心臓
Online ISSN : 2186-3016
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45 巻, 2 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
Open HEART
HEART’s Selection(非心臓手術の術前評価)
HEART’s Original
[基礎研究]
  • 中島 千恵子, 高津 美和, 杉山 大輔, 辻村 杏理沙, 村井 翔太郎, 矢島 美希, 高橋 圭司, 村瀬 珠代, 服部 拓哉, 加藤 洋 ...
    2013 年 45 巻 2 号 p. 147-158
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/12
    ジャーナル フリー
     目的 : 最近われわれは, Dahl食塩感受性 (Dahl salt-sensitive ; DS) ラットにZuckerラット由来の肥満遺伝子 (Lepr fa) を導入した新しいコンジェニックラット (DahlS.Z-Lepr fa/Lepr fa ; DS/obese) の基本病態と心筋病変を初めて明らかにし, メタボリックシンドローム (metabolic syndrome ; MetS) の新しい動物モデルとして確立した. 今回われわれは, DS/obeseラットを用いて頻度の異なる2種類の運動トレーニングの心臓病態生理に及ぼす効果を比較検討した.  方法 : 生後6週齢にDS/obeseラットを運動トレーニングしない群 (DS/obese群), 週1回 (1時間) swimmingする群 (DS/obese+S1群), および週5回 (各1時間) swimmingする群 (DS/obese+S5群) に分けた. 週齢を合致させたDahlS.Z-Lepr +/Lepr + (DS/lean) ラットを対照動物 (DS/lean群) とした.  結果 : 15週齢においてDS/obeseラットで認められる過食・肥満, 高血圧, 左室肥大, および左室拡張障害はいずれの頻度のswimmingによっても抑制されなかった. 一方, 心筋線維化と心筋へのマクロファージ浸潤はDS/obese+S1群では抑制されなかったが, DS/obese+S5群では有意に抑制された.  結論 : MetSにおいて適度な運動トレーニングを毎日行うことは心臓に対して抗炎症・抗線維化効果をもたらすと考えられた.
Editorial Comment
症例
  • 寺口 郁子, 片岩 秀朗, 谷本 貴志, 北端 宏規, 猪野 靖, 平田 久美子, 木村 桂三, 水越 正人, 今西 敏雄, 赤阪 隆史
    2013 年 45 巻 2 号 p. 163-168
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/12
    ジャーナル フリー
     症例は27歳, 女性. 呼吸困難, 動悸を主訴に近医を受診し, 重症高血圧を指摘された. その後, 呼吸困難増悪のため当院へ搬送され, 緊急入院した. 腹部CTにて両側副腎に巨大腫瘤を認め, 両側褐色細胞腫による高血圧症, 高血圧性心不全の診断で治療を開始した. 入院後症状は改善傾向にあったが, 第4病日に意識レベルの低下とともに急激な血中カリウム濃度の上昇を認め, 高カリウム血症から心肺停止にいたった. 経皮的心肺補助療法を開始し, 持続血液濾過透析にてカリウム除去を行ったが改善はみられず, 第5病日に死亡退院した. 病理解剖にて両側副腎腫大, 右甲状腺髄様癌を認めた. すでに母親が多発性内分泌腫瘍 (multiple endocrine neoplasia ; MEN) 2Aと診断されていたため, 患者の遺伝子診断を行った結果, MEN2Aと診断された. 今回われわれは, 腫瘍崩壊症候群により急激な経過をたどった巨大褐色細胞腫の1例を経験したため報告する.
