心臓
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36 巻, 12 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 渡部 眞理, 渡部 良夫
    2004 年 36 巻 12 号 p. 799-808
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Heart rate turbdence(心拍攪乱,HRT)は,心室期外収縮(VPC)直後に洞調律が1,2拍促進され,次いで緩徐になる現象で,具体的にはVPC後3~4秒以内にRR間隔短縮のピーク,凡そ9秒後にRR間隔延長のピークが見られ,12~15秒後に元のRR値に戻る.HRTの判定に用いる指標はVPCに伴う代償性休止期後のRR短縮量TOとそれに続くRR延長の速度TSで,TO<0%,TS>2.5ms/心周期を正常,TO>0%,TS<2.5ms/心周期を異常と見なす.本現象の臨床的意義は主として急性心筋梗塞後患者の生命予後推定に有用な情報を提供することにあり,例えばいくつかの多施設共同大規模臨床試験において,総ての死亡を一括した場合,TO,TSがともに異常な症例はこれらが正常の症例に比し,相対危険率が3倍以上になったという成績が出されている.
    HRTの大まかな発生機序は,VPCに伴う一過性の血圧低下が圧受容体を刺激,反射弓を介して洞頻度増大(RR短縮)をきたす一方,代償性休止期後の洞性心拍の血圧上昇が同じく反射弓を介して洞頻度低下(RR延長)を招くことで説明されるが,詳細な機序はまだ不明な点が多い.本総説ではTO,TSの算出法と計測上の注意点,生命予後推定におけるHRTの感度,各種のHRT修飾因子(心拍数,VPCの連結期,心筋灌流量,他の自律神経機能諸指標)などを解説し,VPCによる房室伝導時間の攪乱や新しい指数のheart rate harmony(心拍振動)にも触れた.
  • 高柳 寛
    2004 年 36 巻 12 号 p. 809-811
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 新 博次, 與田 小百合, 田寺 長, 小林 義典, 堀江 格
    2004 年 36 巻 12 号 p. 813-820
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心房中隔欠損症(ASD)は最も多い先天性心疾患の一つであり,術前,術後のいずれにおいても心房細動が最も高頻度でみられる不整脈とされる.
    ASDの自然歴についてみると,過去の集計からは50歳までに3/4が死亡するとされた.しかし,今日では,より積極的に外科的治療が適切な時期に施行され,ASD術後の予後は良好であることが示されている.
    過去5年間に経験したASD症例をみると,慢性心房細動であるものは,心エコー検査で測定した肺体血流比(Qp/Qs)は洞調律を維持している症例と比し高値を示している.一方,著明な右房拡大を呈しているにもかかわらず洞調律を維持している高齢者が存在する.心房細動発症に最も関係する要因としては,やはり心房容量負荷,拡大が最も考慮すべき要因となると推測される.ASD閉鎖後に出現する心房細動については,既に進行したリモデリングによる不応期の不均一性の存在が寄与しているとみなされるが,右房切開による手術搬痕部に関連してマクロリエントリー心房頻拍が発症する。このマクロリエントリー心房頻拍はカテーテルアブレーションのよい適応である.ASD症例で術前・術後の経過を含め,心房細動・粗動を発症させないためには早期の閉鎖術施行により,心房ならびに肺循環系のリモデリングを未然に防止することが薦められる.
  • 4列,16列の比較
    北川 知郎, 藤井 隆, 友弘 康之, 前田 幸治, 小林 正和, 関口 善孝, 鈴木 孝之, 藤川 光一
    2004 年 36 巻 12 号 p. 821-827
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    近年,高い時間分解能と空間分解能を有する多列検出器のヘリカルCT(multi detector row helical CT, MDCT)が心血管領域で活用されている.
    冠動脈3枝にステントが計5個留置されている症例に対し,GE社製4列MDCT(スライス厚1.25mm)と16列MDCT(同0.625mm)を施行. Volume rendering(VR)法とcurved multiple planar recollstruction(c-MPR)法による画像を比較し,さらに16列施行10日後の冠動脈造影(CAG)と対比することで,MDCTの利点や課題に関し検討した.
    4列と比較し,16列では撮像(息止め)時間が半減し,造影剤量も減少した.VR法による近位部から中部冠動脈,ステント位置および開存性の評価は両列において可能であったが,末梢側を含めた冠動脈全体像は明らかに16列が優位であった.16列にて右冠動脈#3部分がCAGと比し有意狭窄として過大評価されたが,MDCTにて描出された狭窄がCAGで逆に過小評価された可能性も考えられた.16列にて左回旋枝#13の有意狭窄が認知困難であったが,左回旋枝#11~#13付近は可動性が大きく,さらに冠静脈と重なることが多いため評価が困難で,より詳細な検討が必要と考えられた.c-MPR法によるステント内狭窄率評価は,金属アーチファクトのため16列にても不十分であった.
