心臓
Online ISSN : 2186-3016
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43 巻, 4 号
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Open HEART
HEART’s Selection (Beyond LDL-コレステロール)
HEART’s Original
臨床研究
  • 新井 雄大, 児玉 隆秀, 近藤 武, 大井田 史継, 佐野 始也, 森田 ひとみ, 松谷 英幸, 関根 貴子, 折原 理顕, 近藤 誠, ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 4 号 p. 470-476
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    動脈硬化性腎動脈狭窄症(atherosclerotic renal artery stenosis; RAS)は進行性の疾患であり, 予後不良となる独立した危険因子である. 稀な疾患ではないが, 特異的症状に乏しく医師がRASの存在を疑わなければ見逃される可能性が高い. このため, 発生頻度の高い患者群からこの疾患を早期に検出する確実な診断手法が必要である.
    閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterance; ASO)が疑われて腎から下肢まで一期的にMDCTアンジオグラフィを行った連続325例を対象に, その診断精度, ASOとRASの合併頻度, 本検査法の臨床的意義を検討した.
    血管造影法を真とした場合, ASOに対するMDCTアンジオグラフィの診断精度は, それぞれ感度: 93.6%, 特異度: 98.1%, 陽性的中率: 96.9%, 陰性的中率: 96.1%, 正診率: 96.4%で, RASに対するMDCTアンジオグラフィの診断精度は, それぞれ感度: 95.6%, 特異度: 99.2%, 陽性的中率: 95.6%, 陰性的中率: 99.2%, 正診率: 98.6%であり, 臨床的に精度の高い検査と考えられた.
    ASOを疑われた患者の約13.5%に有意なRASが存在し, ASO(+)群のRASの合併率はASO(−)群より有意に高かった. 腎から下肢までの一期的MDCTアンジオグラフィは上前腸骨棘から下肢までのMDCTアンジオグラフィより被曝量(dose length product; DLP)が約1.45倍多かったが, 1回の造影剤投与でRASの早期発見が可能であり, 臨床的意義があると考えられた.
症例
  • 土田 夏佳, 宮崎 徹, 田中 泰章, 吉川 俊治, 稲垣 裕, 蜂谷 仁, 平尾 見三, 宮城 直人, 荒井 裕国, 磯部 光章
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 4 号 p. 477-481
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は37歳, 女性. 38℃台の発熱, 頸部痛, 両肩痛, 背部痛が出現し, 精査にて炎症反応高値(CRP 8.5mg/dL), 胸腹部CTにて径38mmの上行大動脈瘤を認めた. PET-CTにて動脈瘤への集積を認め, 高安動脈炎と診断された. プレドニゾロン(prednisolone; PSL) 30mg/日より治療開始し, 免疫抑制薬を併用するも約1年間で上行大動脈瘤は径48mmに拡大した. 早期手術のため, インフリキシマブ(infliximab; IFX)を導入したところ, 速やかな炎症反応の陰性化が得られた. IFX投与後14日目に大動脈瘤切除術を施行, 術後経過良好であった. 引き続き外来にてIFX投与継続し, 病勢の再燃を認めずコントロール良好であった. 生物学的製剤投与下に外科的治療が奏功した高安動脈炎の1例を経験したので報告する.
Editorial Comment
症例
  • 岡村 朋香, 竹本 俊二, 梶川 隆, 友田 純, 赤木 禎治
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 4 号 p. 483-488
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    われわれは, 過去2年間に5例の無症候性心房中隔欠損症(atrial septal defect; ASD) を経験したので報告する. 症例は, 40歳代男性2例, 60歳代男性1例, 60歳代女性1例, 70歳代女性1例. 5例ともASDに起因する症状を認めず, スクリーニングや心疾患否定目的にて行われた心エコーにてASDが発見された. これら5症例では, 心電図, 胸部X線, 血液検査においても積極的にASDを疑う所見は認めていなかった. 心エコーにて5症例とも左房から右房への左右シャント血流が描出されたが, 心室中隔の奇異性運動や肺高血圧は認められなかった. そのうちの3症例では心臓カテーテル検査および心エコーにて, 肺体血流比(Qp/Qs)の上昇を認めたが, ほかの2症例ではQp/Qsは上昇していなかった. このような自覚症状のない症例への治療については意見の分かれるところだが, カテーテル治療の適応を考慮し, 5症例ともカテーテル治療可能な施設へ紹介, 5症例とも, カテーテル治療施行され経過良好である.