Editorial Comment
症例
  • 野寺 穣, 鈴木 聡, 中村 裕一, 水上 浩行, 神山 美之, 飯国 洋一郎, 中里 和彦, 鈴木 均, 斎藤 修一, 竹石 恭知
    2013 年 45 巻 2 号 p. 172-178
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/12
    ジャーナル フリー
     症例は40歳代, 女性. 30歳代から徐々に上下肢の筋力低下を自覚し, 家族歴, 筋電図および筋生検の結果から常染色体優性遺伝形式をとる肢帯型筋ジストロフィと診断された. 30歳代に心房粗動のためカテーテルアブレーション, その後, 洞不全症候群, 発作性心房細動, 高度房室ブロックのためVVIペースメーカー植え込み術を施行された. その際の心エコー図検査で全周性の左室壁運動低下, 左心室腔の拡大所見があり, 冠動脈造影では有意狭窄を認めなかったことから心筋症と診断された. 40歳代より労作時の呼吸困難感が強くなり, 心筋症による心不全症状と考えられ, 精査加療目的で当科に紹介入院となった.  心不全の加療として入院後よりカルベジロールの増量を開始した. 経過中に持続性の心室頻拍を認め, アミオダロンの内服を開始した. 低心機能であることに加え, 右室心尖部ペーシングによる左室同期不全を有していたため, VVIペーシングから両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器 (cardiac resynchronization therapy-defibrillator ; CRT-D) へのupgradeを施行した. 術後はカルベジロールをさらに増量し退院, その後は心不全症状の増悪は認めず外来通院を継続している.  進行性の筋ジストロフィの中でも肢帯型筋ジストロフィ (limb-girdle muscular dystrophy ; LGMD) は心筋障害の合併は稀であるとされる. 今回われわれは心筋障害を合併した常染色体優性遺伝肢帯型筋ジストロフィ患者の心不全管理に心臓再同期療法が有効であった1例を経験したので報告する.
Editorial Comment
症例
  • 永田 健一郎, 田中 博之, 上田 哲郎, 磯貝 俊明, 喜多村 一孝, 加藤 賢, 金子 雅史, 古堅 あずさ, 久保 良一, 江夏 一彰 ...
    2013 年 45 巻 2 号 p. 180-186
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/12
    ジャーナル フリー
     心膜中皮腫は極めて稀な疾患であり, 生前の診断が困難なうえ, 有効な治療法も確立されていない予後不良な疾患である. 今回われわれは, 急激な経過で全身状態が悪化し, 診断に難渋した肉腫型心膜中皮腫の症例を経験したので報告する. 症例は78歳, 女性. 咳嗽と呼吸困難を主訴に近医を受診し胸水貯留を確認され紹介となった. CTで心嚢液貯留, 心膜に充実性腫瘤を認め, 当院へ精査加療目的に入院となった. 心膜開窓術・腫瘍生検を予定していたが, 数日の経過で全身状態が悪化したため, 中止となった. 10日後のCTでは心膜に沿って急速に腫瘍が進展する所見を認め, 1日1,000mL以上の胸水が貯留したため, 心嚢, 胸腔内に対し持続ドレナージを行った. 経過, 画像所見から悪性腫瘍が疑われ, 細胞診も提出したが診断は不明であった. その後, 全身状態が悪化したため化学療法や放射線療法を行うことはできず, 最終的に緩和的医療へと移行した. 疼痛や呼吸苦に対し, 麻薬系鎮痛薬を使用したが, 多臓器不全, 心臓拡張不全のため入院約1カ月後に死亡した. 死後の組織剖検を行い, 免疫染色により肉腫型心膜中皮腫と診断した. 心臓悪性腫瘍でも心膜中皮腫は発症頻度が極めて稀で, 進行が速く生前診断は困難とされている. 本疾患を診断し治療介入するためには, 全身状態が維持されている早期の段階で開胸生検を行い, 免疫染色で組織学的に診断することが重要であると思われる.
Editorial Comment
症例
  • 滝口 舞, 八巻 尚洋, 及川 雅啓, 小林 淳, 杉本 浩一, 國井 浩行, 中里 和彦, 鈴木 均, 斎藤 修一, 竹石 恭知
    2013 年 45 巻 2 号 p. 188-194
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/12
    ジャーナル フリー
     症例は60歳代, 男性. 10年前より高血圧, 脂質異常症にて内服加療を受けていた. 突然の胸痛が出現し, 当院へ搬送され, 急性心筋梗塞の診断にて心臓カテーテル検査を施行された. 冠動脈造影にて#7 90%狭窄を認め, ベアメタルステント (bare metal stent ; BMS) を留置され, 後拡張を行い血管内超音波 (intravascular ultrasound ; IVUS) にて良好なステントの圧着を確認し, 手技終了した. その後順調に経過していたが, 6カ月後に確認造影を行ったところ, ステント留置部に動脈瘤様の所見を認めた. IVUSを施行したところ, 急性期と比し血管径とステント径に大きな変化を認めなかったが, ステントと血管壁の間に血流所見を認め, incomplete stent apposition (ISA) と診断した. 同部に対してバルーンにて可及的にステントを十分に拡張した. BMS留置後にlate acquired ISAを認めた興味深い症例と考えられた.