    MDCT検査は種々の制限はあるが,冠動脈の非侵襲的検査法として有用と考えられた.
  • 佐藤 裕一
    2004 年 36 巻 12 号 p. 828-830
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 江川 治彦, 澤田 佳宏, 高岸 麻衣子, 藤井 正祐, 西村 美和子, 俣木 宏之, 伊藤 成規, 安住 吉弘
    2004 年 36 巻 12 号 p. 831-836
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は84歳女性.大腿骨頸部骨折の手術を検討中に,意識レベルの低下を伴うショック状態となった.心電図で胸部誘導にqSパターンとST上昇を認め,心エコーでは心尖部を中心に広範な壁運動の低下がみられた.血液検査では炎症反応が顕著に亢進していた.当初は急性心筋梗塞が疑われたが,その後一貫して心筋逸脱酵素の上昇を認めず心筋梗塞を否定した.保存的治療にて約1週間の経過で,ショック状態から回復.心エコーで壁運動はほぼ正常化し,炎症反応も概ね消失した.心電図では全胸部誘導に巨大陰性T波を形成し,第16病日の心筋SPECTでは心尖部を中心に代謝血流乖離を認めた.第42病日に再びショック状態となった.前回と同様に顕著な炎症反応の亢進があり,心エコーで心尖部を中心とした壁運動低下を認めた.心電図では胸部誘導のT波偽陽性化と再陰転化を認めた.心筋逸脱酵素は今回も変動しなかった.保存的治療にて約1週間後にショック状態から回復,心エコー所見は正常化し炎症反応も鎮静化した.再発第62病日の心筋SPECTでは,代謝血流ともに異常を認めなかった.冠動脈造影では,有意狭窄はみられなかった.
    本症例は約2カ月間という短期間内にたこつぼ型心筋症が再発した特異な症例と考えられたが,その発症には炎症に伴う何らかのサイトカインの関与が疑われた.
  • たこつぼ型心筋症
    栗栖 智
    2004 年 36 巻 12 号 p. 837-839
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 柿澤 祥子, 青鹿 佳和, 重城 健太郎, 石塚 尚子, 萩原 誠久, 川名 正敏, 笠貫 宏
    2004 年 36 巻 12 号 p. 841-846
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    原発性乳び心膜症は非常にまれな疾患であり,1954年にGrovesらが初めて報告して以来,約103例が報告されているのみである.通常その治療には,開胸もしくは胸腔鏡下での胸管結紮術および心膜開窓術が選択され,改善した例が報告されている.しかし,まれな疾患であるがために,その自然予後については不明な点が多い.今回我々は,内科的保存治療により改善した原発性乳び心膜症を経験した.症例は51歳,女性.49歳時より検診時に心拡大を指摘されるようになったが,自覚症状なく放置.51歳時に心臓超音波検査を施行し,大量の心嚢液貯留を認め,精査目的で当科入院.心嚢穿刺により約1lの乳白色の液体を得,中性脂肪値が1,005mg/dlと高値であり,外傷の既往や腫瘍などの随伴疾患も認めないことから,原発性乳び心膜症と診断した.本人が外科的治療を希望しなかったため,絶食および心嚢ドレーン留置による保存的治療を行った.治療開始後,心嚢液は透明となり排液量も徐々に減少.1カ月後にドレーンをクランプし脂肪制限食を開始,その後心嚢液の再貯留のないことを確認してからドレーンを抜去した.退院後,一時心嚢液の再貯留を認めたが自然消失し,現在までの約12カ月間,再貯留なく経過している.原発性乳び心膜症が内科的保存療法にて改善を認めたことは,今後同疾患の患者の治療方針を決める上で重要な所見であると考え,文献的考察を加えて報告する.
  • 高橋 英二, 佐々木 俊雄, 田中 修, 脇本 博文, 水野 幸一, 原田 智雄, 高桑 俊文, 三宅 良彦
    2004 年 36 巻 12 号 p. 847-852
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は,40歳男性.感冒に罹患後,38度台の発熱とともに動悸,息切れのため入院.入院時,白血球8900/mm3,CRP5.4mg/d1と炎症反応が軽度ながらみられ,心筋逸脱酵素CK272mg/dlと軽度上昇を示した.第5病日に突然洞性頻脈から高度房室伝導障害が出現し失神症状を伴った.緊急一時ペースメーカー挿入を行ったが,ペーシング中止時には補充調律を有する完全房室ブロックであった.心エコー図にて心室壁の肥厚および心嚢水の増加がみられたため,翌第6病日にステロイドパルス療法を施行.ステロイドパルス療法後より房室伝導障害が改善し第10病日には体外式ペースメーカー抜去が可能となり,第24病日には心室中隔壁厚10mm,左室後壁厚9mmと壁厚は正常範囲へ改善した.