    ASDは成人の先天性心疾患の40%以上を占める最も頻度の多い疾患であり, 本5症例のように自覚症状のないASD患者は相当数いることが予想される. このため, スクリーニングの心エコー検査施行時においても常にASDを念頭におき, 特に心窩部走査時にASDは注意して検査する必要があると思われた.
Editorial Comment
症例
  • 上北 洋徳, 鈴木 均, 山田 慎哉, 金城 貴士, 神山 美之, 宮田 真希子, 三阪 智史, 安藤 勝也, 坂本 信雄, 石橋 敏幸, ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 4 号 p. 491-498
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は23歳, 男性. 2008年12月より数分間の動悸を頻回に自覚するようになり, ホルター心電図で心拍数150/分の発作性上室性頻拍(long RP’ 頻拍)が記録されたため精査加療を目的として当科入院となった. イソプロテレノール投与前の電気生理学的検査では, AH jump up現象および室房伝導とも認めなかった. しかし, イソプロテレノール投与によりAH jump up現象と房室結節を介する室房伝導が顕在化し, 順行性および逆行性房室結節遅伝導路の存在が確認された. 右室心尖部早期期外刺激により非通常型房室結節リエントリー性頻拍(atrioventricular nodal reentrant tachycardia; AVNRT)が誘発され, 逆行性遅伝導路に対してカテーテルアブレーションを施行した. さらに通電中に通常型AVNRTへと移行したため, 順行性遅伝導路に対してもカテーテルアブレーションを行い, 頻拍は誘発されなくなった. イソプロテレノール投与により順行性および逆行性遅伝導路が顕在化した本症例は, 頻拍の成立における房室結節二重伝導路の特性と頻拍誘発におけるイソプロテレノールの有用性を考察するうえで大変興味深い症例と思われた.
症例
  • 鈴木 洋輝, 神田 順二, 安倍 紘嗣, 藤巻 茂謙, 小寺 聡, 宮地 浩太郎, 佐藤 寿俊, 櫛田 俊一, 竹田 誠, 山本 哲史, 梅 ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 4 号 p. 499-504
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は, 特記すべき既往歴のない23歳, 女性. 心雑音精査にて受診となった. 経胸壁心エコーにて左冠動脈主幹部に相当する部位の拡張を認め, その後, 側方に瘤形成を認め, 冠動脈奇形が疑われた. 冠動脈造影検査では左冠動脈主幹部が瘤状に拡張しており前下行枝, 回旋枝とは別の異常血管が側壁方向に上行大動脈と左房の間を走行し2つの瘤が形成され右房に注いでいる所見がみられた. また, 酸素飽和度は, 右房でステップアップを認めた. 経食道心エコーでは冠動脈瘻からの流入部位は右房と上大静脈の境界付近と推定された. 造影CTでは, 左冠動脈主幹部から発生する異常血管は側壁方向に上行大動脈と左房の間を走行し, その後2つの瘤が連続している所見であった. 冠動脈瘻瘤を伴う冠動脈瘻に対して将来的な破裂の危険性を考慮し外科的治療を行った. 異常血管起始部の結紮切離, 右房開口部閉鎖, 瘤切除術を施行し, 術後経過は良好である. 今回, われわれは, 無症状で発見された巨大瘤を伴った冠動脈右房瘻の手術症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
症例
  • 細田 順也, 石川 利之, 菅野 晃靖, 山川 陽平, 松下 浩平, 松本 克己, 三樹 祐子, 宮本 美穂子, 石上 友章, 内野 和顕, ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 4 号 p. 505-509
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は76歳, 女性. 1989年に洞不全症候群(II型)にてDDDペースメーカー植え込みを施行した. 2001年にペースメーカー感染を発症したため, 保存的治療を行い, 以降, 良好に経過していた. 2008年6月に電池消耗のため, ペースメーカー交換を施行した. その18日後にポケット部の皮膚に瘻孔が形成され, 膿の漏出が認められ, ペースメーカー感染の診断で入院となった. ペースメーカー本体を除去し, ポケット内デブリードマンを行った. リード線は用手法では容易には抜去できず, 可視範囲内で2本ともリードのコネクト部を切断した. 血液とポケット内の培養より緑膿菌が検出されたため, 6週間抗生物質投与を行った. しかし, 2009年3月に39℃の発熱にて入院となった. 血液培養より緑膿菌が検出され, 残存リード線の感染と診断した. 2009年3月中旬に心臓外科医および体外循環装置の待機下, 心室リード(フィン型)に対して, 右大腿静脈アプローチでリード抜去術を行った. 8Frブライトチップシースを右大腿静脈に挿入した. ピッグテイルカテーテルをリードにかけ, アンプラッツグーズネックスネアでガイドワイヤーを捕捉し, ループを作成した. リードの中の鎖骨下静脈断端に近い部位に固定し引いたところ, 同側のリード断端が遊離された. 次にその断端をスネアで捕捉し, シースとともに引いたところ, リード全体を抜去することができた. ペースメーカーリード感染に対し, 経大腿静脈アプローチにて留置後20年のペーシングリードを抜去し得た症例について報告する.