症例
  • 芳賀 智顕, 竹内 朗子, 田中 久貴, 阿部 剛典, 仁平 敦子, 溝渕 雅広, 佐光 一也
    2013 年 45 巻 2 号 p. 195-199
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/12
    ジャーナル フリー
     症例は, 30歳代, 男性. 早朝に新聞を取りに行こうとして立ち上がった際に突然, 嘔吐, 呂律困難などが出現し当院に救急搬送された. 頭部MRI・MRAにて左後大脳動脈閉塞による左小脳梗塞を認め当院神経内科に入院となった. 組織プラスミノーゲン活性化因子 (tissue plasminogen activator ; tPA) 静注療法が行われたが翌日の頭部MRIでは右小脳, 左後頭葉の一部に梗塞巣は拡大していた. 若年発症のため奇異性脳塞栓症が疑われ当科に精査依頼があり, 心エコーにて比較的欠損孔の小さい心房中隔欠損症を認めた. 静脈系血栓は認めなかったが心房中隔欠損症のほかに原因疾患を認めず, コントラスト経頭蓋ドプラによる右-左シャントの証明や発症時の状況から心房中隔欠損症による奇異性脳塞栓症と診断した. 今回, 若年性脳梗塞を契機に診断にいたった心房中隔欠損症の1例を経験したので報告する.
Editorial Comment
症例
  • 乗松 東吾, 東 茂樹, 笠原 正男, 三岡 博, 新谷 恒弘, 斎藤 孝晶, 中尾 佳永, 桝田 幹雄, 植田 初江, 尾島 英知
    2013 年 45 巻 2 号 p. 203-208
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/12
    ジャーナル フリー
     症例は32歳, 女性. 発熱を主訴に近医を受診した. 経過中に労作時呼吸苦を訴え当院紹介となった. 心臓超音波検査にて右房を占拠し, 一部右室に張り出した腫瘍を認めた. 腫瘍による機械的三尖弁閉塞からの右心不全と診断し, さらに感染性心内膜炎の併発も疑われたため緊急手術を行った. 術前は粘液腫を疑っていたが, 病理組織所見では粘液腫の所見だけでなく腺管構造を伴っていることが明らかになった. 転移性腺癌との鑑別のため, 全身検索を行ったが原発巣を認めず, 術後約2年の経過で再発や転移がないことから最終的に腺管構造を有する右房粘液腫と診断した. この疾患は転移性腺癌との鑑別や悪性転化など古典的粘液腫とは経過が異なるものであり, 術後も注意深い経過観察が必要である.
症例
  • 渥美 渉, 野本 和幹, 八木 司, 矢作 隆幸, 久保地 泰仁, 小森谷 将一, 河内 謙次, 須田 伸, 立花 栄三
    2013 年 45 巻 2 号 p. 209-214
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/12
    ジャーナル フリー
     症例は72歳, 男性. 既往に未治療の中枢性尿崩症があり, 2010年11月, 呼吸困難が出現し救急搬送され, うっ血性心不全の診断にて入院加療となった. 急性期は非侵襲的陽圧呼吸管理 (non-invasive positive pressure ventilation ; NPPV) を行い, 血管拡張薬, カルペリチドの持続投与を開始し, 利尿薬は入院当日・翌日に使用したのみで, 以降は飲水制限のみで尿量を確保した. 心筋逸脱酵素の経時的変化と心電図変化から新たな心筋虚血が疑われ, 冠動脈造影を行ったところ, 左冠動脈前下行枝・左回旋枝にも慢性完全閉塞を認め経皮的冠動脈形成術 (percutaneous transluminal coronary angioplasty ; PTCA) を施行した. 心不全改善後, 尿崩症による夜間頻尿を認めたため, デスモプレシンの点鼻投与を開始した. 第29病日退院となるも退院約2カ月後, 心不全再発し入院加療を受けた. 少量の利尿薬を追加して退院後は, 心不全を再発することなく経過した. 尿崩症を合併したうっ血性心不全に対し, 再発予防に少量の利尿薬が有効であった1例を経験したので報告する.
