心臓
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11 巻, 10 号
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  • 幸地 佑, 佐藤 登, 中津 忠則, 湯浅 安人, 松岡 優, 中野 修身, 田中 幸博
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1027-1038
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    右脚ブロックに関する電気生理学的な検討はかなりみられるが, その血行動態に及ぼす影響についての報告は少なく, ことに伝導障害部位よりみた検討はみられない. 今回, 著者らは雑種成犬を用いて実験的に右脚の diffuse intraventricural block および main bundle branch block を作成し, その血行動態におよぼす影響を検討した. 正常犬では, 左心機能は右脚ブロックでほとんど影響を受けないが, 右心機能は低下し, その程度は intraventricural block でより強かった. 右心の STIは, intraventricural block および main bundle branch block とも EMIが延長したが, 前者では ICTも延長した. 以上のことより右脚ブロックの血行動態への影響は intraventricural block がmain bundle branch block よりより強いといえる.
  • 茅野 真男, 高橋 哲夫, 小野 康平, 相馬 康宏, 伊藤 豊彦, 中村 芳郎
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1039-1047
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    虚血性心疾患における stress 負荷中の左室造影(LVG)の検討は少ない. われわれは handgrip exercise test(HNG) 中の LVGにおける誘発 asynergy の意義に関し, 左前下行枝 (LAD)病変と左室前壁収縮様式との対応に限定して検討した. 対象は正常(1群)18例,LAD狭窄・安静時 synergy(II群)19例, LAD狭窄・安静時 asynergy(III群)13例である. Asynergyは Leightonに従い定量的に判定した. HNG負荷前, 中のLVG, 各種血行動態値より次の結果を得た. 安静時血行動態計測値, 安静時LVG, 冠狭窄の程度, 冠副血行発達程度からは, HNG誘発 asynergyの出現は予測できなかった. HNG中の LVEDP, LVEDV変化より考えた左室 complianceはI群>II群>III群と思われた. 心電図上貫壁性前壁梗塞は17例に認められ, 陳旧例は新鮮例より HNG誘発 asynergyを生じにくかった. Ergobicycle 誘発狭心症例には必ず HNG誘発 asynergy が出現したが, ergobicycle で ST低下例にはそれが出現しない例もあった.
  • 里見 元義, 清水 克男, 中沢 誠, 高尾 篤良, 小松 行雄
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1048-1054
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    超音波高速度断層法を用いた, 区分分析法(Segmental approach)の方法を紹介し, その有用性を示す. 心房(内臓)位は, 下大静脈の右房への流入部位を確認することにより決定できる. 心室(内臓)位は, 右室と左室の心内構造の遣いを認識することにより決定できる. 大血管位は, 大血管相互の空間的位置関係を把握することにより, 大動脈と肺動脈の同定が可能であり, したがって大血管位が決定できる. この方法を用いて, 臨床応用を試みた結果, 心房(内臓)位は44/44例(100%)で, 心室(内臓)位は 31/52例(59.6%)で, 大血管位は68/73例(93%)でそれぞれ, 決定が可能であった. 従来の Mモード心エコー図(UCG)よりも正確に, より形態学的に診断することが可能で,先天性心疾患の診断上, 非常に有用である.
  • 岩瀬 孝明, 船田 哲男, 岩 喬, 小林 弘明, 川筋 道雄, 三崎 拓郎
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1055-1060
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    WPW症候群, 心室性頻拍などの不整脈疾患の外科治療に際して必須の術中検査である心表面興奮伝播図作製は,従来は人手により行われてきた. これを電子計算機を用いて自動作図することにより, より迅速かつ容易に心表面興奮伝播図を得ることができ, 臨床に寄与するところが大きい. このようなシステムの開発に当っては, 1.心表面興奮伝達時間を自動計測すること, 2.計測値から心表面興奮伝播図を自動作図すること, の2つの過程がある. 本稿は2.についての報告である. 雑種成犬, 臨床例(WPW症候群)で心表面電位測定を行った. 心表面の各位置における興奮伝達時間を近似的に表現する関数を求め, その等高線表示方法により心表面興奮伝播図を自動作図した. 同一計測値を用いた手書き, 自動作図の伝播図を比較検討したところ, いずれの例でも両者は本質的によく一致し, それぞれに特徴的に興奮伝播様式が得られた.