    一般に心筋炎急性期にみられる伝導障害は炎症性病変が刺激伝導系に波及した結果生じるものと考えられる.しかし,本症例においてはステロイドパルス療法に対する伝導障害からの回復経過より,刺激伝導系への炎症細胞浸潤とは異なる伝導障害機序が推察された.急性心筋炎に対するステロイド療法の適応に関しては十分な配慮が必要であるが,心エコー図による心筋壁肥厚および壁運動の改善などの経過から,間質の浮腫性変化が伝導障害の発生に関与した可能性が考えられた.本症例ではステロイドパルス療法により心筋間質浮腫を軽減させ,伝導障害の改善に寄与したものと推察された.
  • 松森 昭
    2004 年 36 巻 12 号 p. 853-856
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 森本 紳一郎, 加藤 茂
    2004 年 36 巻 12 号 p. 857-859
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 解剖学的,病理組織学的検討と類似疾患に関する考察
    近江 三喜男, 佐藤 善之, 新田 能郎, 沢村 佳宏, 櫻井 雅浩, 清水 雅行, 手塚 文明, 黒羽 正男
    2004 年 36 巻 12 号 p. 861-865
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    バルサルバ洞動脈瘤(sinus of Valsalva aneurysm:SVA)は,冠状動脈口と大動脈弁輪の間の狭いバルサルバ洞から発生し,種々の大きさの瘤口を有する嚢状動脈瘤で,心外型,心内型(破裂性および非破裂性)と心室中隔型に分類される.今回我々は,左バルサルバ洞由来の瘤ではあるが,解剖学的,病理組織学的に心外型SVAにも大動脈弁輪拡張症にも分類されない症例を経験した.
    症例は47歳の男性で,平成15年3月12日,左冠状動脈洞由来の巨大なSVAと大動脈弁逆流の診断のもとに大動脈基部置換術を受けた.左冠状動脈洞は全体が瘤化し,左冠状動脈は瘤壁から起始していた.他のバルサルバ洞および大動脈の形態はほぼ正常であった.病理組織所見は,左冠状動脈洞壁の基本構造が著しく破壊され菲薄化し,中膜は弾性板の層状配列が失われ,平滑筋細胞の増生と瘢痕化とが複雑に交錯していた. 内膜は軽度から中等度の線維性肥厚を示していたが,アテローム硬化や炎症性細胞浸潤は認めなかった.他のバルサルバ洞壁,上行大動脈壁はほぼ正常で,大動脈弁は3弁尖とも軽度の線維性肥厚は認めたが,活動性の炎症や血栓形成は認めなかった.
    本症例は解剖学的には嚢状瘤ではなく狭義の心外型SVAには分類されない.また,解剖学的,病理組織学的に大動脈弁輸拡張症にも分類されない.病理組織学的にはむしろ諸家の報告にある心外型SVAに近似しており,病型分類としては左冠状動脈洞に限局した真性大動脈瘤が適当と考える.
  • 石坂 透, 市川 肇, 福嶌 教偉, 宮本 裕治, 澤 芳樹, 高野 弘志, 松宮 護郎, 戸田 宏一, 松田 暉
    2004 年 36 巻 12 号 p. 866-870
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ファロー四徴症(TF)術後遠隔期に大動脈弁閉鎖不全(AR)をきたし,大動脈弁置換術(AVR)を3症例に施行した.症例1:36歳男性.32歳時に感染性心内膜炎,疣贅による右冠動脈閉塞のため,準緊急的にTF根治術と冠動脈バイパス術,vegetectomyを行った.術後早期AR2/4が4年後AR4/4と進行し,胸痛をきたした.症例2:44歳男性.TF・肺動脈閉鎖で16歳時に根治術,41歳時に心外導管置換を行った.その後ARの進行から心不全,人工呼吸管理を要した.症例3:43歳女性.TF,Valsalva洞動脈瘤破裂(右冠尖→肺動脈)で18歳時に根治術施行.術後24年目より心不全症状が増悪した.結果:全例機械弁を使用.NYHA術前class III-IVが,術後1から9年にclass I-IIで経過良好である.