症例
  • 山﨑 健司, 原 英彦, 中村 正人, 杉 薫, 横内 到, 熊谷 賢太, 森木 直哉, 二宮 健次, 村瀬 俊文, 大関 泰宏, 田村 進 ...
    2013 年 45 巻 2 号 p. 215-222
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/12
    ジャーナル フリー
     症例は75歳, 女性. 主訴は胸部不快感. 2005年3月に急性心筋梗塞を発症し, 左冠動脈前下行枝#7の閉塞病変にベアメタルステントを留置し再灌流した. このときから右冠動脈#3に瘤状の変化を認めていた (内腔最大径6mm). 2005年9月の冠動脈造影検査で再狭窄を認めなかったが, 右冠動脈の瘤状変化は残存し (内腔最大径6mmで著変なし), また回旋枝にも瘤状の変化を認めていた (内腔最大径5mm). 定期検査の心エコーで右心房近辺に腫瘤像を認めたため, 2010年6月下旬に16列マルチスライスCTを施行したところ, 腫瘤像は異常に増大した右冠動脈瘤であることがわかった (最大径30~40mm). 外科的治療を検討していたが, 2010年7月上旬に急性心筋梗塞を発症し, 緊急冠動脈造影検査を施行したところ, 右冠動脈#3の冠動脈瘤遠位部で閉塞していた. 早期再灌流を目的に経皮的冠動脈インターベンションを施行した. 瘤内でガイドワイヤーが迷走し病変の通過に難渋したが, ワイヤーの先端が通過し, それにより再灌流することができた. 回旋枝の瘤状変化も以前に比し強くなっており, また前下行枝にも有意狭窄を認めていたため, 後日, 待機的に冠動脈バイパス術 (coronary artery bypass grafting ; CABG) を施行した, 右冠動脈に関してはバイパス術および瘤部の結紮も同時に行った, 今回, 冠動脈瘤閉塞により急性心筋梗塞を起こした症例を経験したので報告する.
Editorial Comment
症例
  • 下角 あい子, 谷本 貴志, 北端 宏規, 財田 滋穂, 中村 信男, 久保 隆史, 平田 久美子, 田中 篤, 水越 正人, 今西 敏雄, ...
    2013 年 45 巻 2 号 p. 226-231
    発行日: 2013年
    公開日: 2014/09/12
    ジャーナル フリー
     症例は62歳, 女性. 2008年3月, 近医にてPET (positron emission tomography) 検査による癌検診時, 右肺野に集積を認めたため, 胸部造影CT (computed tomography) 検査を施行. 左室後壁に右冠動脈の走行と一致した瘤状の構造物を認め, 再度冠動脈造影CT検査を施行した. 結果, 右冠動脈房室枝末梢に直径25mmの瘤状に拡大した冠動脈を認めたため, 精査目的に当科へ紹介となった. 症状はなく, 身体所見, 血液検査でも異常を認めなかった. 心臓MRI (magnetic resonance imaging) 検査では, 瘤化した冠動脈は左室後壁の心筋内に存在し, 心拍に一致して拡大縮小を繰り返す様子がとらえられた. 精査のため冠動脈造影検査を施行. 左冠動脈は正常. 右冠動脈は拡張・蛇行が強く, 右冠動脈segment 3 (seg.3) 以遠には分枝を認めなかった. 右冠動脈右室枝末梢には直径16mmの球状構造物を認め, 心収縮に一致し強く変形を伴った. 瘤状形成した部位より末梢側には血管構造を認めなかったが, 流出血管や心腔内との交通は認められなかった. ドプラワイヤをseg.3まで挿入し, 血流速度を測定したところ, 波形はto and froパターンを示し, 平均血流速度は50cm/秒と非常に速かった. 構造物の壁構造は不明であり, 確定診断にはいたっていないが, 経過・構造より血管の形成異常と考えられた. 同様の症例は報告がなく, 稀な症例と思われたので報告する.
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