  • 横山 正義, 柳沢 正敏, 和田 寿郎, 大西 哲, 関口 守衛, 広沢 弘七郎
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1061-1064
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    完全房室ブロック73例, 洞不全症候群30例, 手術後完全房室ブロック3例の合計106例に対し, ペースメーカー植込み術を施行し, 植込み前, 植込み後3ヵ月, 植込み後12ヵ月の心胸郭比を比較検討した. ペースメーカー櫃込み3ヵ月後に心胸郭比が植込み前に比し, 5%以上減少した症例は26例(全体の24%), 5%以上増加した症例は6例(全体の6%)であった. 一方,ペースメーカー植え込み12ヵ月後に心胸郭比が植え込み前に比べて, 5%以上減少した症例は32例(全体の30%), 5%以上増加した症例は4例(全体の4%)であった. 心胸郭比の程度と患者の性別との間に相関はなかった. 106例のうち完全房室ブロック群と, 洞不全症候群との間に, 心胸郭比変化について有意差はなかった. ペースメーカー植込み後の心胸郭比変化と相関するものとして, ペースメーカー植込み前の心胸郭比があげられる. 植込み前の心胸郭比が大きい群では, 植込み後の心胸郭比が縮小しやすい. 本研究では, ペーシソグ後心胸郭比は平均値としては減少傾向を示すものの, 一般には不変の場合が多いことが判明した, これは徐脈性疾患患者は単に調律異常のみでなく, 心筋の疾患も合併していることを示唆している.
  • 特にST-T変化について
    待井 一男, 麻喜 恒雄, 池田 精宏, 大和田 憲司, 舟山 進, 蛯谷 勧, 室井 秀一, 油井 徳雄, 三浦 信雄, 阿部 裕光, 熊 ...
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1065-1073
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋炎の臨床診断は厳密にはかなり困難であるが臨床経過より慢性型と急性型と思われる2症例を経験した. 前者は感冒様症状に始まり完全房室ブロックによる失神発作をみ, 一時的ペーシングにより2ヵ月程洞調律を維持したがついには恒久性ペースメーカーを補え込むようになった症例であり, 後者は完全房室ブロックによる失神発作を見たがプレドニソと抗生物質投与により完全房室ブロックが消失したリウマチ熱によると思われる症例である.2症例ともに心電図変化は主として房室伝導系の障害が主体であり, 完全房室ブロック時のQRS波形が完全ブロック型を呈していたがST-T波の変化が異なっていた. そこで左脚ブロックに心筋障害を合併した場合のQRS波高とST下降度の度合の変化がどの程度の範囲まで正常かは定かでないが当教室での単純な左脚ブロック例と比較検討した.
  • 佐々 寛己, 大場 みどり, 深谷 哲昭, 林 秀晴, 大久保 満, 丹羽 豊郎, 松井 永二
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1074-1081
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    治療抵抗性心不全患者10例を対象として Nitroglycerin軟膏(以下NG軟膏)の臨床症状ならびに血行力学に及ぼす急性効果について検討した. 起坐呼吸または喘鳴を認めた8例中6例でこれが消失ないし軽減した. 本剤使用により心拍数は - 3.7%(n.s)とほぼ不変で, 平均血圧は - 11.1%(n.s)と軽度低下を認めたのみであったが中心静脈圧は - 39.4%(P<0.OI),肺動脈懊入圧は - 32.6%(p<O.02)と有意に低下し, 心係数, 1回拍出量係数はそれぞれ+26.2%(p<O.05)および+35.1(p<0.05)と有意の増加を, 全末櫓由璽管抵抗敵 - 24.5%(p<0.05)と有意の低下を示した. また効果の発現は30分後,効果持続時間は約5時間と推定された. 副作用については1例で中等度の頭痛が認められた. NG軟膏と isosorbide dinitrate内服を比較した場合, 作用機序には大差を認めないが, 前者は(1) 作用時闇がやや長い,(2) 薬剤の内服が1羽難な例でも使用できる,(3) 悪影響が出現した場合除去が可能である点が有利であると考えられた.