Editorial Comment
症例
  • 大坂 友希, 藤井 洋之, 佐藤 弘典, 加藤 信孝, 一色 亜美, 鈴木 秀俊, 鈴木 篤, 清水 雅人, 山分 規義, 西崎 光弘, 磯 ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 4 号 p. 514-521
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    薬剤溶出性ステント(drug eluting stent; DES)は新生内膜の増殖を抑制し, ステントの再狭窄を低減することができる. ステント留置後の冠動脈瘤形成は, DES時代となりクローズアップされてきた問題の1つである. DES留置後の冠動脈瘤の自然歴はさまざまであり, 長期にわたり経過を観察し得た報告は少ない. 今回, DES留置後に冠動脈瘤を多発性に生じ, 冠動脈造影(coronary angiography; CAG), 冠動脈CTにて観察した1症例を経験したため報告する.
    症例は, 49歳, 男性. #1にシロリムス溶出性ステント(sirolimus eluting stent; SES) , #7にもSESを留置し, いずれも狭窄率0%となり終了した. 9ヵ月後, SES留置部位である対角枝分岐直後に冠動脈瘤形成を認めた. 血管内超音波法(intravascular ultrasound; IVUS)で確認すると, 壁構造のない仮性動脈瘤であり, ステントのmalappositionを認めた. CAG所見と同様に冠動脈CTでも瘤を確認することができた. 15ヵ月後のCAGでは, 最初の瘤は縮小傾向であったが, 対角枝分岐部位の近位部に新たな冠動脈瘤形成を認め, 右冠動脈ステント留置部位にも小さな冠動脈瘤形成がみられた. 2年後のCAGでは, いずれの冠動脈瘤も拡大していた. 本症例において晩期に生じてきた冠動脈瘤の原因としてポリマーに対する炎症が疑われ, 最初の冠動脈瘤の原因となった可能性も高いと考えられた. 本症例のように冠動脈瘤を生じる例では, 晩期に生じることも念頭におき, 注意深い経過観察をする必要があると考えられた.
Editorial Comment
症例
  • 石川 妙, 深水 誠二, 岩澤 仁, 松下 紀子, 高野 誠, 北條 林太郎, 仲井 盛, 小宮山 浩大, 弓場 隆生, 辰本 明子, 野田 ...
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 4 号 p. 523-530
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は37歳, 男性. 2009年3月, 就寝中に突然鼾様呼吸が出現し, 刺激に反応しないことに家人が気づき, 救急要請された. 救急隊到着時, モニター上, 心室細動(ventricular fibrillation; VF)を認め, 自動体外式除細動器(automated external defibrillator; AED)にて除細動され, 心拍が再開し当院に搬送された. 経胸壁心臓超音波検査では壁運動に異常なく, 心電図にて下側壁誘導にJ波を認めた. 第12病日に心臓電気生理学的検査を施行. 冠動脈造影検査では有意狭窄を認めず, アセチルコリン負荷試験では血管攣縮は認めなかった. 心室プログラム刺激では無投薬下で右室心尖部からの3連期外刺激により再現性をもってVFが誘発された. イソプロテレノールに誘発抑制効果を認め, プロプラノロールでは誘発性が亢進した. 第14病日に, 植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator; ICD)を植え込み, キニジン内服下の第21病日に再度心室プログラム刺激を施行したところ, VFは誘発されなかった. 近年, 特発性心室細動(idiopathic ventricular fibrillation; IVF)の症例において下側壁誘導にJ波を有する症例が報告されている. 本症例もその1例と考えられ, 文献的考察を加えてここに報告する.
