心臓
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31 巻, 8 号
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  • 小坂井 嘉夫
    1999 年 31 巻 8 号 p. 571-575
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 三井田 孝, 高橋 芳右, 宮西 邦夫
    1999 年 31 巻 8 号 p. 577-583
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    新潟県における高脂血症治療の実態を調査した.無記名式のアンケート用紙を202施設300名の医師に配り,128施設,184名の医師(勤務医:102名, 開業医:82名)から回収した.9割前後の医師が,高血圧・虚血性心疾患・脳血管障害・糖尿病の患者にスクリーニングまたは定期検査として脂質検査を行っていた.総コレステロール(TC)が高い場合,勤務医の91.2%,開業医の87.8%が原則的に治療していた.治療開始基準値はTCで220-240mg/dl,LDL-Cで160mg/dlが最も多かった. 第一選択薬は, 勤務医の96.1%,開業医の92.7%でHMG-CoA還元酵素阻害薬だった.一次予防を目的とする治療目標値はLDL-Cで130-160mg/dlが最も多く,日本動脈硬化学会や米国コレステロール教育プログラムのガイドライン勧告値にほぼ一致した.二次予防を目的とする治療目標値は130mg/dlが最も多く,勧告値の100mg/dlより高かった.単剤で治療目標に達しない場合,勤務医の81.4%,開業医の64.6%で併用療法が行われていた.高中性脂肪血症合併例では約半数でHMG-CoA還元酵素阻害薬とフィブラート系薬剤が併用されており,副作用に注意が必要と考えられた.以上より,新潟県の高コレステロール血症の治療は原則としてほぼ各種ガイドラインに沿って行われていた.二次予防を目的とする治療目標値については,ガイドラインが浸透していないことが示唆された.
  • ●経大腿動脈アプローチとの対比
    千田 浩一, 斎 政博, 洞口 正之, 石屋 博樹, 佐藤 州彦, 斎藤 春夫, 佐々木 正寿, 佐藤 徳太郎
    1999 年 31 巻 8 号 p. 585-592
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    カテーテルなど血管造影器具の材質の発達に伴い,患者に対する侵襲度が低いなどの理由で,心臓カテーテル検査においても経上腕動脈アプローチ(TBA)が普及している.また一方では,術者の被曝線量低減に対する関心が非常に高まっている.
    そこで今回我々は,心臓カテーテル検査時の術者被曝線量について,より実際的でかつポイントを絞り分かりやすく評価するため,人体ファントムを用いたシミュレーション実験を行い,経大腿動脈アプローチ(TFA)と比較した.実験は左右の上腕動脈アプローチを想定した種々の撮影プロジェクションで行い, 測定点の高さはu p p e r , m i d d l e , l o w e r の3点とした.そして,シネ撮影および透視に際しての,イメージインテンシファイア(以下I.I.)サイズ10および7インチにおける術者被曝線量について詳しく比較検討を行った.また,その術者被曝の対策についても検討した.結果として,TFAとTBAとの対比においては基本的にはTBAが多く,測定点の高さに関してはlower位置の散乱線量のほうが多い.しかし,プロジェクションによっては異なる結果も得られた.つまり,X線管に近いほど散乱線量が多くなる傾向を示すが,X線管やI.I.が逆に散乱線の遮蔽効果を呈することもあり,複雑であった.複合斜位における散乱線量はかなり多くなる場合があり,またシネ撮影と透視は,線量レベルは異なるが同様の散乱線分布であった.I.I.サイズを7インチに拡大した方が散乱線量は多くなった.臨床においては,鉛防護エプロンを必ず使用するなどの,何らかの術者被曝対策が必要であることが再確認された.
  • 隈崎 達夫
    1999 年 31 巻 8 号 p. 593-594
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 宮高 昌, 金政 健, 林 孝浩, 竹中 俊彦, 山本 忠彦, 片山 克彦, 木村 彰男, 藪下 博史, 北山 耕司, 谷和 孝昭, 石川 ...
    1999 年 31 巻 8 号 p. 595-600
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    β遮断薬は心事故予防に有効であるが,徐脈や房室ブロック,心不全などの副作用を生ずることがあり,高齢の患者には使用しにくいと考えられている.今回我々は,当科で加療した陳旧性心筋梗塞につきメトプロロールを服用した患者の心事故発生率を,年齢別に後ろ向き調査した.対象は陳旧性心筋梗塞1008件,男781件,女227件,発症時年齢60.9±11.4歳で,平均観察期間は16.4±20.1カ月である.