  • 特発性肥大型心筋症との関連から
    上野 雄二, 駿田 英俊, 太田 明広, 藤本 あきみ, 有田 幹雄, 茂原 治, 宮本 泰昌, 西尾 一郎, 増山 善明
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1082-1089
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    高血圧に伴う左室肥大は高血圧の進展により, まず求心性肥大ついで拡張性肥大を示し, 心電図上はQRS電位の highveltage, ついでST軽度低下, T波平低化を示し, ついには著明なST低下とT波逆転を示すとされる. この従来の概念とは異なり, 比較的若年者の高血圧例の中に高血圧の程度とは不釣り合いに強いST・T変化を示すものがある. 典型例6例につき心エコー図, 心カテーテル法による左室機能の検討を加えた. これらの例は心電図上巨大陰性T波を示し, 心エコー図では非対称性中隔肥厚を示さず, 左室シネ造影で著明な心尖部肥厚がみられ, 左室機能面からは肥大型心筋痙と類似していた. このことから, これらの例は心尖部肥大型心筋症と考えられるが, 高血圧を偶然の合併とするには同様な例で高血圧を示す頻度が高く, スポーツ選手の中に強い ST・T変化を示す例があるなどから, この心尖部肥大は後負荷増大による心筋肥大の起こり方の差あるいは心筋症の顕性化との可能性も考えられる.
  • 藤堂 景茂, 高田 憲一, 稲尾 雅代, 湯川 元資, 安倍 十三夫, 安喰 弘, 小松 作蔵
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1090-1098
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Cyanosisを主訴とし当科入院検査の結果,部分肺静脈還流異常, 二次孔心房中隔欠損, 心室中隔欠損(Kirk1沁分類III型),肺動脈狭窄,下大静脈欠損・半奇静脈連絡上室性調律異常, 右胸心,両側二葉肺,水平肝,総腸間膜症, nonrotation of bowel を伴った多脾症を術前に診断し, 部分肺静脈還流異常に対しては心房中隔欠損拡大およびダクロンパッチを用いた心房中隔形成により左肺静脈血を動脈系心房へ導き, 心室中隔欠損は経右室的に直接縫合, 肺動脈狭窄に対しては筋束切除およびダクロソ人工血管を用いた右心室流出路形成を行い一期的開心根治手術の成功をおさめた. 本症例の胃は左側, 胆のうは右側に存在し, また冠状静脈洞は右心系心房に開口していた. 99Tc-SuおよびBMHP-Hg99スキャンによる多脾症診断上の問題点および本邦剖検報告例集録による多脾症に合併した心奇形の根治手術の可能性につき同時に論じた.
  • 大関 道麿, 近藤 敬一郎, 麻田 邦夫, 黒田 克彦, 森田 邦夫, 貴島 範彦, 寺内 陽, 岸田 尚夫, 佐々木 進次郎, 武内 敦郎
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1099-1105
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    一般に心筋症に合併する不整脈は難治性のものが多く, これによって重篤な転帰をとることが少なくない. さらにこれに徐脈を伴う場合には抗不整脈剤の積極的な投与が困難で, ペーシングによる脈拍数の維持を必要とする. われわれはこのような徐脈性不整脈を伴う心筋症患者に対して一時的心室ペーシング下に, 台併する直腸癌の開腹術を安全に施行しえたがこの際に良好な血行動態とくに正常域の心拍出量を維持するには高心拍でのペーシソグを要した. 本例のごとく心室ペーシングでは良好な血行動態の維持が困難な例もあり, 長期ペーシングには心房および心室の同期性を保持するペーシソグが有利である. 本例に対して心房・心室連続型ペースメーカーを植込みを行った結果, 心室ペーシングの場合に比較して血行動態的に優位であったのみならず不整脈の抑制にも有効であったので報告する.
