心臓
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30 巻, 7 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 星野 洋一, 永井 良三
    1998 年 30 巻 7 号 p. 435-441
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 冠動脈造影法との対比
    篠崎 仁史, 近藤 武, 石川 恵美子, 木下 雅盟, 皿井 正義, 成瀬 寛之, 松葉 玲, 元山 貞子, 伊藤 幹弥, 徳田 衛, 古田 ...
    1998 年 30 巻 7 号 p. 442-449
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    近年,ヘリカルCTの登場や画像再構成法などの進歩により,比較的簡単に,かつ極めて正確に生体の解剖学的情報を画像化できるようになってきた.しかし,心・大血管系および冠動脈においては,他の臓器に比べて心拍動によるモーション・アーチファクトのため従来のヘリカルCTでは鮮明な画像を得ることは困難であった.今回,当大学で開発した心電図同期拡張期画像再構成法を併用したヘリカルCT(ヘリカルCT血管造影法)の冠動脈起始異常の診断における有用性について冠動脈造影法と比較検討した.
    その結果,冠動脈造影で明瞭でなかった異常冠動脈の走行や肺動脈,大動脈の形態および位置関係をヘリカルCT血管造影法により非侵襲的に明瞭に描出でき,冠動脈起始異常の診断に有用であると考えられた.
  • 増田 善昭
    1998 年 30 巻 7 号 p. 450-452
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 大野 美和, 石川 成範, 高橋 伸幸, 清水 優美, 太田 哲郎, 小林 茂雄, 泉 司郎, 野坂 周
    1998 年 30 巻 7 号 p. 453-458
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    両大血管右室起始症は大動脈と肺動脈がともに右室より起始する先天性心疾患であり,一般に予後不良である.今回50歳に至るまで顕著な心不全症状を呈することなく経過した症例を経験したので報告する.
    症例は50歳,男性.全身浮腫と呼吸困難にて入院.心拍数160/分,不整.チアノーゼと肝腫大を認め,胸骨左縁第2肋間にLevine4度の収縮期駆出性雑音,両肺野に湿性ラ音を聴取した.心電図では心房細動,右室肥大を示し,胸部X線では胸部郭比67%,肺うっ血像を示した.心エコー図検査にて,大動脈弁下型心室中隔欠損,両大血管の右室起始,僧帽弁と大動脈弁との連続性の欠如を認め,両大血管右室起始症と診断した.また,肺動脈弁狭窄を合併し,心臓カテーテル検査では,右室圧140/10mmHgで左室と等圧,肺動脈弁狭窄は圧較差118mmHg,肺体血流比1.94,肺体血管抵抗比0.03であった.冠動脈は左単冠動脈であった.無治療にもかかわらず,長期間顕著な心不全症状を呈することなく経過した要因は,適度な肺動脈狭窄の存在が肺高血圧症の発生を予防しているためと考えられた.
  • 神本 有美, 藤本 眞一, 水野 麗子, 中野 博, 川本 篤彦, 土肥 和紘
    1998 年 30 巻 7 号 p. 459-463
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は,48歳,男性.負荷心電図および負荷タリウム心筋シンチグラフィ所見から下壁領域の心筋虚血の存在が疑われた.冠動脈造影では右冠動脈優位で,左冠動脈に狭窄病変が確認されたが,右冠動脈には狭窄病変がなく,起始異常の存在が推測された.さらに経食道心エコー図およびMRI所見から,本例は右冠動脈が肺動脈と大動脈の間を異常走行する右冠動脈左冠尖起始症と診断された.したがって,下壁領域の虚血性変化には,右冠動脈起始異常に伴う機能的狭窄の関与が示唆された.
    以上,右冠動脈起始異常による心筋虚血を示唆する所見が負荷タリウム心筋シンチグラフィと負荷心電図の所見で確認された1例を経験し,この起始異常の診断には経食道心エコー図とMRIが有用であった.
