開兼冷凍凝固術を施行した.しかし,心筋切開後sustained VTが誘発されず,心内膜マッピングが不十分であったため,最早期興奮部位の冷凍凝固が十分できず,術後1.5カ月後に頻拍発作が再発した.左心室に対する再手術は術後低心拍出症候群となる危険性があるため,catheter ablationによる頻拍の起源の焼灼を行った.すなわち,左心室内に挿入したカテーテル電極と直流除細動器を用い,最早期興奮部位を60Jで焼灼した.catheter ablation後,頻拍発作は完全に消失し,合併症も認めなかった.catheter ablation後3週間目に施行した電気生理学的検査でも頻拍は誘発されず,現在術後6カ月で全く頻拍発作をみず,頻拍は治癒したものと考えられる.
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福島 靖典, 吉岡 幸男, 手塚 光洋, 土田 弘毅, 山田 学, 安西 信行
1986 年18 巻11 号 p.
1316-1320
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
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冠状動脈が心腔内,もしくはそれに接する大血管に異常流入する冠動静脈瘻は,冠動脈造影検査法(CAG)の普及に伴い,発見される機会が多くなっているが,冠動静脈瘻に嚢状動脈瘤を合併するものは,きわめてまれなものである.今回,著者らは,巨大な嚢状動脈瘤を呈する冠動静脈瘻の1例を経験したので報告し,これに文献上検索し得た7例を加え考察した.
症例は,73歳の女性で,易疲労感,動悸を主訴に来院した.心血管造影検査にて,右冠状動脈より流出し,途中,嚢状動脈瘤を呈し,肺動脈に流入する冠動静脈瘻が認められた.年齢などを考慮し,手術は施行せず,心不全の治療を投薬にて行い,現在経過観察中である.破裂が懸念される嚢状動脈瘤を呈しながらも,73歳という高齢まで生存している点において,嚢状動脈瘤を合併する冠動静脈瘻の自然歴を考える上で興味深いと思われた.
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安倍 十三夫, 杉木 健司, 松崎 智哉, 柳谷 晶仁, 馬場 雅人, 小松 作蔵
1986 年18 巻11 号 p.
1321-1327
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
フリー
最近,われわれは,5歳男児の僧帽弁輪下左心室瘤を経験し,外科治療に成功したので文献的考察を加え報告した.
症例は生下時から発育不良,発熱を反覆し活力に乏しかった.診断は心エコー図で心内異常腫瘤を指摘され,当科で心血管造影検査にて僧帽弁輪下左心室瘤の確定診断を得た.本症の自然予後は不良で,心不全および心破裂での死亡例が多いことから手術を施行した.
瘤は心臓後下壁部にて白色に膨隆し,4×5cm大のサイズで,壁は菲薄であり,瘤を切開すると3×4cm大の交通口がみられ,周囲は肥厚し,この部に僧帽弁乳頭筋腱索の付着を認めた.
手術は交通口を4×5cmのGore-Texパッチを用いて閉鎖し,瘤切除後,残存瘤壁にてパッチを覆うように心筋縫合を行った.
術後経過は良好で,術前に危惧した不整脈および僧帽弁閉鎖不全の発症もなく,心機能および一般状態の改善を得た.
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小林 修一, 島崎 靖久, 八木原 俊克, 岸本 英文, 澤 芳樹, 飯尾 雅彦, 広瀬 修, 信貴 邦夫, 杉本 久和, 中田 健
1986 年18 巻11 号 p.
1328-1331
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
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共通肺静脈閉鎖は,共通肺静脈と心あるいは大静脈との間に直接つながりをもたない非常にまれな総肺静脈還流異常の特殊型である.生直後からの高度の肺うっ血に基づく,チアノーゼ,多呼吸などの症状が急速に進行し,内科治療のみでは全例死亡し,外科治療でも現在までに1例の生存をみるのみである.著者らは,本症の1例を経験し,手術に成功したので報告する.
症例は生後5日目の男児で,生後数時間でチアノーゼ,多呼吸が出現した.胸部X線では強度の肺うっ血像を写しており,超音波断層図では左房の後方に共通肺静脈と思われる腔が存在した,肺動脈造影では肺動脈からの造影剤の消失までの時間が延長しており,共通肺静脈は造影されなかった.以上より総肺静脈還流異常と診断し,生後5日目に共通肺静脈-左房吻合術を施行した.術後急性腎不全を合併したが,経過順調で退院した.
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井上 晃男, 諸岡 成徳, 林 輝美, 高柳 寛, 石塚 毅彦, 酒井 良彦, 山口 浩一, 高畠 豊, 逸見 明博
1986 年18 巻11 号 p.
