中学生のころから漫性的な頭痛を訴え,ランニング中にしばしば意識障害を呈し,血圧測定で著明な高血圧を示した19歳男子である.血漿レニン活性48ng/m
l/hour,血漿アンギオテンシンI 9,800pg/m
l,血漿アンギオテンシンII 142pg/m
lおよび血漿アルドステロン(臥位)254.5pg/m
lと高値を示し,腹部大動脈造影で左腎動脈起始部に90%以上の狭窄像を得た.左側腎血管性高血圧症と診断し,左腎血管のバイパス手術を行ったが,中脳血を併発して術後8日目に死亡した.剖検の結果,出intimal fibroplasia型のfibromuscular dysplasiaによる狭窄を左腎血管の他に右腎血管にも認めた.さらに,同様の病変を冠動脈,大腿動脈,脳底動脈にも認めた.
Intimal fibroplasia型のfiromuscular dysplasia が全身の動脈に認められた報告は比較的少ないため,若干の考察を加えて報告する.
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