本邦での肺高血圧を伴ったSLEの報告例について,自験例を合せて検討し,文献的考察を加えた.症例46歳,主婦.29歳の出産後にRaynaud現象,顔面蝶形紅斑,血小板減少,LE細胞,心膜炎を認め,ARAのSLEの診断基準を満し, 抗核抗体陽性, 抗DNA抗体は高値を示した.44歳ごろより労作時の息切れ,動悸,易疲労感など肺高血圧症状を呈し,46歳で死亡した.胸部X線像,心電図, 心音図, 心エコー図所見より肺高血圧の存在が推定された.
剖検所見:心重量500g,右室壁は8mmと著しく肥厚し,右室腔は著しく拡大,肺動脈幹および左右主肺動脈は著しく拡大し, 内膜面に著明なアテローム斑を認めた.組織学的には腎はmesangial glomerulitisの像を,脾には軽度のonion skin lesionを認めた.中小筋性肺動脈には内膜の肥厚,血栓やplexiform lesionもみられた.
剖検例を文献的に考察し,全例に中小肺動脈に血栓がみられ,SLEの肺高血圧の成因に重要な役割を演じていると考えられる.
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