1332-1339
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
フリー
心臓原発横紋筋肉腫の1剖検例を経験したので,文献的考察も加えて報告する.52歳男性で昭和59年11月より発熱,胸痛,息切れを訴え12月7日入院.頸静脈怒張,心膜摩擦音があり,心エコー図にて著明な心のう液貯留を認めた.心のう液は淡血性で,蛋白5.6g/d
l,細胞診はclass IIであった.原因不明の心外膜炎を疑い,predonisolone 60mg/日を投与し,心のう液は減少,自覚症状も軽快した.12月下旬,心のう液増加のないまま,息切れが再び増強し,悪心,一過性の失神も出現した.昭和60年1月1日,黄疸が急速に出現し,急性肝不全となり,静脈怒張,浮腫増悪し,DICを併発,1月12日死亡した.剖検にて右房後壁,心房中隔より発生した腫瘍(9×8×12cm)により右房内が充満し,腫瘍に付着した血栓により下大静脈は高度に狭窄,肝静脈の一部は完全に閉塞していた.肝には中心静脈周囲の強い肝細胞壊死と出血が認められた.腫瘍は組織学的にrhabdemyosarcoma, pleomorphic typeであった.本症はまれで本邦ではこれまで13例の報告がみられるのみである.
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浜田 範子, 松岡 宏, 伊藤 勝彦, 住元 巧, 菅 拓也, 野本 良一, 辻井 武広, 赤松 明, 城 忠文, 西山 透
1986 年18 巻11 号 p.
1340-1346
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
フリー
ショック状態で来院した左冠動脈主幹部(LMCA)梗塞の患者に選択的冠動脈内血栓溶解療法(PTCR)を実施し救命するとともに,慢性期に行った冠動脈造影(CAG)においても興味ある知見を得た.
症例.41歳の男性,会社員.主訴は激しい前胸部圧迫感.来院時はショック状態であった.ただちに大動脈バルーンパンピング(IABP)を挿入しPTCRを開始した.CAGにてLMCAは血栓を疑わすfilling defectが認められsubtotal obstructionの状態であった.PTCR後,同部の狭窄は22%となりdelayもなく,発症後約3時間で良好な開通を得た.その後は抗凝固療法を行った.発症2.5カ月後に再度心臓カテーテル検査を行った.CAGにてLMCAはlong segmentに64%の狭窄を呈し,短期間で急速にprogressionをきたした.左室造影は前壁,側壁,心尖部にかけ広範なasynergyがみられたが,心室中隔基部はわずかながら収縮が残っていた.
201T1 emisson computer tomography(ECT)でも同部にとり込みがみられた.
LMCA梗塞の救命には極めて積極的な治療が要求されるとともに,同疾患においてはPTCR成功後も残存狭窄の推移に対する十分な経過観察および,検討が必要であると考える.
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村上 俊一, 藤井 恭一, 柴 輝男, 梅田 徹, 町井 潔, 伊藤 敬
1986 年18 巻11 号 p.
1347-1353
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
ジャーナル
フリー
症例は41歳の女性で,幼時より筋緊張性徴候を示し,34歳時に不整脈,白内障および糖尿病を合併した筋緊張性ジストロフィーの診断をうけた.心電図上伝導障害,調律異常,および心筋障害が認められた.右心カテーテル検査および心エコー図では,卵円孔開存が指摘された.41歳時に意識障害および右片麻痺を突然発症し,約1カ月後に死亡した.
剖検では,心臓に両側の心房および心室の拡張,卵円孔開存,Ebsteinの奇形,左心耳および左心室の壁在血栓,心房および心室の心筋の変性,筋線維の錯走配列,脂肪線維化,左心耳または左室壁在血栓からの塞栓によると考えられる左室乳頭筋および側壁心筋層内壊死巣,洞房結節の線維化,房室結節およびHis束内の脂肪浸潤,房室結節内結節動脈の内膜の肥厚,左脚および右脚の中枢側の線維化,冠状動脈の太い枝の粥状硬化,などの病変が認められた.
骨格筋では筋線維の著明な変性および萎縮像が,ほぼ全身に分布して認められた.大脳では,左大脳半球内に大きなかつ比較的新しい軟化巣が認められた.
これらの病理学的変化と生前の検査結果につき臨床病理学的検討を行い,さらに病理学的変化の発生機序につき考察を行って報告した.
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広正 修一, 池田 孝之, 久保田 幸次, 高田 重男, 服部 信, 西村 昌雄, 渡部 良夫
1986 年18 巻11 号 p.
1354-1360
発行日: 1986/11/15
公開日: 2013/05/24
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発作性心室頻拍の自然発生が見られ,かつ心臓ペーシング検査にて心室頻拍の誘発が可能であった42歳の筋強直性ジストロフィー症の1例を経験した.
症例K.K.は心悸亢進発作を主訴として当科受診したが,身体所見では筋強直性顔貌,母指球筋でのgrip myotonia,舌筋でのpercussion myotonia,また白内障,前頭部脱毛,睾丸萎縮もみられ筋強直性ジストロフィー症に典型的な所見が認められた.正常洞調律時の心電図では,第1度房室ブロック,心室内伝導障害の所見が認められ,また頻拍発作時の心電図では,右室起源の心室頻拍がみられた.His束心電図では,His-Purkinje系伝導時間は70 msecと延長していた.右室刺激により右脚本幹にreentry回路を有する心室頻拍の誘発が可能であった.以上より,本症例は筋強直性ジストロフィー症の突然死の原因として心室頻拍は重大な原因となり得ることを示唆し,また本症の予後を考える上で貴重な症例と考えられた.
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