    End pointは心事故(致死性および非致死性再梗塞,突然死,心不全死)である.メトプロロール服用群424件では13件(3.1%)に心事故がみられたが,β遮断薬非服用群584件では42件(7.2%)に心事故が発生し,心事故はメトプロロール服用群で有意(p<0.01,odds比0.41,95%信頼限界0.22-0.77)に低値であった.年齢別に心事故発生率をメトプロロール服用,β 遮断薬非服用群で比較すると,60歳以下ではそれぞれ3.1%,6.0%,61~70歳では4.0%,4.5%,71歳以上では1.3%,12.4%(p<0.05,odds比0.14,95%信頼限界0.03-0.75)であり,いずれの年齢層においてもメトプロロール服用群はβ遮断薬非服用群よりも心事故発生率は低かった.両群の患者背景に不一致がみられたが,患者背景別の解析にても同様の結果であった.また,重大な副作用もなく高齢患者でも有効であると考えられた.
  • 伊藤 正洋, 広野 暁, 佐伯 牧彦, 大和田 真紀子, 北沢 仁, 佐藤 政仁, 岡部 正明, 小玉 誠, 相澤 義房
    1999 年 31 巻 8 号 p. 601-606
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞をきたした器質的冠狭窄のない閉塞性肥大型心筋症の2例を経験した.症例1は68歳の男性で,胸部圧迫感出現2時間30分後に来院.心電図は190/分の単形性持続性心室頻拍であり,血圧は触診で80mmHgであった.プロカインアミドの使用で症状出現より3時間30分後,洞調律に回復したが,その後CPKの上昇を認めた.症例2は68歳の男性で,出血性胃潰瘍で入院中に再出血を認め,ショック状態となった.その後引き続きCPKの上昇,Q波の出現を認めた.2例とも心臓エコー検査で心室壁の肥厚を認めたが,壁運動は低下しておらず,ピロリン酸心筋シンチグラフィでは心内膜下への全周性の集積を認めた.心臓カテーテル検査では,2例とも冠動脈に有意狭窄を認めなかった.左室造影は,症例1では心室中部閉塞と心尖部の心室瘤を認め,心室中部で120mmHgの圧較差を認めた.症例2は壁運動は正常であり,左室流出路で86mmHgの圧較差を認めた.肥大型心筋症では,左室内閉塞の存在下に頻拍やショックによる血行動態の悪化が加わることにより,心筋梗塞を発症することがあり,注意を要すると考えられた.
  • 西川 和子, 小笠原 定雅, 島本 健, 楠元 雅子, 伊藤 直人, 木全 心一
    1999 年 31 巻 8 号 p. 607-612
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例:52歳,男性.主訴:息切れ,咳,腰仙部痛,前屈困難.現病歴:'74年頃より腰痛と頸部の運動制限が出現し,頸部は前傾位固定となった.'93年11月,労作時の息切れ,咳,起座呼吸が出現し,急性左心不全の診断で近医に入院し,心精査目的にて当院に転院.頸椎と腰椎の著明な運動制限,X線写真で頸椎の硬化,腰椎の四角形化と靭帯化骨像,仙腸関節の関節炎と血沈亢進,CRP陽性などから強直性脊椎炎と診断された.また,上肢の脈拍異常,頸部,腹部,背部の血管雑音,大動脈瘤と大動脈弁閉鎖不全症,炎症反応から大動脈炎症候群の診断も満足し,両者の合併としてこのような症例の報告は本邦ではなく,膠原病近縁疾患と心病変の合併として,極めて貴重な症例であると思われ報告する.
  • 武田 充人, 佐々木 康, 衣川 佳数, 松浦 弘司, 清野 隆吉
    1999 年 31 巻 8 号 p. 613-618
    発行日: 1999/08/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    先天性冠動脈瘻は手術成績も良いとされるが,拡大した冠動脈内の血栓閉塞例が散見されている.
    我々は術後早期に血栓形成を認めた右冠動脈右室瘻の1例を経験した.症例は6歳男児で,生来健康であったが,就学前健康診断にて心雑音を指摘され紹介となった.選択的冠動脈造影で径11mmに管状に拡大した右冠動脈が右室へ流入しているのが確認され,肺体血流比1.6,左右短絡率39%であった.経冠動脈的瘻孔閉鎖術(Symbas術)を施行し翌日よりアスピリンを開始したが,術後1日目の心電図にてI,II,III,aVFおよびV2からV6誘導においてT波の増高を認めた。術後8日目のIII,aVF誘導では異常q波を認め,T波は陰転化した.1カ月後の選択的冠動脈造影にて冠動脈縫合部に接した血栓形成を認め,その末梢側の血栓性閉塞,再疎通を認めた.しかし,2年後には拡張していた右冠動脈は退縮,末梢側の血流は改善していた.本症の術後管理においては術直後より強力な抗凝固療法が必要と思われた.
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