  • 全 勇, 宝田 正志, 青木 浩之, 佐藤 秀郎, 伊藤 健二, 高口 直明, 大川 恭矩, 赤坂 忠義, 相馬 民太郎
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1106-1111
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    3ヵ月の男児で上気道感染症にて近医受診時, 胸部X線にて心拡大を指摘された. 入院時心電図, 理学所見で異常所見に乏しかったが, 心エコー図検査にて Echofree-spaceが出現しているため pericardial effusion を疑い心膜穿刺を行った. 穿刺にて乳白色の胸水を採取, 鏡検にて脂肪球を有すること, トリグリセライドが高値であることより chylopericardiumと診断した. MCT ミルク心膜穿刺, 持続心膜腔ドレナージを施行したが, 改善を示さなかったので胸管結紮, pericardial window作成術を行った. 術後, chylothorax を合併したので,申心静脈栄養を施行治癒せしめた, 1歳1ヵ月の現在,再発をみない. Primary chylopericardium は入手しえた文献で32例(内15歳以下は12例)が報告されている, 理学所見に乏しいことが特微である. 治療としては胸管結紮術とpericardial wlndow作成術で再発をみた例はない, なお, 本症例は primary chylopericardiumの最年少手術例であると思われる.
  • 深谷 真彦, 今村 陽一, 小形 善樹, 本田 幸治, 北野 幸英, 木谷 文博, 矢野 捷介, 橋場 邦武
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1112-1120
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    間欠型のB型WPW症候群の2症例に, 副伝導路 (Kent束)の過常伝導 (sgpemormal conduction)を示唆する所見を認めた. すなわち, 右房期外刺激法で, 与える期外刺激の連結期を次第に短縮していくとき, 一度ブロックされた KeRt束の伝導が, ある範囲の連結期内で回復するという現象がみられた. 症例 1(40歳女)では, はじめ正常型であった QRSが, 右房期外刺激の連結期 650 - 580msecの範囲でWPW型となった. 症例 2(9歳男)では, WPW型QRSが連結期の短縮に伴って正常型となった後, さらに連結期 490 - 350msecの範囲でふたたび WPW型を呈した. この現象の機序については, Kent束の過常伝導の他に, 房室結節の縦解離と Mahaim 線維との連絡, Kent束の心拍数依存性ブロック, あるいは房室伝導における gap現象に類似した機序などが考えられ, 文献的考察を加えて検討した.
  • 松岡 裕二, 佐藤 雄一, 山元 一裕, 先成 英一, 田原 正英, 古賀 保範, 早川 国男
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1121-1126
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    先天性片側下口唇麻輝と先天性心疾患の合併は,新しい症候群として1969年 CaylerらによりCardiofacial syndrome として提唱された. 本症候群に合併する先天性心疾患は多岐にわたっている. 私たちは今までの報告にみられない大動振弓遮断症を合併すろ 8ヵ月男児の Cardiofacial Svndrome の1剖検例を報缶し,若干の文献的考察を行った.
  • D.C.通電の影響
    家坂 義人, 藤原 秀臣, 鰺坂 隆一, 飯泉 智弘, 谷口 興一, 武内 重五郎, 高丘 忠道, 田渕 耕平
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1127-1131
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Pacemaker植込み直後に心室細動を起こし, D.C.通電を行ったところ一過性に sensingおよびpacing failureをきたし, その後の検索で pacemaker自体になんら故障をみとめなかった症例を, 著者らは経験した. そこで D.C通電による pacemaker system への影響を検討するために, 双極電極カテーテルを容積導体とみなした生理食塩液寒天ゲル内に挿入し, D.C.通電を行った. その結果, 電極にかかる電圧は, 通電エネルギーに比例し, 通電方向が電極軸と平行に近いほど大であった. 電極に zenerdiode (定電圧半導体)を組み入れた保護回路を接続すると, 電極にかかる電気的エネルギーは著明に減少し, zenerdiodeによる保護回路を有する最近の pacemaker system の安全性が示された. したがって著者らの経験した症例における, 通電後の pacingおよび sensing 異常の機序として, 通電後の心筋組織と電極との接触状態の変化や, 心筋組織の性状の変化などが考えられる.
  • 友池 仁暢
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1132-1143
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 安孫子 保, 市原 和夫
    1979 年 11 巻 10 号 p. 1144-1154
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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