Editorial Comment
症例
  • 坪井 宏樹, 伊藤 一貴, 長尾 強志, 井出 雄一郎, 柚ノ原 順正, 鶴山 幸喜
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 4 号 p. 533-539
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は85歳, 男性. 5日前から胸部圧迫感および呼吸困難を自覚し, 全身倦怠感が増悪したため当院を救急受診した. 心電図でI, aVL誘導で異常Q波を認め, 心筋逸脱酵素の上昇や心臓超音波検査で側壁の無収縮が認められたため心筋梗塞と診断し, 冠動脈造影を施行した. 左回旋枝に血管内超音波で低エコー領域を伴う動脈硬化病変が認められたため, 経皮的冠動脈形成術を施行した. 第2病日に施行した心臓超音波検査では心液貯留および左房周囲の腫瘤が認められ心臓腫瘍の合併が疑われた. PET-CTで心臓以外に縦隔など多数の集積が認められ, 胃小弯側リンパ節生検によりB細胞性悪性リンパ腫と診断された. 高齢者で心筋梗塞直後の低左心機能であったが, THP-COP[ピラルビシン(pirarubicin), シクロホスファミド(cyclophosphamide), ビンクリスチン(vincristin), プレドニゾロン(prednisone)]およびリツキシマブ(rituximab)を併用した化学療法により寛解が得られた症例を経験したので報告する.
Editorial Comment
症例
  • 藤掛 彰則, 小松 孝昭, 谷口 勲, 新 健太郎, 由布 哲夫, 蟹江 禎子, 中村 日出彦, 東 昭宏, 酒井 良彦, 高柳 寛
    原稿種別: HEART’s Original
    2011 年 43 巻 4 号 p. 542-547
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    症例は51歳, 男性. 既往歴として10歳時に猩紅熱にて入院歴あり. 入院後, 症状を詳細に聴取した結果, 川崎病主要症状6項目中のうち, 5日以上続く発熱, 両側眼球結膜充血, 口腔咽頭粘膜のびらん性発赤, 不定形発疹と4項目を生じていたことが判明した. 10年前に胸部X線にて異常石灰化指摘されるも, 精査加療されていなかった. 2009年5月健康診断にて心電図異常を指摘され虚血性心疾患精査目的に当科受診となった. 心電図上II, III, aVF誘導にてsmall Q波と陰性T波を認めたため, 心臓マルチスライスCT施行したところ右冠動脈近位部に著明な石灰化を伴い, 左冠動脈は主幹部から前下行枝と回旋枝の分岐部に直径15mmの冠動脈瘤とその前後に狭窄病変を認めた. 冠動脈造影において同様の所見を認めた. 治療は, 待機的冠動脈バイパス術および瘤切除術を施行. 切除した瘤の病理所見より川崎病と診断された.
    川崎病に起因すると考えられた巨大冠動脈瘤と右冠動脈完全閉塞をきたし, その同定にマルチスライスCTが有用であった無症候性虚血性心疾患の1例を経験したので報告する.
Editorial Comment
Meet the History
  • 齋藤宗靖先生に聞く
    齋藤 宗靖, 和泉 徹
    原稿種別: Meet the History
    2011 年 43 巻 4 号 p. 551-562
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/10/03
    ジャーナル フリー
    かつて心筋梗塞発症後の基本的管理は長期安静・臥床でしたが, 早期離床, 運動療法の導入が社会復帰に有効であるとわかり, 急速にリハビリテーション治療プログラムが発展しました. 運動療法は, 現在では心筋梗塞のみならず, 心不全にも有効と考えられています.
    本日は, わが国の心臓リハビリテーションの発展に大きな足跡を残した齋藤宗靖先生をゲストに, その後継者として日本心臓リハビリテーション学会理事長を努めるなど, その普及を推進する和泉 徹先生をホストに, 日本の心臓リハビリテーション治療の歴史を振り返りながら, 現状と問題点についてもお話しいただきました.
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