    まとめ:TF根治術後はAR進行に留意し,進行例では時期を逸さずAVRを要する.
  • 丹羽 公一郎, 立野 滋
    2004 年 36 巻 12 号 p. 871-873
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 両心房ペーシングを中心として
    杉 薫, 円城寺 由久, 野呂 眞人
    2004 年 36 巻 12 号 p. 877-882
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ペースメーカーによる発作性心房細動の予防効果については未だに賛否両論がある.このために,右心耳ペーシングに加え,冠静脈洞遠位部からの左房ペーシングを同時に行う両心房ペーシングを行い,発作性心房細動予防に有用か否か検討した.両心房ペースメーカー植込み適応は,週に1回以上自覚症状を伴う抗不整脈薬治療に抵抗性の発作性心房細動を合併した洞不全症候群例である.我々の検討では,心房期外収縮数,心房細動の発作回数とも右房単独ペーシングに比べ両心房ペーシング時に有意な減少傾向が見られた.両心房ペーシング時に,体表面心電図上P波幅の短縮と両心房間有効不応期格差の短縮が見られた.ペーシングレートを80ppmと高めに設定したにも関わらず,ペーシング達成率は60~70%であった.今回の検討で約1年以上に亘り両心房ペーシングを行うことができ,その間ペーシングに関するパラメーターはほぼ安定しており,安全性が確認された.両心房ペーシング治療は右房単独ペーシング治療より心房細動予防に優れていた.両心房ペーシングによるP波幅の短縮は心房伝導障害を改善させ,有効不応期のばらつきを縮小することが心房細動予防に重要な働きをしている可能性が示唆された.さらなる効果を上げるために,両心房ペーシングモードに心房細動予防アルゴリズムを加えたペースメーカーが開発されれば,心房細動はさらに予防できる可能性がある.
  • 石川 利之
    2004 年 36 巻 12 号 p. 883-892
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    生理的ペースメーカーには心房細動予防効果があるとされている.心房ペーシングは,overdrive効果により異所性自動能を抑制し,心房細動を誘発するlong-short PP間隔をなくし,心房細動発生を抑制する.また,心房ペーシングによる血行動態の改善および心房負荷の低下により心房細動は起こり難くなる.ペーシングにより徐脈を改善しただけで心房細動が起こらなくなる症例があるが,通常のペ一シング心拍数では心房細動の発生が予防されず,高頻度ペーシングにより心房細動の発生が予防される症例が存在する。そこで,自己心拍数より常に高いペーシングを維持するペーシング・アルゴリズムが開発され試みられている.心房細動を有する症例のP波の持続時間は延長していることが多く,心房不応期の不均一性は通常の心房ペーシングにより,むしろ拡大する.心房間の伝導遅延が大きいと,左房-左室間の房室収縮間隔は短くなる.左房-左室間の房室収縮間隔が極端に短縮すると,心機能は低下し左房負荷が高まる.これらの問題を解決するために,Bachmann bundle pacingやmulti-site atrial pacingが試みられている.さらに,徐脈性不整脈を伴わない,これまではペースメーカーの植込み適応とはならなかった心房細動例においても,ペーシングにより心房細動を抑制する試みがなされているが,その有効性についてはさらに検討を要する.
  • 心不全から・不整脈から
    松田 直樹
    2004 年 36 巻 12 号 p. 893-900
    発行日: 2004/12/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    近年,心室内伝導障害を有する重症慢性心不全患者に対する両室ペーシング治療が注目され,自覚症状,運動耐容能,QOL,心機能,心不全入院回数の有意な改善や左室の逆リモデリング効果などが報告されている.これら有効性の機序として,心室内伝導障害に伴う左室内同期不全がもたらす非協調的,非効率的収縮様式の是正,心室間同期不全の再同期,房室再同期による左室拡張期流入の改善などが挙げられる.有効例を選択するにはQRS幅による適応に限界があり,エコー等により同期不全の程度を直接評価することが重要である.一方,心室内伝導障害は突然死の危険因子でもあるが,両室ペーシングのもたらす不整脈への影響は一様ではない.心不全改善に伴う不整脈発生要因の除去のほか,一方向ブロック発生の抑制など抗不整脈効果が考えられる一方,活動度の上昇や再分極相におけるtransmuraldispersionの増大などが催不整脈性に働く可能性がある.そこでホルター心電図によるモニタリングが重要であると思われる.臨床試験の結果や自験例の予後をみると,突然死予防の観点からは両室ペーシングのみでは不十分であり,ICD機能の追加が必要とされている.
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