心臓
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29 巻, 7 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 小室 一成
    1997 年 29 巻 7 号 p. 567-575
    発行日: 1997/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 水村 恒雄, 斎藤 穎, 小沢 友紀雄, 上松 瀬勝男, Garrett J Gross
    1997 年 29 巻 7 号 p. 576-582
    発行日: 1997/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋にあらかじめ1回ないし数回の短時間の虚血を与えておくと,その直後の長時間の虚血に対して耐性を獲得し心筋梗塞サイズが縮小することが動物実験で発見され,この現象をischemic preconditioning(PC)と呼ぶ.この効果がATP感受性カリウム(KATP)チャネルの特異的阻害薬であるglibenclamideにより打ち消され, KATPチャネル開口薬がPC類似の心筋保護作用を示すことから,その成立機序にKATPチャネルが重要な役割を果たしていると考えられている.一方,KATPチャネル以外のアデノシン,ブラジキニンなどの内因性物質もPCの成立に重要であり,なおかつKATPチャネルとも密接な関わりを持つことがわかってきている.今後,KATPチャネル開口薬の臨床への積極的な応用,つまり狭心症および心筋梗塞の治療,バイパス手術,心臓移植における心筋保護などへの利用が期待されている.そこで,本稿ではKATPチャネルがPCにおいて果たす役割について最新の知見を示し解説する.
  • 特に発症時間および発症時の身体活動について
    高野 照夫, 木内 要, 子島 潤, 高山 守正, 内田 拓実, 本宮 武司, 本江 純子, 高橋 早苗, 長尾 健, 上松 瀬勝男, 上嶋 ...
    1997 年 29 巻 7 号 p. 583-592
    発行日: 1997/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    1982年1月から1994年12月までの13年間に東京都CCUネットワークに収容された急性心筋梗塞9,525例と狭心症3,287例のうち,発症状況が明らかな急性心筋梗塞9,525例と狭心症1,043例を対象とし,発症状況,特に発症時間と発症時の身体活動について検討した.急性心筋梗塞は男に多く(75.1%),発症年齢は男は60歳台(22.2%),女は70歳台(9.7%)に多かった。死亡率は1982年の20.4%から1994 年の11.5% へと低下した. 急性心筋梗塞の月別発症率は12 月に最も多く(11.4%) , 次いで3月に多かった(11.0%).曜日別の検討では土曜日に発症する例が最も多く(16%),次いで月曜日(15%)であった.急性心筋梗塞の発症時間は,午前9時前後と午後9時前後の二峰性の分布を呈し,午前6時から午後0 時までに31.5% が発症していた. 狭心症の発症時間は午前8時前後と午後8時前後の二峰性に分布し,急性心筋梗塞の頻発時間帯の約1時間前であった.急性心筋梗塞の発症は睡眠中15.6%,食事中・直後11%,安静中10%などの2MET以下の軽労作中での発症が59%,狭心症も同様に軽労作中の発症が70.3%を占めていた.一方,6MET以上の労作中での急性心筋梗塞と狭心症の発症はそれぞれ5.1%, 3.3%であった. このように急性心筋梗塞や狭心症の発症には日内変動が認められ,また比較的軽度の身体活動を契機に発症する例が多いことから,急性冠症候群の発症の予防には冠危険因子の除去は勿論,日常生活態度の改善,常日頃の適度な運動,さらに日内変動を考慮した時間治療学の活用が必要であると考えられた.
  • 堀 正二
    1997 年 29 巻 7 号 p. 593-595
    発行日: 1997/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 斎藤 靖浩, 鼠尾 祥三, 井上 省三, 寒川 昌信, 河原 洋介, 田中 淳二, 神山 憲王, 田村 敬二, 末綱 竜士, 沢山 俊民
    1997 年 29 巻 7 号 p. 597-602
    発行日: 1997/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    肥大型心筋症(HCM)の安静時心電図左側胸部誘導でST上昇を呈した例の臨床像を検討した.HCM95例をV5きあるいはV6でSTが0.05mV以上上昇したST上昇群24例(S群)とST上昇がないcontrol群(C群)71例の2群に分類し,心電図所見と臨床事項について対比した.さらに,初診時から最終受診日までの心電図の経年変化について検討した.S群は,C群に比してQRS幅が著明に延長し(117.1 vs 94.3 msec),RV5波高は低く(1.1 vs 2.7mV),心室頻拍例が多く(16 vs 12例),T1心筋シンチの欠損も広範に見られ(3.0 vs 1.6分画),運動時の左心機能低下例が多かった(EF 61.6 vs 68.9%)。経年変化では,経過中にSTがより上昇した群ではQRS時間が著明に延長した(30.0 msec).以上の結果から,HCMにおけるV5やV6のST上昇は,心室内伝導障害・広範な心筋障害・心室頻拍・運動時の左心機能低下など重篤な病態と関連していることが示唆された.
  • 三角 郁夫, 小島 淳, 木村 義博, 外村 洋一, 大串 正道, 本田 佳生, 清田 敬
    1997 年 29 巻 7 号 p. 603-606
    発行日: 1997/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は57歳,男性.1994年5月5日より歩行時に前胸部絞扼感と動悸が出現するようになり5月12日近医を受診,心房細動で110/分の頻脈があり,ジゴキシン0.25mgの静注を受けた.数十分後,激しい前胸部絞扼感が出現,心電図上前壁のST上昇を認め,急性心筋梗塞を疑われ当科緊急入院となった.緊急冠動脈造影では,左冠動脈は主幹部で完全閉塞しており,チソキナーゼ320万IU冠動脈内投与により再疎通がみられた.その後心電図上のST偏位は改善し,6月8日冠動脈バイパス手術を施行し退院となった.ジギタリスは冠動脈のトーヌスを亢進させ,血小板機能を亢進させ,プロトロンビン時間を短縮することが知られている.本症例は不安定狭心症にジギタリスを投与し心筋梗塞発症の引き金になった可能性も否定できず,興味深い症例と考え報告した.