  • 東川 昌仁, 松井 圭司, 金盛 俊之, 山下 滋夫, 松尾 寿保, 新田 哲久, 高橋 雅士, 中村 保幸, 木之下 正彦
    1998 年 30 巻 7 号 p. 464-468
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は65歳の男性で,肥大型心筋症,心房細動にて内科治療中であった.突然出現した両下肢の運動麻痺,知覚異常,疼痛,冷感を主訴に救急受診.来院時,急性の腰椎疾患を疑われ整形外科に入院.翌日,発症後18時間後に内科に紹介された.両大腿動脈以下は脈を触知せず急性動脈塞栓症を疑った.Computed tomography(CT)を施行したところ,terminal aortaのsaddle embolusであり,大腿動脈以下で造影剤が描出され,側副血行路より少量の血流があるものと思われた.さらに,病変部の詳細を知る目的でガドリニウム造影三次元MR angiography(3DMRA)を施行したところ,塞栓の範囲と末梢の血流の存在を明瞭に確認し得た.Goldentimeの6時間を越していること,虚血による組織の懐死がないこと,末梢血流が存在することより,外科的な血栓除去は見合わせ,血栓溶解療法を選択した.ウロキナーゼ使用により,3日目には血栓は完全に溶解され,大腿動脈も触知可能になった.再度,MRAをし,血栓の消失を確認した.
    3DMRAは,短時間で広い範囲の撮影が可能で,しかも空間的分解能に優れており,大動脈疾患などの頭尾方向に長い病変にも有用であり,病変部の長さや形状を正確に知ることができる利点がある.今後,急性の大動脈塞栓症の確定診断をする際,血管造影やCTに代替えも可能と思われる.
  • 春見 建一, 川島 康生, 井上 正
    1998 年 30 巻 7 号 p. 469
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 田中 茂博, 鈴木 純子, 平松 幹男, 岡 由紀子, 俵 穆子, 定 利勝, 吉良 有二
    1998 年 30 巻 7 号 p. 471-476
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    65歳女性,1989年頃より年に数回の気管支喘息発作を認めることがあった.1996年12月に呼吸困難を自覚し当院受診,胸部X線写真上両側胸水を認め,心不全を疑われ入院となった.聴診上汎収縮期雑音を聴取,心エコーにて僧帽弁逆流(MR)III度,心内膜の輝度の上昇を認めた.末梢血では白血球14,530/mm3,好酸球70%と増加を認めた.心筋生検にて脱顆粒した好酸球の集族を認め,好酸球性心疾患と診断した.胸水中にも好酸球増加を認め,胸水の原因の一部に好酸球性肺炎,胸膜炎の関与も疑われた.Hypereosinophilic syndrome(HES)に伴うMRによる心不全と診断し,利尿剤に加え12月24日よりプレドニン20 mg投与を開始した.12月27日には好酸球は2%に減少するとともに,12月30日には心雑音が消失し,心エコー上MRは1度に軽減した.また,胸水の減少も認めた.
    心不全を合併したHESは予後不良とされ,その治療が重要とされている.本症例はHESに伴うMRによる心不全がステロイド治療により速やかな改善を認めた貴重な症例である.
  • 大塚 雅也, 林 康彦, 沖本 智和, 作間 忠道, 藤原 仁, 進藤 哲明, 住居 晃太郎, 浅木森 幸晃, 川西 秀樹, 黒田 真彦, ...
    1998 年 30 巻 7 号 p. 477-482
    発行日: 1998/07/15
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    【症例】48歳,男性.呼吸困難にて来院.ECG上HR 190/min,心房細動でVl~V4でのQS patternとCK上昇より,IABP挿入後冠動脈造影を施行したが正常であった.血行動態改善のため種々の薬剤投与および直流除細動を施行したが成功せず,徐々に血圧が低下しPCPS装着となった.右心生検では心筋周囲の線維化を伴った軽度の心筋肥大を認めたが,炎症性変化は乏しかった.内分泌検査では甲状腺機能亢進を認めた.PCPSと抗甲状腺薬投与により心機能は順調に回復し第5病日PCPSより離脱した.一方肝機能は入院時より急激に悪化し肝不全となったが,血漿交換・CHDFにより改善した.
    【結語】PCPSと抗甲状腺薬により甲状腺中毒性心疾患から重症心不全となった患者を救命できた.
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