  • 森井 繁, 中井 久太夫, 森 拓也, 野田 雅俊, 井阪 直樹, 中野 赳
    1997 年 29 巻 7 号 p. 607-612
    発行日: 1997/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    平滑筋肉腫の心転移は極めてまれで, 生前診断例は過去に4例の報告があるのみであり,平滑筋肉腫の転移形態も明らかでない.今回,63歳の男性で,平滑筋肉腫の中隔左室流出路への心筋転移を示し,大動脈弁下狭窄の形態を呈した1例を報告する.平成元年7月,脳血管障害にて当院へ入院した.経過中同年9月頃より皮下に多発性腫瘍が出現し,皮膚生検にて転移性平滑筋肉腫と診断され,原発巣検索にて胃部原発と同定された.入院時,収縮期雑音のスクリーニング検査にて,心臓超音波検査上,軽度中隔肥厚が認められたが他に異常所見はなかった.入院2カ月後の心臓超音波検査では径2.3×3.8cmの中隔から左室流出路に突出した心腔内腫瘤がみられ,死亡直前には左室流出路を狭窄していた.剖検にて大動脈弁下の左室流出路で中隔より突出する腫瘍塊が確認された.一般に悪性腫瘍の心筋転移は診断困難であることが多いが,壁在性心筋腫瘍の進展を心臓超音波検査にて追跡しえた興味深い症例と思われた.
  • 上野 義記, 中川 雅博, 大林 靖典, 小野 進, 北川 成子, 梶田 和男
    1997 年 29 巻 7 号 p. 613-618
    発行日: 1997/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,男性.患者は外来にて糖尿病,高血圧の治療を受けていたが,胸水貯留を伴う,うっ血性心不全状態となり入院した.心電図は,ST-T変化を伴う顕著な左室肥大所見があり,心エコー図にて,著明な心筋肥厚と壁運動の低下を認めた.心臓カテーテル検査においては冠動脈に狭窄病変はなく,左室造影上,び漫性に重度の壁運動低下を認めた.右室心筋生検組織像は軽度の心筋細胞肥大を認めるが,明らかな錯綜配列は認めなかった.患者は糖尿病,難聴の合併があるため,心筋症へのミトコンドリア遺伝子異常の関与を疑い,心筋組織を検索したところ,3243点変異を認めた.本疾患群は新しい概念の疾患単位として,興味ある症例であり報告する.
  • 高橋 健文, 日浅 芳一, 原田 慎史, 加藤 聡, 谷本 雅人, 岸 宏一, 和田 達也, 桜井 えつ
    1997 年 29 巻 7 号 p. 619-623
    発行日: 1997/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    原発性アルドステロン症に伴う低カリウム血症にて高度房室ブロックをきたした1例を報告する.症例は60歳の女性で,10年程前より高血圧を指摘され薬物治療を受けていた.1995年5月下旬より全身倦怠感を自覚するようになり近医を受診した.低カリウム血症・血漿レニン活性の低下,および血中アルドステロンの高値を認めたことから,原発性アルドステロン症を疑われ,当院を紹介された.外来受診時の心電図にて5:1の高度房室ブロックを認めたため,精査加療の目的にて入院した.血清カリウムは2,8mEq/lと低下し,血漿レニン活性の低下,血中アルドステロンの高値を認め, 尿中1 7 - K S , 1 7- O H C S は正常範囲内であった. さらに, 腹部C T では両側副腎に明らかな異常所見を認めないにもかかわらず,両側副腎静脈血中のアルドステロン含量が著明な高値を示したことから,両側副腎の過形成による原発性アルドステロン症と診断した.
    入院後,血清カリウムが正常時には房室ブロックを認めず,正常洞調律に復帰し,低カリウム血症時に再び房室ブロックが出現した.原発性アルドステロン症に伴う低カリウム血症により高度房室ブロックをみることは稀と考え報告した.
  • 千葉 育雄, 上嶋 健治, 瀬川 郁夫, 荻生 直徳, 小野寺 正輝, 石川 元子, 平盛 勝彦, 鎌田 潤也, 川副 浩平
    1997 年 29 巻 7 号 p. 624-627
    発行日: 1997/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は3 6 歳の女性. 31歳時に脳動脈瘤を指摘された.平成5年9月29日,突然心窩部痛と胸痛を自覚したため,救急車で近医に搬送され,胸部X線写真で縦隔の拡大と胸水貯留を認めたため,同日当科に搬送された.大動脈造影からDeBakey IIIbの急性大動脈解離と診断し,内科的に経過観察していた.第6病日に背部痛が再び出現した.大動脈造影で胸部大動脈に逆行性の解離腔を認め,腹部CTでは左腎の血流低下が示唆された.
    緊急手術の適応と判断し,腹部大動脈人工血管置換術を施行した.術中に採取した腹部大動脈の病理所見で嚢胞状中膜壊死像はなかったが,中膜は菲薄化し,中膜の弾性板数が正常者に比し著しく少なかった.
    高血圧症や妊娠を伴わない3 6 歳女性の急性大動脈解離は稀であり,本症の特異な中膜病変は大動脈解離の発症機序を考える上で貴重な知見と考えられたので報告した.
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